駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

億劫なのは分かるけれども

2013年01月09日 | 診療

    

 医者も色々患者も色々だろうが、まあ一般に患者さんは医者とは気軽に話がしにくいものらしい。その点、かかりつけ医は物が言いやすく便利である。確かに馴染みのない医者に診て貰うのは億劫というかなんとなく気が重いのはわかる。それに時間と費用も掛かる。そんなこんなで何でも私に診て貰おうとする患者さんが居る。さすがに産婦人科だけはないが相談を受けることはある。S先生へ行ってご覧と勧めてお子さんができ、大変感謝されたこともある。

 学生の頃は全て科の勉強をしたし、開業してからは行きがかり上専門外の疾患もある程度診てきているので、初動の診療は出来る他科疾患も多いのだが、最初からこれは自分の手に負えないというものは分かっている。

 Kさんは高血圧で通院中の六十代の女性で、つい先日受診したばかりなのに昨日もやってきた。どうしたのというと目が赤いので診てくれと言う。どうも毛様充血のようだ。これはここでは駄目です、眼科へ行かなければと言うと、ええどうしても駄目、先生診てよとごねる。結膜下出血なら私でも良いのだが、これは駄目、どうしても**先生か++先生の所へ行ってというと、**先生はここより近いんだけどと呟きながら、嫌そうに腰を上げてくれた。

 こういう仕事をしているから体重25kgから150kgの人まで、人類すれすれの人から、息を飲む美人までありとあらゆる人を診てきたけれども、私もどちらかと言えば人見知りをする方なのでKさんの億劫という気持ちがよく分かる。確かに医者に診て貰うのはコンビニで弁当を買うのとは違うからなあ。

 

コメント (2)
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