駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

総合病院の隙間

2013年01月22日 | 診療

      

 総合病院は検査の為にあるわけじゃあなかろうがと絡みたくなることが時にある。勿論、高価な検査設備を備えることは総合病院の機能の一つではあるのだが、検査に異常がないと診察はこれでお終いととりつく島のない対応はいかがなものか。検査に異常がなくても、患者さんの訴えは改善していないのだから、よくわからないという方が正確だし、私の専門範囲の病気はないというのなら、ではどこどこへ行きなさいと導くのが親切というものかもしれない。

 患者さんは総合病院には弱いのだ。町医者ならもうこんな所へ来るもんかと、別の所へ行けても入院と精密検査のできる総合病院はたかだか二つ三つしかない。選択肢は少ないし、急病や重病では頼らなければならないので不平を言って関係が悪くなるのを恐れてしまう。

 まあ、ちょっと総合病院に意地悪く書いたのだが、重大深刻な病気のない患者には話を聞いて欲しい人が多いのだ。総合病院の帰りに私の所に寄ってくどくど言われても私が紹介したわけではないし、検査の結果の詳細はわからないし、やむなくそれはこういうことではないしょうかとか、心配ないと思いますよとかお茶を濁すことになる。時にはこの科に行きなさいと該当する別の診療科を紹介することもある。

 総合病院の立場で言えば、病気に比べて訴えが過大な患者さんに事細かく説明している時間はないということだろう。事情はよくわかる。細かい訴えにきちんと対応していたら、A部長のように朝の診察が午後三時とか四時に終わる事になる。それはそれで表立っては不平が出ないけれども、スタッフには負担なのだ。勿論、A先生も大変だと思う(いつ見ても元気そうだが)。

 今はこうしたことを防ぐために紹介状を要求する病院があるし、紹介状がないと診察料が高くなる仕組みも出来てきた。それでも、こうした症例を月に一人二人経験する。尤も、それが町医者であるあんたの仕事と言われればそうかもしれない。

コメント (2)
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