駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

じっと手を見る

2013年01月10日 | 身辺記

     

 啄木はどんな手をしていただろうか。文筆の人で肺を患うのだから、華奢な優しい手をしていたのではないかと想像する。私は聴診器の人でB級グルメだから、何ということのない手をしているのだが、寒さに弱くキーボードを毎日叩いている(電子カルテ)ので、冬は指先が荒れて割れて痛い。

 昔はこれほどひどくなかった、電子カルテのせいか、歳を取ったせいか。じっと手を見る。どうでもいいが手の平に比して指が短い気がする。遠い先祖は百姓だったのだろうか(農業を含めた手足を動かして仕事をする人という意味)。

 実は指先というのは我々の仕事では死活問題と言ってよいほど大切なのである。外科医でなくとも、指先は触診の時非常に重要で、触るだけで毎年何人も重大な病気を見付けてきた。脳味噌だけでなく、指先感覚にも老いが忍び寄るとしたら「ニャロメ」。と嘆きたい。

 尤も、医業だけでなく手を使う仕事では指先は生命線と思う。

コメント
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