全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

トヨタシステムで労働者は幸せになれるか。2

2006年08月23日 08時49分10秒 | Weblog
昨日からの続きになります。

以下掲載文引用開始

トヨタシステムで労働者は幸せになれるか。2

2006年7月
愛知働くものの健康センター理事 近森泰彦

2、 団交権確立---全トヨタ労働組合(ATU)
 全トヨタ労働組合(ATU)はトヨタ関連企業の労働者有志を中心にして準備会を作り、弁護士も加わりじっくりと構想をまとめ、2006年1月22日名古屋で結成大会を行い発足しました。翌日、既存の、自らも加盟していたユニオンショップ労働組合に脱退届けを出し、会社に対しては結成通告と合わせて団体交渉を申し入れました。
ATUの結成宣言には「この組合は正規、非正規社員を問わずパート、期間工、嘱託、管理職、派遣などすべてのトヨタ関連企業で働く労働者が一人でも加入できる個人加盟の労働組合です」と明記してあります。
既存のユニオンショップ組合は会社と「労使共同宣言」を結び組合の第一義的役割を企業のさらなる発展においていることと比較すればどちらが労働者のためになるのか自ずと明らかです。
5万8千人の巨大な組合は内野過労死裁判など労働者一人ひとりの切実な要求に関心を示さず支援の要請に見向こうとさえしません。これでは世間で、会社のための労働組合と揶揄されても弁解のしようがないでしょう。
ナショナルセンター「連合」の委嘱を受けて中坊公平氏(弁護士)を座長とする7人の著名な方々がまとめた『連合評価委員会の最終報告』(2003年9月12日)が公表されています。「連合」はこの提言を受け入れて運動の改革に生かしことを表明しました。その一節をここに紹介しておきます。「労働運動の原点を確認するためには、働くことの意味とともに、働くものが連体し、協力する意味を問わなければならない。連帯と協力の意味は、働くものは、元来弱い存在であるという事実に含まれている。---本来は弱いものであるという事実が、働くものを連帯させる結節点であり、その結節点が強い労働組合の原点なのである。---労働組合員が働く人々全体のなかでは恵まれている層であるという自覚のもと、労働組合員が自分たちのために連帯するだけでなく、社会の不条理に立ち向い、自分よりも弱い立場にある人々とともに闘うことが要請されているのである」。
連合の中核的組合であるトヨタ自動車労働組合はこの苦言を早くも忘却のかなたに投げ捨ててしまったのでしょうか。
ATUは初回の団交で;
① 工場内に掲示板の設置
② 昼休みなど自由時間中のビラ配布
③ 組合訪問者への対応許可など初歩的な要求を行いました。
これらはいずれもユニオンショップ労働組合には制限なしに認めている活動です。しかし会社は「施設管理権は会社のものである。工場内での活動はいっさい認められない」、「ユニオンショップ協定を結んでいる既存の組合とは信頼関係があるがATUとはない」など敵意をこめた差別的姿勢を当初からあらわに示しています。
デンソー、アイシン、JTEKTの経営側はトヨタの「支配下」にあるため判を押したような同じ対応を繰り返えすのみです。
ATUの当面の課題は確信犯的な不当労働行為(労働組合法第7条)を改めさせ、労働組合として普通の活動ができるように権利を確立することにあります。トヨタの不当性を検証するために最高裁判所の判例が参考になりますので判決理由書から引用しておきます。
「団体交渉の場面においてみるならば、合理的、合目的的な取引活動とみられうべき使用者の態度であっても、当該交渉事項についてはすでに当該組合に対する団結権の否認ないし同組合に対する嫌悪の意図が決定的動機となって行われた行為があり、当該団体交渉がそのような既成事実を維持するために形式的に行われているものと認められる特段の事情がある場合には、右団体交渉の結果としてとられている使用者の行為についても労組法第七条三号の不当労働行為が成立するものと解するのが相当である」(昭和60年4月23日最高裁第三小法廷判決。注;これは日産プリンス労働組合が提訴して勝利した判決です—近森)
エコノミスト(06年7月25日号)の取材にたいしてATUの若月委員長は「トヨタの場合、単体で1万人超、全体の4割近い非正規労働者がいる。こういう不安定な労働条件の中で働く人が増えていることは社会的損失だと思う。20代、30代の若者が年収300万円程度の収入で果たして家庭がもてるのか。そういう環境悪化に歯止めを掛ける労働組合運動が台頭してこないと大変なことになる」と組合結成の動機を述べました。

以下次回にて掲載
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フィリピントヨタ労組を支援する会からです

2006年08月23日 06時29分26秒 | Weblog
フィリピントヨタ労組を支援する会からのメールを転載します。是非読んでください。海外でトヨタさんのやっていることもみておかなくてはいけません。トヨタさんは海外の問題は現地法人の問題だと逃げておりますが、水面下でいろんな動きに出ているのは明らかです。

以下転載開始

反トヨタ世界キャンペーン第二波

全国の労働者市民の様々な工夫を凝らした9月闘争への参加を!
エド・クベロ委員長らTMPCWA組合員21人 釈放!

2006年8月20日
フィリピントヨタを支援する会

エド・クベロ委員長らTMPCWA組合員21人の逮捕と釈放!

 2006年8月16日午前9時30分からTMPCWA200人の労働者はフィリピ
ン労働雇用省の度重なる不法行為に対し正当で激しい抗議と労働雇用省長官への
再検討申立書提出を試みました。それに対するフィリピン政府のフィリピントヨ
タ労組(TMPCWA)に対する弾圧も過激なものでした。10時30分、50人の警
備員が警棒を使用し、銃弾を5発も発砲し、6人に重傷を負わせました。しかし
TMPCWAの組合員6名は労働雇用省長官室のある7階にまで上がりましたが長官は
不在で、彼等6人を含めての21人が逮捕されました。この事件はフィリピンの
日本人向けのマニラ新聞では報道されていますが、日本のマスコミには一切報道
されていません。

 フィリピン政府は8月18日処分保留のまま釈放せざるを得ませんでした。そ
れはフィリピン政府が自分達の犯している不法行為を明るみに出したくないから
です。フィリピン政府はトヨタに加担すれば加担するほどますます深く泥沼の中
に浸かっていっています。フィリピン政府はますます正当性を失いつつありま
す。問題を整理しておきましょう。

労働組合の団体交渉権を巡るトヨタとフィリピン政府の結託!

 TMPCWAは2000年3月に公式の承認投票(CE)で団体交渉権を獲得しまし
た。しかし、フィリピントヨタは団体交渉を拒否し、2001年3月それに抗議
する組合員の抗議行動を理由として233名の組合員を解雇しました。フィリピ
ントヨタは2003年9月の最高裁判決、同11月のILO勧告にもかかわらず、
一切の団体交渉を拒否し続け、フィリピン政府と結託してただひたすら御用組合
TMPCLOを育成し、TMPCWAの団体交渉権を剥奪して御用組合に与える策謀をしてき
ました。今回の労働雇用省前の衝突はこの問題をめぐって起きたのです。

 第一に、2005年6月に労働雇用省はフィリピントヨタで御用組合に団体交
渉権を獲得させるために新たな団体交渉権を決める承認投票(CE)の実施を決
め、2006年の2月に実施しました。これは、団体交渉中または争議中には新
たな承認投票は行わないとする労働雇用省の規則に違反するものです。第二に、
この承認投票の後フィリピントヨタ自身が御用組合は有効投票数の過半数を獲得
できなかったと発表したことに示されるように、投票結果はトヨタとフィリピン
政府の意図に反した結果になりました。ところが、労働雇用省は2006年4月
7日に御用組合TMPCLOが勝利し団体交渉権を獲得したと宣言しました。この労働
雇用省の決定は、監督職121票を有効投票から省くことで有効投票数を減少さ
せ、御用組合の票を有効投票の過半数にしました。しかし、これは承認投票当事
である御用組合すら要求していないことであり、明白な承認投票(CE)手続きへ
の違反行為でした。

 第三に、これに対してTMPCWAは当然再検討申立を行いました。ところがこの再
検討申立に対し、労働雇用省長官はそれを却下し、それを申立当事者である
TMPCWAに連絡する以前に、労働雇用省長官自身がわざわざフィリピントヨタに出
向いて伝えたのです。おまけに、別途送られた次官の却下通告には労働雇用省長
官の却下の「決定書」が添付されていなかったのです。そして長官がなぜはわざ
わざフィリピントヨタに出かけたかというと、フィリピントヨタと御用組合の労
働協約締結に向けた団体交渉を促すためだったのです。フィリピントヨタと御用
組合は秘密裏に団体交渉を開始しました。

恥も外聞も投げ捨てたトヨタとフィリピン政府!

一番重要なことは、フィリピントヨタはTMPCWA勝利の労働雇用省の決定に対して
は「監督職票を有効投票に含めるべきだ」として団体交渉を拒否して延々と6年
以上、現在も裁判を続けているのです。ところが御用組合勝利の労働雇用省決定
がTMPCWA勝利の場合と同じく労働雇用省が監督職票を無効としているにもかかわ
らず、今回は裁判も起こさず、直ちに団体交渉を開始したのです。そして労働雇
用省は前回のTMPCWAの場合にはフィリピントヨタの再検討申し立てに対して1年
もかけて公聴会まで開いて決定したが、今回は労働雇用省長官の決定さえ正式に
行うことなく(決定はしたが決定書を発送しなかった?)、大急ぎで最終決定
し、長官がフィリピントヨタにわざわざ出向いて新任の挨拶と激励を行ったので
す。
トヨタは本当に恥知らずです。トヨタの信義は地に落ちました。トヨタは公の世
界で「自分達は二枚舌を使って恥じないのだ」と宣告したのです。また、フィリ
ピン政府の多国籍企業トヨタに対する態度もまた恥知らずです。


TMPCWAの怒りは私達の怒り!
神奈川県労働委員会の決定に抗議しよう!

TMPCWAはトヨタとフィリピン政府の共謀に対し警備員の5発の発砲にもかかわら
ず7階まで突入するというかなり過激な抗議をしました。しかし、これは233
名の解雇された労働者やその家族、そして彼等と共に闘う現場労働者たち(21
名の中には数名の現従業員も含まれています)の正当な怒りの表現です。何回も
何回も頭を叩かれ続ける労働者がちょっと頭を上げて胸を反らせ、「俺たちはそ
れでも負けない」と歯を食いしばった程度のことです。これを非難できるものは
何処にもいません。日本ではどうか。

同じ時期の8月8日、日本でも神奈川権労働委員会はZENZOSENの不当労働行為救
済申し立てを却下しました。これは日本の多国籍企業に「海外での不当労働行為
で多国籍企業本体を日本で裁くようなことはやりません」「トヨタ自動車は世界
中で自由に不当労働行為をやってよろしい」と通告するものでした。日本の労働
委員会も世界中で日本の多国席企業の無数の不当労働行為で抑圧されている労働
者を辱めているのです。今回の抗議は疑いなく、日本の労働委員会に対するもの
でもあったのです。

反トヨタグローバルキャンペーン第二波9月行動
全国から工夫を凝らした多数の参加を!

IMFは6・7月の反トヨタ世界キャンペーン第一波に続いて、9月12日を中
心に各国の日本大使館や各国のトヨタ社に対する第二波行動を起すことを決めて
います。世界がトヨタと日本を本格的に包囲しはじめています。トヨタはこの包
囲に耐えきれるでしょうか。

いまトヨタには世界中で様々な不祥事が起きています。これまでトヨタはこの不
祥事をトヨタの巨額の広告費(04年度817億円)と政治力(ロビー活動費)で隠
蔽してきました。しかしもはや隠蔽が不可能な極点に達しつつあります。トヨタ
の実力は明らかに低下しています。リコールは年々増加し、今やリコールNO1企
業です。サービス残業、過労死、労災隠し、セクハラ、リコール隠し、偽装請
負、そして全く報道されない世界中での不当労働行為など、トヨタ生産方式がグ
ローバル化の中で破産しつつあります。

今世界の労働者がトヨタ生産方式、トヨタ式の労使協調主義の真の姿を知りつつ
あります。だが、トヨタはまだ二枚舌を使って恥じないのです。もっと圧力が必
要です。私達は日本においても9月15日の東京総行動でのトヨタ東京本社抗議
行動(14:20)をすでに決定しています。更にこれに加えて反トヨタ世界キャン
ペーン第二波行動として9月9日ごろから16日にかけての様々な行動を工夫し
たいと考えています。全国のみなさんが様々な工夫を凝らして様々なかたちで参
加されることを呼びかけたい。

以上


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