全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

フィリピントヨタ労組・闘いの最新情報 (2006/11/10)

2006年11月12日 08時31分15秒 | Weblog
フィリピントヨタ労組・闘いの最新情報 (2006/11/10) についてのお知らせです。


TMPCWAホームページの翻訳の紹介です。フィリピントヨタ労組を支援する会ならびにレーバーネットジャパンのサイトからの引用です、先に、月刊「世界」(岩波)でもあったように、グローバル企業・人に優しい企業であるはずの海外でおこなっていることはあまり知られていません。多くの人に知ってもらいたいという思いで紹介します。

なお、原文サイトはこちらへ http://www.tmpcwa.org/index_html

2006年11月10日


トヨタ内部の我が組合指導者達にトヨタの嫌がらせ続く


私達の組合の内部副委員長であるウェネシト・ウアヘル君によれば、彼は工場内で電話を使わせないという嫌がらせを受けていて、誰に架けることも誰からの電話に出ることも禁止されているということです。多くの組合員がウェニー君に電話したところ、副グループ長のアルドリン・リナングと先任グループ長のレオ・オナが、昨日(2006年11月9日)から、彼に電話の使用を禁止しているのだということでした。これは彼の所だけで起こっていることです。グループ長は、ウェニー君に電話を使わせないことを徹底するため、子機までも撤去してしまっているということです。ウェニー君の見るところでは、この新たな方針は課長のボビット・マーノから出ているのではないかと思われるということです。



会社から嫌がらせを受けているTMPCWAの指導者は、ウェニー君だけではありません。TMPCWAの別の執行委員であり、8月21日のDOLE(労働雇用省)前ピケで逮捕された執行委員の一人でもあるモナリト・ゲルテス君もまた、今日報告してきたことですが、会社は彼の病気欠勤を無許可欠勤に変えてしまったといいます。モナリト君の言うには、彼は病欠を取って医師の診断を受けるために病院に行ったのだということです。その記録を確認する医療証明書をもらってきているのに、上長はその証明書を認めないのだというのです。



彼等二人共、彼等に起きていることは、彼等の課長から、そして会社からの指示によるものに違いないと、強く感じていると訴えています。



TMPCWAは、会社の執拗な嫌がらせを強く糾弾します。私達は、TMPCWAの指導者達に対してだけでなく、私達のすべての組合員に対してなされる会社の執拗な違法活動に対して、必ず必要な措置をしていきますし、このことを法廷に持ち込んでいきます。



TMPCWAのすべての組合員に対するトヨタの執拗な嫌がらせを糾弾せよ!



以上
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西三河南労連からの依頼

2006年11月11日 09時36分55秒 | Weblog

私たち、全トヨタ労組(ATU)が参加する労働組合の地域組織である西三河南地域労働組合総連合から統一行動の参加の依頼がありました。(関係分)

11月15日(水)
 7時30分 刈谷駅コンコースにてビラまき(ほかに安城 西尾 知立)

 午後の要請行動
 15時  刈谷公共職業安定所(ハローワーク)
 16時  刈谷労働基準監督署
   5分前にはお集まり下さい。
  場所はいずれも刈谷駅南口徒歩5分 両庁舎は隣接

またこの日は午後7時から、安城市内で幹事会があります。

以上
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高い信頼性 日本車

2006年11月10日 19時58分07秒 | Weblog

11月9日ロイター記事によれば、
 米有力消費者情報誌の調査によると、最も信頼性の高い2007年型車に選ばれた47車種のうち、日本車は39車種。

以下転載  
 [デトロイト 9日 ロイター] 米有力消費者情報誌コンシューマー・リポーツが11月9日号で発表した最新の調査結果によると、最も信頼性の高い2007年型車に選ばれた47車種のうち、日本車が39車種にのぼった。メーカー別ではトヨタ自動車<7203.T>が21車種でトップ、2位は11車種が選ばれたホンダ<7267.T>だった。
 これには及ばなかったものの、米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>やフォード・モーター<F.N>もそれぞれ上位にランク・インした。
 同誌は非営利団体コンシューマーズ・ユニオンが発行している。
(ロイター) - 11月10日19時20分更新
以上
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタ、いすゞ・GMの合弁2社のGM出資分を引き受けへ

2006年11月10日 19時54分28秒 | Weblog
日刊工業新聞は、11月8日付記事によれば、
「トヨタ、いすゞ・GMの合弁2社のGM出資分を引き受けへ」という記事を報道しています。それによれば、トヨタ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)は、いすゞ自動車とGMのディーゼルエンジン合弁2社のGM保有株について、GMにエンジンを供給し続けることを前提に、トヨタが引き取ることで最終交渉しています。いすゞもトヨタの出資に賛意を示しており、GMの決断待ちの状態だそうです。いすゞとトヨタの「提携」は、次のステージがあると思います。

全文は以下参照
http://www.nikkan.co.jp/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ワシントンポスト&ニューヨークタイムス

2006年11月10日 19時43分49秒 | Weblog

アメリカのワシントンポスト&ニューヨークタイムスの8日付の記事によれば、トヨタに関する記事が賑やかにしています。

ワシントン・ポスト紙早版ヘッドライン(8日付)

 [1面]
 ★米中間選挙、民主党が下院の過半数を獲得。上院でも、オハイオ州とペンシルベニア州で議席を獲得し、マサチューセッツ州とオハイオ州の知事選にも勝利。
 ★民主党のエードリアン・フェンティー氏(35)、圧倒的な票差で第5代ワシントン市長に当選。
 [経済面]
 ★トヨタ自動車<7203.T>、第2・四半期(7─9月)の利益が前年比34%増加したと発表。これを受け、通期の利益見通しを130億ドル以上に引き上げ。
 ★米トール・ブラザーズ<TOL.N>、今四半期の住宅建設による売上高が10%減少したほか、受注は半分以上減少したと発表。
 ★世界貿易機関(WTO)一般理事会、ベトナムの加盟を承認。150カ国目の加盟国に。 [ジュネーブ]

ニューヨーク・タイムズ紙早版ヘッドライン(8日付)

 [1面]
 ★米中間選挙、民主党は下院で過半数議席を獲得。上院でも少なくとも3議席を上積み。
 ★ニューヨーク州知事選、スピッツァー・ニューヨーク州司法長官が当選。
 [経済面]
 ★米フェデックス<FDX.N>、エアバス<EAD.PA>のA380型機10機の発注取り消し。納入が遅延する同型機に見切りをつけた初の顧客に。
 ★独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)、ピシェツリーダー最高経営責任者(CEO)の解任を発表。半年前に新しい契約にサインし、社内の権力争いに勝利したと見られていたばかり。
 ★トヨタ自動車<7203.T><TM.N>、不振が続く米自動車メーカーから一段とシェア奪う。アナリストらは、来年にもトヨタがゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>を追い抜くと予想。
 [8日 ロイター]
(ロイター) - 11月8日19時54分更新
以上
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日航がトヨタ方式導入

2006年11月10日 19時36分52秒 | Weblog

読売新聞11月8日の記事によれば、日本航空が来年1月に中期経営計画を見直し、トヨタ自動車の生産方式を参考にしたコスト削減策などを盛り込むことが7日、明らかになりました。これは8日に発表する9月中間決算の会見で方向性を打ち出す見通しです。新しい資料が分かればお知らせしますが、皆さんもお知らせ下さい。
 しかし、日航よ、おまえもかです。


全文は以下参照

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20061108i401.htm

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TMPCWAのHPから(和訳)

2006年11月10日 15時36分34秒 | Weblog

TMPCWAのHPの和訳が支援する会から送られてきたので紹介します。

フィリピントヨタ労組のWebサイト11月5付け下記記事の和訳です。
http://www.tmpcwa.org/index_html

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
SHORT UPDATE TO THE STRUGGLE:
November 5, 2006

【和訳】
闘いの最新情報短信

去る10月26日、会社内の労働者達から私達にある情報をもたらされました。労働
者達によれば、トヨタの副社長が、事務所労働者達に話をして、TMPCWAの組合員
達を職場復帰させるぐらいなら工場を閉鎖した方がましだと語ったということで
す。

TMPCWAは、これは、もしも労働者達が法的に裁判で認められた職場復帰するよう
なことになったらどうするのだという、この人の脅しであると見ています。なぜ
ならば彼は労働者達を違法に解雇したことに責任のある役員の一人だからです。
彼は現在、内部労働者とりわけ事務所労働者に対して、TMPCWAに向って怒るよう
マインドコントロールをしているのです。内部労働者が解雇されている労働者達
に対して、もしも会社が閉鎖されるようになったら我々が困るのだから、もう会
社には戻ってくるなと言わせようとしているのです。

おそらくこの人は、140名以上の組合員を職場復帰させるという日産労働者に対
する最高裁判決が既に出されていることから、パニックに陥っているのでしょ
う。彼は、法律に従うよりも、トヨタの会社全体と全労働者を犠牲にした方がマ
シだとでも考えているのでしょうか。高裁の差止命令を無効としTMPCWAを勝たせ
た最高裁の最終判決のときの状況とまったく同じです。おそらくそうでしょう。

このトヨタの副社長がこんなことをしゃべったことの理由が何であれ、TMPCWAは
依然として闘い続け、フィリピントヨタ労働者の長期闘争を前進させます。

解雇されたTMPCWAの組合員と私達の家族に正義を!



以上  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TMPCWAのHPから

2006年11月10日 15時33分47秒 | Weblog

フィリピントヨタ労組のサイトに掲載された記事の原文を紹介します。
翻訳記事はは別途にします。


SHORT UPDATE TO THE STRUGGLE:
November 5, 2006





Last October 26, the Executive Vice-President of Toyota speaks in front of the office staff workers inside the factory that "it's better to close the factory rather than reinstating the members of TMPCWA''. This information also confirmed by members of TMPCWA.



TMPCWA is looking this information as a threat to the EVP's position, because it seems that he is one among the company officials that has responsibility on why the 233 members and all oficers of TMPCWA was dismissed illegally by the company. He is setting the workers mind specially the office workers to be angry to TMPCWA. He is hoping the workers from inside will say to the dismissed members not to come back to work anymore because they will suffer if the company will close down.



Toyota Officials are worried because of the decision of the Supreme Court favoring NISSAN workers reinstating more than 140 members of the striking Union in its latest decision. Toyota management thinks that the better idea is to sacrifice the whole company and the entire workers of Toyota, rather than respecting the law of the land. Just like what happened to the Supreme Court final decision nullifying the Injunction Order of the Court of Appeals in favor to the union TMPCWA, Toyota shamelessly refuse to sit for a CBA negotiation but illegally start to negotiate with their own yellow union.



What ever is the reason why this Executive Vice-President of Toyota speaking like this, TMPCWA will continue to fight and advance the long struggle of the workers in Philippine Toyota.



JUSTICE FOR THE ILLEGALLY DISMISSED MEMBERS OF TMPCWA AND OUR FAMILIES!



日本語で書いていないから怒りがわきませんが次便で翻訳を紹介します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残業代11.6兆円の横取り

2006年11月09日 21時07分49秒 | Weblog

労働運動総合研究所Japan Research Institute of Labour Movementがメディアに紹介されていました。珍しいことですが、労働政策審議会の議論のホワイトカラーエグゼンブションについての調査報告です。
 それによれば
以下引用
「労働政策審議会をめぐる動きが緊迫の度を増している。労働政策審議会の議論は労使の意見対立の溝が埋まらないにもかかわらず、政府・厚生労働省は、本来中立であるべき公益委員を巻き込み、強引な審議運営を進め、11月中旬には「建議案」を、2007年2月には「法案」を提案するといわれている。労働政策審議会での論点は多々あるが、ここでは労働時間法制・「ホワイトカラー・エグゼンプション」問題に絞って検討を加えておきたい。
 日本経済団体連合会など財界は「年収400万円以上のホワイトカラーには、労働基準法の労働時間規制を適用除外せよ」と主張し、政府・厚生労働省は、この財界の要求に応えようとしているが、以下の3つの理由から、我々はこれを容認してはならないと考える。」

以上のような、労働者の側からの問題提起をしています。「ただ働き残業」を正当化・合法化しよとする試みに、反対の声をあげましょう。

全文はこちら
http://www.yuiyuidori.net/soken/ape/2006_1108.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トヨタ営業利益2兆円を支える「奴隷労働」!

2006年11月09日 20時52分50秒 | Weblog

フィリピントヨタ労組を支援する会からのものです。このブログを閲覧している方にもぜひ読んでいただきたいと思い、転載しました。  ATU情宣担当 



トヨタ営業利益二兆円を支える「奴隷労働」!
  現代日本型の強制労働
    トヨタ系受入機関が研修生・技能実習生に強制労働


2006年11月8日
フィリピントヨタ労組を支援する会

トヨタ二兆円を超える利益は何処から

 トヨタは製造業で世界一の利益を上げ、自動車の売上台数世界一も目前に迫っている。だが、この世界一の利益、営業利益で二兆円を超え、純利益で一兆五千億円に迫る数字は一体何処から生み出されたのだろうか。

 確かに生産が増え、販売が増えた。トヨタの2000年3月決算時の売上高は12兆9千万円であったのが、2006年度には21兆円になり、6年間で1・63倍になった。生産台数も500万台から771万台、1・54%になった。しかし、この間にトヨタの利益は4100億円から1兆3700億円、実に3・4倍に膨らんだのである。当然、売上利益率は3・15%から6・52%と、2倍に拡大した。この利益の増大は一体何処から生み出されたのだろうか。

 トヨタ自動車の「有価証券報告書」を見ると従業員数が載っているが、従業員数のうち臨時雇用人員が10%を超えた年次から臨時雇用人員が掲載されている。トヨタ自動車本体の従業員数は2001年3月に6万6005人であったが、2006年3月には6万5798人へじりじりと人員を削減している。そして、2004年には8147人の臨時従業員が記録され、2006年には1万9164人、全従業員の29%になった。連結ベースで見ると、2001年21万5648人、2006年28万5977人へ人員を増加させているが、ここではトヨタ自動車よりも一年早い2003年から臨時雇用が全従業員の10%を超え、2006年には7万3701人、全従業員の26%を占めることになった。

 トヨタグループは2000年代から期間労働者の採用を強め、2003年からトヨタグループの不可欠の構成部分へと組み込み、現在は製造現場の30%から40%、多いところでは50%以上が期間工従業員になっている。このトヨタの期間工従業員の年収は300万円程度で、正社員の2分の一から3分の一である。加えて現在は派遣労働者も増加している。そしてトヨタ自動車が6168億円の利益から9446億円へと一挙に利益を53%も飛躍させたのはこの2003年に当たる。そして翌2004年にはトヨタはついに1兆1620億円の利益を上げるに至る。トヨタの利益増大に生産‐販売台数の増大が寄与していることは疑い得ないが、トヨタ社の生産の約半数を作ってきた日本での非正規労働者の本格的採用が決定的な役割を果たしたことは確実である。日本の労働市場の中に産業間格差、企業間格差に加えて正規・非正規間格差がパート労働とは異なったかたちで新たに構造化された。

 むろんこの正規・非正規労働者間格差はトヨタやトヨタグループのような大企業にだけ持ち込まれたのではない。そして、トヨタ自動車の生産している自動車は連結決算にあらわれるトヨタグループだけで作られているのではない。トヨタ自動車が株式を持ち合っているトヨタグループの裾野には、トヨタグループが株券所有によってではなく取引関係によって実質的に支配している膨大な下請企業がいる。トヨタ自動車とトヨタグループのこの下請企業への実質的な支配の過酷さを推し量るため日本の大企業と中小企業の労働分配率を比較しておこう。

 1990年代以後の日本企業の労働分配率は、2001年の約70%を頂点にしてそれ以後低下し、2006年4-6月には61・6%になった。そして自動車と自動車部品の大企業は51%、中小企業は78・2%である。27・2%も開いている。そして、最近の材料費、労賃の上昇を大企業は販売数の増大で吸収している。しかし、中小企業は販売数の増大分の利益をコストダウンすることを求められ、かつ将来の現地生産への移行による受注の縮小を考えると安易に増産に応じるわけにもいかない。そのため、今大企業の労働分配率は更に低下しているが、中小企業の労働分配率は更に上昇している。

 トヨタは2000年から3年間で30%のコストダウンをめざし、一兆円のコストダウン目標に7600億円のコストダウンを進めた。そして2003年から2006年をめざして更に「総原価30%コストダウン」をめざしている。このようなトヨタのコストダウン要求によってトヨタグループの下請はその時期は明確ではないがトヨタに先行して非正規労働者を大々的に導入していたのであり、これを合法化し大々的に導入するため法制上の労働市場規制緩和の担い手となったのがトヨタ出身経団連会長奥田であった。

 そしてトヨタと日本の大企業のコストダウン要求は単なる非正規労働者の導入によって解決できるレベルではなかった。下請企業はより安い外国人労働者を導入し、さらに次から次へと違法行為を積み重ねた。そのことによって日本の労働市場は不法状態が構造化していった。この規制緩和が偽装請負・違法派遣・偽装出向、残業割増・社会保健・年金未払い、年次有給休暇未支給、労災隠し、賃金未払い、違法解雇等などを生み出した。そればかりではない。このトヨタ下請企業は現代日本型の強制労働にまで手を染めていた。


現代日本型強制労働=T協同組合の研修生・実習生

 トヨタ系の研修生・実習生の第一次受け入れ団体である協同組合は3つあるといわれている。この協同組合はトヨタに製品を納めている中小企業が二十数社集まって作られており、ヴェトナムから若くて優秀な労働者を受け入れている。私達が聞き取ったA社の労働条件は次のようなものであった。①研修生・実習生は「逃亡防止」のため、日本に着くや否や会社によってパスポートを取り上げられ、収入の過半(研修生時代は2万5千円、実習生時代は4万円)を天引きで強制貯金させられ、通帳は会社が管理する。そしてこのパスポート、預金は帰国時の空港出国口まで戻ってこない。②ヴェトナムの送りだし団体は農地所有者からは4400ドル、非所有者からは8800ドルの補償金を取り、労働組合・政党に入らないという誓約書を取っている。③携帯電話は使用禁止、④掃除をしなかった罰金2千円、電話を無断で使った罰金1万円。トイレへ行くと何分かかったかを書かせ、一分につき15円カットし、トイレ時間3分を2分と報告したとして、その日の12時間労働分をカット(従業員55人でトイレ1個のため休憩時間に全員がトイレを使用することは不可能)。通院のための未就労時間を残業時間から引く。⑤研修手当ては5万8400円。実習生の基本賃金は月給12万2千円(出勤日277日)=時給649・8円で最低賃金を下回る、⑥残業代は研修期間が350円、実習期間が1年目400円、2年目450円である。⑦1部屋に6人が押し込められ、部屋代として2万2600円(大家は1部屋5万円だと行っている)取られている。

 いうまでもなく資本主義社会は私有財産と契約に基礎付けられた社会である。つまり労働者も独立した人格として自主的な意思で雇用主と契約を結び契約の実行として労働する。ところが、研修生・実習生は、第一に、本国で補償金を入れること、日本で政党や労働組合に入らないことを強要されている。第二に、日本ではパスポートと強制貯金通帳を取り上げられ、第三に、携帯電話の使用は禁止され、時には在留許可証を奪われている。つまり、研修生・実習生は本国と日本の受入機関に援助されてこの第一次受入機関傘下会社によって拘束されており、自由な労働契約主体としての条件を奪われている。だからこそ会社側は研修生・実習生に一方的な劣悪な労働条件や罰則、それも法令に違反したものを押しつけることができる。これは普通の賃労働とは到底いえない。現代日本型強制労働であり、奴隷労働の一種といわねばならない。


ここでも実習生の闘いが始まった

 これに対する闘いはトヨタ車の後頭部クッションを作っている50人規模のT社で始まった。はじまりは女性実習生(22-27歳)たちが「残業代が安すぎるのではないか」と雇用主に訴えたことだった。それに対し社長の弟が「とんでもないことを言うヤツだ」と様々の脅しをかけた。実習生たちはこの脅しに屈せず、仕事をボイコットして警察と労働基準監督所に訴えた。警察は最終的には不起訴にしたが、労働基準監督署はこの会社が属するT協同組合などに査察を行い、協同組合傘下22社とそれ以外の1社の計23社を摘発した。労基署は実習生の基本賃金が最低賃金以下であること、残業代が労基法に違反していることを指摘し、新聞報道によれば総額5千万円の是正を行わせた。

 ところがこの労基署の是正は極めてずさんなものであった。第一に、この是正に当たって労基署は最低賃金の適用基準や残業時間の決定に当たって労働者側の意見をほとんど聞かず、使用者側の申告をうのみにしている。まず、業種別最低賃金は縫製業と自動車産業のいずれを適用するのかという問題で、この会社がトヨタの自動車部品を作っていることを知っておりながら縫製業の最低賃金を採用した。また、会社は残業時間の決定に当たって様々の操作を行っているが、労基署はそのことにメスを入れず、会社側主張をそのまま採用している。

 第二に、最低賃金を下回る基本給の是正は是正に名を借りた不利益変更になっている。まず月給制を時給制に変更した。次に時給を最低賃金金額に変更して出勤日数を減らすことによって総支給額を減少させた。

 それに加えて悪辣なのは、会社はこの不利益変更の新たな契約書を実習2年目に入る3人に提示し3人がそれを拒否するや否や、一方的に3人の実習生が契約する意思がないとして帰国させる手続きに入ったのである。さらに驚くことにこの3人に対して2年予定を1年で帰国するのだからとして航空運賃を当人負担分とし強制貯金から勝手に差し引いた。また、会社は先の紛争時にAさんを中心人物だとして強制帰国させようとしたが、Aさんがこれを拒否したことを理由にこの現実習2年終了者Aさんの帰国航空券費用も本人負担とした。むろん彼女たちは労働基準監督署とこの会社対応に不満であり、これらのことをNGOと労働組合に訴えた。


無様な政府機関の対応

 この実習生と会社との攻防の中で最も重要なことは、日本政府の機関である警察や労働基準監督署が介入しているにもかかわらず、研修生・実習生が拘束されている条件を何等改善していないし、改善のための手続きにすら入っていないことである。労働組合(全統一労働組合)にAさんたち6人が参加し、団体交渉を開始してやっと会社側はパスポートと預金通帳、年金手帳などを当人に返却したのである。

 むろん法律上研修生制度は研修が目的であり賃労働が目的ではない。しかし、受入組織の多くは海外の労働者を教育する意思も能力もないのが実態である。それゆえに、これらの送出・受入団体、受け入れ企業も研修を目的に労働者を送り出し受け入れているのではなく、現地と比較すると高く日本では安い賃労働とそこからの中間搾取を目的にしている。行政はこの弊害に気づきつつも、ほかに行政的に安上がりでかつ優秀な単純労働者を安い賃金で海外から導入する口実を見つけることができないためこの制度を維持し続けているのである。行政は送出・受入団体の中間搾取と受入会社による研修生・実習生の拘束を事実上容認しており共犯である。

 そればかりでない。労働基準監督署は研修生の残業代350円について「研修生には残業が禁止されている」ことを口実に何等是正していない。すなわち、研修生は賃労働者ではなく研修生であるから残業をさせてならないことになっているが、会社はわざわざ出勤と退社のタイムレコーダを分けるなどして、「ザンギョウ」(会社は研修生にこういっている)を行っていることを隠蔽しながら研修生に「ザンギョウ」を強制している。この「ザンギョウ」とは一体何なのか。会社が監督官庁に隠しながら行っていることが示すようにこれは研修ではない。研修でないとすれば会社が行っているのは、営利組織である会社の事業活動の一貫であり、営利活動のために労働者に労働を提供させる行為であり、賃労働として扱われるべきものであることは疑いないところである。賃労働には最低賃金と残業割増賃金が適用されねばならず、労働基準監督署がそれを適用しない350円の労働を放置することは拘束された条件での強制労働、現代日本型の強制労働、奴隷労働を容認することである。

 そもそも研修生に5万8400円の研修手当てなるものが支払われているが、ごく少数を除いて研修生がやっていることは研修ではなく賃労働そのものである。実際B社では、ヴェトナム人研修生と一般外国人労働者が同じ職場で同じ労働を行っている。この職場ではヴェトナム人研修生にだけは最低賃金は保証されない。研修生の後に入ってきた他の外国人労働者が最低賃金を保証されているのにその前から働き何等特別の研修を受けていない労働者が最低賃金を保証されないのである。そして日本の監督官庁はそれを容認しているのである。


トヨタの労働者に対する基本思想=「生かさず殺さず」

 では政府機関は誰のために強制労働を容認しているのか。この中小零細企業のためか。そうでもあるがそれだけではない。この下請けの上に君臨し、こうした日本型の強制労働を容認するトヨタのような大企業のためでもある。この研修生の第1次受け入れ団体はトヨタ系下請け会社によって作られた協同組合である。トヨタはトヨタ財団を通じて研究機関などに金をばら撒き、世界に奨学金などを出している。ところがこのようにばら撒いている金は今私たちの見てきた現代の強制労働を行うことによって実現されたコストダウンによって得られたものなのである。

 トヨタはユーザーのニーズばかり目配りをし、自分の足元は見えてないのであろうか。そうではないだろう。どんなに遅くとも労働基準監督署の査察が入った時点でトヨタは自分の足元でこのような強制労働が行われていることを知ったはずである。しかし、トヨタは労働基準監督署に任せて、労働基準監督署の指導があった部分だけを是正したに過ぎない。労働基準監督所の査察が入っていないところではこの指導以前の状態が続いている。今回労働組合が問題にしている部分は全くの手付かずのままである。彼らは行政の指導がなければ改善する必要はないのだという態度をとり続けている。トヨタは知っておりながら放置しているのである。トヨタはどうしてこのような態度をとり続けることが出来るのであろうか。

 成上りの資本家たちに従業員を自分たちの持ち物のように思っている人々が多くいる。トヨタもこの成上りの資本家達と変わりがない。トヨタはフィリピンの問題については「現地の問題は現地で」と言って責任逃れをしているが、実はトヨタ自動車の生産にかかわる労働者の生殺与奪の権利を持っているかのように思っているのである。そしてかつて徳川が言い実施した「生かさず殺さず」をトヨタは今の世で実行しているのである。奥田は「豊田家はトヨタの旗だ」と言っているが、それはトヨタの経営陣に染み付いているこうした封建的な思想を自己表白しているのである。ちなみにフィリピントヨタに『チームメンバーハンドブック』なるものがあるがそこの文章は豊田佐吉の紹介から始まる。文字通り多国籍企業トヨタは豊田家を旗としている。その旗は労働者を飼い犬のごとく考え、過労死・精神疾患を不可避的に生み出す労働条件を労働者に強制し、このような日本型の強制労働を平然と行う旗なのである。


規制緩和が不法構造を作り、強制労働を拡大している

 実は研修生・実習生以外にも今の日本で拘束労働が増加している。労働者が会社を辞めたいといっても、様々な理由をつけ、時には暴力に訴えて辞めさせてくれないという労働相談が増えている。言葉を変えると、労働契約を破棄したくとも労働契約を自由に破棄させてくれないのである。言うまでもなく、近代的労働者は個々の資本家に拘束され隷属しているわけではないはずである。個々の資本家との契約はいつでも破棄できるはずである。しかし、そうは思わない資本家が増え始めている。規制緩和の流れの中で、労働市場に違法行為が広がり、この違法行為を追認する規制緩和が更に立法化され、違法行為が放置され不法状態が構造化されている。この構造化された不法状態の下で資本家達の一部が直接的な支配と暴力を生み出し、事実上の奴隷労働を拡大させている。朝日新聞(2006・10・22)は古着選別会社で一方的に退寮したことを理由に集団暴行で19歳の少年が死亡したことを伝えている。つまり不法状態の放置は不可避的に直接的な支配と暴力を生み出すのであり、日本社会の底辺で今それが始まっている。研修生・実習生問題はこの流れを外国人労働者向けに制度化したものなのである。

 この流れを決定的に加速したのは前経団連会長、前トヨタ自動車会長、奥田であるのだから、トヨタ自動車の足元に事実上の奴隷労働が放置されているのは何の不思議もないと私達は考えるべきなのだろうか。

「トヨタさん、本当にそれでいいのですか」と私達は問いたい。



--------------------------------------------------------------------------------
フィリピントヨタ労組を支援する会 

--------------------------------------------------------------------------------
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする