今回の衆院選挙では、各党による原発の今後の方針が焦点の一つとなった。
選挙が終わった今、それらの議論を自分なりにまとめてみようと思う。
各党の意見は、大きく分けて以下の三つに分かれていた。
1) 原発を含めたエネルギーのベストミックスを目指す党。
2) 再生可能エネルギーを増やす(環境を整える)ことで、原発をある時期までにゼロとすることを目標とする党。
3) 原発の再稼働を一切認めず、また現在稼働中の原発も即座に停止させ、原発ゼロを直ちに実現しようとする党。
上記の1)を原発推進派と呼ぶと反論があると思うので、反・脱原発派とする。2)と3)は急進的か現実的かの違いはあっても、時間的な目標をもって原発をゼロにしていくという意味で、脱原発派だ。
反・脱原発派と脱原発派の議論は、すなわち原発を無くすことは日本経済にどれだけ悪影響があるか。
そして、それを許容できるかにつきる。
反・脱原発派の意見は、原発を停めれば火力発電のためのLNG輸入コストにより電気料金があがり、また国際収支を赤字にさせ、結果として日本経済を悪化させるというもの。
それに対する脱原発派の意見は以下のようにクリアだ。
a) 現在の日本のLNG輸入コストが世界的に見ても異常に高値であり、輸入先を分散させ、またアメリカのシェールガスLNGを輸入することでコストは大幅に抑えられる(現にその流れにある)。
b) 原発を推進、維持するための電源開発促進税は電力料金の4~5%、4000億円以上と言われる。原発を減らしていけば廃炉の費用などがあるためゼロにはならないまでも、この電源開発促進税を大きく減らすことができ、電気料金を逆に減らすことができる。
一方で、脱原発派が反・脱原発派に繰り返し問うていることがある。
i) 原発を稼働させていく上で、増え続ける放射性廃棄物の問題をどう解決するのか?
ii) 本当に原発は火力発電に比べて安いのか?
衆院選挙中、いろいろな番組や新聞をみてきたが、この問に回答できた反・脱原発派はいない。
i)については、世界の大きな過ちは、解決すべきこの問題を解決する前に原発を進めてしまったことであると多くの専門家が警鐘を鳴らしている。
放射性廃棄物は数千年、数億年のスケールで考えなければいけない問題だ。
それだけ先の子孫へ問題を先送りにすることなる。
今の経済を優先するために、数千年、数億年先の人類や生物に責任を負えると言える政治家がいるだろうか?
だからだと思う。
この問題が脱原発派から挙げられた途端に、反・脱原発派は口を閉ざすか、別の話題に逃げていく。
ii) については、上記のb)に関連するが、原発を維持するためにそれを抱える自治体への補助金を含めた大量の税金が投入されている。
その税金と上記a)で安くなったLNGとを比較したときに、原発維持の方が本当に安いと言い切った反・脱原発派はいない。
また、これはi)の放射性廃棄物と密接な関係にある。
未だに解決方法の見つかっていない放射性廃棄物。
しかし、将来的には何らかの処理方法が見つかるかもしれない。
ただし、その処理費用には莫大な費用が掛かるとしたら。
例えば、宇宙に捨てるとか、海底の奥深くに埋めるとか、人のいない山奥にシェルターを作るとか(いずれも個人的に反対だけれど)。
原発のコストは今考えられているものよりずっとずっと大きいはず。
それは、お金だけでなく、将来の地球に残す負債という意味でも。
衆院選挙では反・脱原発派が圧勝した。
この結果は、有権者の多くが原発が必要と思っているということなのか、それとも消去法の結果だったのか。
どちらにせよ、上記i)とii)への明確な回答がない限り、「原発やむなし」につながる一票は、恐ろしくてできないと思う。
また、そんなある意味非常にわかりやすい問題がクリアに見えているにもかかわらず、堂々とそれらを避けて原発の議論を進めようとする反・脱原発派には、バックに非常に強い産業団体がいるように思えてならない。
上記は所詮、専門分野でもない一個人の限られた知識での意見だ。
もっと、実はこうなんだという意見があればぜひご教示ください。
年の瀬ですが、選挙の時のみならず、2013年も反・脱原発派、脱原発派に関わらず、この問題が日本中で議論されることを願っています。
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