アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ルッコラ、ダイコン

2021-04-05 18:06:09 | みんなの花図鑑
ルッコラ

ルッコラ(Rucola)はアブラナ科の一年草で、英名は rocket.
逆に rocket を訳すと 「はな大根」になります。



地中海沿岸地方ではサラダ用ハーブとして愛用されています。
ロケット‐サラダ(rocket salad)という呼び方もありますね。



和名は キバナスズシロ。



種まきは春と秋に行います。特に初秋に蒔いておくと、冬中利用できるので重宝します。
生葉は胡麻の風味があり、他の野菜とも良く合いサラダに最も向いているハーブです。花を咲かせると味が落ちますが そのままにしておくと種が落ち、実生で発芽し成長します。(中年の独立国・Herb の世界「Rocket」)



場所を変えて・・・







ダイコン

アブラナ科 ダイコン属



ルッコラと同じで、ダイコンも収穫せずに畑にそのままにしておくと きれいな花が咲きます。



種が収穫できます。
















スミレ、ムラサキケマン - 距

2021-04-05 11:32:52 | みんなの花図鑑
スミレ

このスミレ、何というスミレでしょうか? 当地の土手や田の畦は今、このスミレと ハナニラの白い花でいっぱいです。




スミレの花は5弁花で、左右対称に配置してます。
花弁の名前はいたって単純で、
上の白っぽい2枚が 「上弁」、
中央の左右2枚が「側弁」、
下の一枚が(下弁でなく)「唇弁」といいます。

(なんて、知ったかぶりをしてますが、ここに書くことは投稿直前に にわか勉強した事柄ばかりです。間違ったことを言ってるかもしれませんので、その節はご容赦ください m(_ _)m)



このスミレの葉はこんな「ヘラ形」です。この形は 昔から路地でよく見た「スミレ」と同じ形をしているのですが、色が「すみれ色」ではないのです。

でも、撮ってきた画像をスマホの Google Lensアプリで検索すると・・・

ちゃんと(白い花でも)「スミレ」を第1候補に挙げてくるので、やはり「スミレ」(Viola mandshurica マンジュリカ、ホンスミレ)でいいのかもしれません。
なお、第2候補として「Viola lanceolata 」を挙げています。これは Lance-leaved Violet(槍形の葉をしたスミレ)ということですが、ここで上げている「ヘラ形」スミレとは違うようです。




で、名前のことはそれくらいにして、スミレの花の特徴といったら何でしょう? (^_-)-☆
ひとつは 「左右相称の5弁の美しい花を開くこと」で、これについてはすでに触れました。
もうひとつは 「スミレの花にはがある」ということです。




「距(きょ)」というのは 花冠のお尻が後方に突き出している部分のことです。
スミレには距がありますが、パンジーに距はなかったですね。
で、距のなかには蜜が出ています。



距は花筒の一番奥にありますから、ハチが来て吸蜜しようと口吻を伸ばすと手前にある花粉を体につけることになります。



距を付けた花はお尻が大きくなり重くなります。普通に筒元に花柄を付けたのでは 花は下向きに咲くことになります。それでは虫たちが気が付きにくくなります。
そこで、スミレの花は 花筒の真ん中あたりに花柄を取り付けて ヤジロベイのようにバランスをとっています。
逆に言うと、開いた花弁と 果柄を挟んで反対側に距を付けてカウンタウェイトの役目を果たしているとみることもできます。
さらにスミレの花は意匠を凝らしています。2枚の上弁は マメ科の蝶形花でいうと 旗弁のように虫を呼ぶ旗のような役目を果たしていると考えられますが、上弁はこのように反り返っているのです。これは やってきたハチが上弁に逆立ちして止まり蜜を吸いやすくするためと考えられています。


〔後記〕
スミレの名前ですが、以下の画像を添付して 掲示板にお尋ねしてみました。

Q. 愛知県の土手に、今年はこんなスミレが群れをなして咲いています。
 よく見る すみれ色のスミレと形はよく似ていると思うのですが、
 この花弁が白く紫色の縞の入ったスミレの名前を教えてください。


ヘラ形の葉。葉柄は葉よりずっと短いです。


花。


距。


花筒内部の様子。


距内部が見えるまで剥がしてみました。


回答
アリアケスミレです。
http://www.plantsindex.com/plantsindex/demo_html/demo_db/result36230.htm





ムラサキケマン

ムラサキケマン(紫華鬘)は ケシ科 キケマン属の越年草です。
スミレと何の関係が??
とお思いでしょうが、実は この花も「距」を持っていたのです。



愛知県緑化センターの樹木園のクスノキの木の下にありました。やや湿った木陰が好きなようです。
ムラサキケマンの学名は Corydalis incisa で、
属名の「Corydalis」は Korydallis(ヒバリ)が語源で、長い距をヒバリの蹴爪に例えたようです。
種小名のincisaは鋭く裂けたの意。




「葉は根生と茎生の両方があり、柄があり長さは3〜8cm。2〜3回羽状に細かく裂け、裂片は卵状くさび形で深い切れ込みがあります。」(HiroKen花さんぽ「ムラサキケマン」)




花は 一見すると ソラマメ属のナヨクサフジの花(蝶形花)や シソ科のサルビアの花(唇花)にそっくりですが、機能は同じかもしれませんが、構造が違います。

(上の画像をトリミング)
ムラサキケマンの花には 距があり、花は 花筒の真ん中あたりに花柄がついています。(ナヨクサフジやサルビアの花は花筒の付け根に花柄が付いています)




上の画像にはないのですが、距の部分に穴が開いていることがあるそうです。
これは花が古くなって傷んだのではなく、オオマルハナバチなどの盗蜜昆虫が距の中の蜜を狙って開けた穴なんだそうです。

〔参考〕トレニアの花に穴をあけ盗蜜するクマバチ