アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ワスレナグサ、キュウリグサ

2021-04-04 17:00:00 | みんなの花図鑑
今度は 名前でなく 花のかたちがよく似た2つの花です。

ワスレナグサ

最初は、花壇に咲いていた ワスレナグサ。
ワスレナグサは ムラサキ科 ワスレナグサ属。
どこにも問題はないように見えます。




ところが、wiki 「ワスレナグサ」を読むと、こんがらがって分けわからなくなってきます(ToT)
「ワスレナグサ(勿忘草、忘れな草)は、広義には、ムラサキ科ワスレナグサ属の種の総称。
狭義には、ワスレナグサ属の一種、シンワスレナグサ(学名:Myosotis scorpioides)の和名。
ただし、園芸業界でワスレナグサとして流通しているのは、ノハラワスレナグサ (M. alpestris)、エゾムラサキ (M. sylvatica)、あるいはそれらの種間交配種である。」
というのです。



このワスレナグサは花壇に植えてあったので、雑種(園芸種)のワスレナグサということになります。
花径は大きく7~8mmくらい。

それに対して、真のワスレナグサ(True forget-me-not)のほうは 花径ももう少し小さく、何よりも野草っぽいです(^_-)-☆ (妖精からの贈り物「シンワスレナグサなど」
ヨーロッパ原産で水辺に生え、日本には観賞用として導入したものが、「 1950年代から北海道,長野県で野生化」しているそうです。

(出典:国立環境研究所・侵入生物データベース「日本の外来生物・シンワスレナグサ」)





「花冠の喉部の付属帯は5個、鱗片状。花冠裂片は5個、平開し、丸形、縁は回旋状。」(三河植物観察「ワスレナグサ」)




「雄しべは筒部の内部にあり、葯は卵形~楕円形、先は鈍形。子房は4室、普通、卵形、密着し、レンズ形、直立し、平滑、光沢があり、基部に付着跡がある。」(同上)




キュウリグサ

こうして 花だけアップで撮ると、水色のワスレナグサとどこが違うんだというくらいよく似ています。
でも 花は ワスレナグサと比べるとずっと小さいです(花径2~3ミリくらい)。




これは別のところ(前山ダム)で撮った キュウリグサです。この日は小雨が降ってました。



キュウリグサというと 必ずと言っていいほど「さそり型花序」という言葉が出てきます。
ところが、「さそり」という動物を見たことがない(いや、見たことはあるのだろうが じっくり観察したことがない)ので、
サソリのしっぽ
と言われても何のことかよく分かりません (ToT)
色々調べると、キュウリグサの茎はまっすぐ立ち上がってるのでなく 上のほうはクルリと巻いているのだそうで、この形が 「サソリの尾」のようだというらしいのです。

でもサソリはちかしいものじゃないので、いっそのこと
 ゼンマイのようにクルリと巻いている
じゃまずかったのかなぁ? それならよく見てますけど (´v_v`)

(無料イラスト 作者:kanikanisanさん)




5弁花の中に 黄色いドーナッツ状の副花冠(corona コロナ)があります。
(ワスレナグサのときは 「花冠の喉部の付属帯」といっていたものです。花のコロナ(副花冠)は花弁やおしべが変化したものです)
少しだけ雄しべの葯が見えています。




カラスノエンドウ、スズメノヤリ

2021-04-04 10:17:10 | みんなの花図鑑
よく見る鳥の名が付いた野草のお話。

カラスノエンドウ

マメ科のカラスノエンドウです・・・が、「ヤワズエンドウ」が正式らしいです。


ところで、花を見れば マメ科ということは分かるのですが、
カラスノエンドウ(ヤワズエンドウ)は、マメ科の 何属でしょうか??

ヒント: 以下の画像の どちらの仲間でしょうか (^_-)-☆

左:エンドウ 右:ソラマメ




答え: カラスノエンドウは エンドウ属でなく、なんと ソラマメ属なのでした。




ヤハズエンドウの和名は、小葉の先端がくぼんでおり、弓矢の弦を受ける部分(矢筈)に似ていることから付けられている。
(岡山理大・植物雑学事典「ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)」) 




カラスノエンドウとも呼ばれるが、学術的にはヤハズエンドウに統一されている。しかしながら、カラスノエンドウという名は教科書に使われていたこともあって、現在でも広く使われている。(同上)




花は マメ科の典型、蝶形花で、花弁は3組6枚あり、後方の大きい2枚が旗弁、手前の濃い紫色をした部分が翼弁、その中に見えないがシベを抱えた舟弁(竜骨弁とも)があります。受粉すると 翼弁は このように 濃い紫色に変わります。



受粉すると 子房はどんどん長く成長し 果実になります。豆の鞘(さや)の先に、子房を包んでいた翼弁がまだ残っています。




カラスノエンドウとくれば、おおむねつぎは スズメノエンドウなのですが・・・

ちょっと休憩。

これは 3年前に撮った ソバ畑のヒバリです。



スズメノヤリ

スズメノエンドウはうまく撮れなかったので、今回は ダム湖の湖畔で撮った スズメノヤリ です。(後方にダム湖水面が写ってます)




さて、スズメノヤリですが、所属は どこでしょうか?
カヤツリグサ科 でしょうか?



スズメノヤリは イグサ科でした。
イグサ科は 日本にはイグサ属とスズメノヤリ属の2属が分布します。



ごちゃごちゃしてますが、複数の花序が集合して咲いています。穂を作っています。
穂から出ている槍?が 苞葉 です。花序を包む役割を担ってるので「苞葉」なのですが、スズメノヤリの苞葉はこんなやりみたいな独立機関になってます。
ただし、スズメノヤリの「槍」は この花穂全体が、大名行列で使われていた毛槍(けやり)に似ていることからつけられたものということです。

風媒花なので、カラスノエンドウのように、派手な花弁をつけ虫を呼ぶ必要がありません。
いま目立つのは 黄色い大きな葯のおしべです。




今は 雄しべ活動期なのですが、実はその前に 雌しべ活動期があったのです。
左手に 糸くずのようなものが出てますが、それが雌しべの柱頭です。この雌しべはすでに受粉が終わっています。なぜなら、雄しべの葯が伸びてきていますから。
葯が割れ、風が吹くと、この雄しべの花粉は どこか別の株の雌しべのところに飛んで行って 授粉します。