アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

樹に咲く花 (33) イチョウ雌花

2021-04-12 16:11:38 | みんなの花図鑑
イチョウはすでに 「樹に咲く花 (30) イチョウ」で投稿していますが、そのときは雌花に出会えていませんでした。
いや、出会えてるのですが、高いところにあって まじかで観察できなかったというのが実際です。


イチョウ 雌花

きょう、脚立をもって まじかに見てきましたので、スレッドを改め ご紹介します。
場所は 岡崎市の和志取神社境内です。
イチョウは雌雄異株で、雌株は銀杏の実が臭いので 街路樹には使われなくなりました。雌株の雌花を見るには 昔から神社と相場が決まってるようです(^^)/




枝の節々から若葉が展開したあと、同じ節から雌花が伸びるのが 順番のようです。




一つの節から 2、3本ときには 4、5本 花柄を伸ばしています。葉に隠れて同じ色をしているので、その気になってみないと、気が付かないことが多いです。




これが やっと出会えた雌花です(^^♪




おっぱい型の胚珠の先から 液体を出していますが、これは蜜ではありません。
裸子植物は 風媒花なので、蜜を出して虫を呼ぶ必要はないのです。




ニップルの先から出ている液体は、「受粉滴」といって花粉を受粉する液体なのです。




風に舞って 雄株から飛んできた花粉がこの受粉滴に捕まると、「胚珠が上を向いている場合は, 花粉は受粉滴の中を落下して直接珠心に届く。」(東京大学総合研究博物館・高相 徳志郎「針葉樹類の受粉機構」)




「胚珠が下を向いている場合は, 受粉滴が体積を減少する際にこの液のメニスカスによって上に運ばれる。珠心の先端は親水性であり, 珠皮の内表面がクチクラで疎水性であるため, 受粉滴の液柱が珠孔道の中を珠心に向かって動くからである。」(同上)

このように、受粉滴による裸子植物の受粉といっても、色々バラエティーがあり、「針葉樹類のおよそ半数の属でしか受粉機構が調べられておらず, 残りの属での研究が望まれている。」(同上)とのことです。


〔参考・受粉滴
コノテガシワ - 於大公園(東浦町)

スギ - 別郷廃寺(安城市)



樹に咲く花 (32) カバノキ科

2021-04-12 06:00:00 | みんなの花図鑑
今回は、カバノキ科の花を集めてみました。みな、地味な花です。


イヌシデ

イヌシデは カバノキ科クマシデ属。



「シデ」は「紙垂」で、 神社で玉串やしめ縄に垂らす稲妻形に折った紙のことです。花穂の垂れ下がる様子が紙垂に似ているところから、というのですが・・・



雌雄異花で、この垂れ下がった花は もちろん 雄花。



ひさしのような苞の下に雄しべが花粉を出しています。




一方、雌花のほうですが、よく分かりませんでした (ToT)
上の画像の 雄花序ではない、若葉のように垂れ下がっているのが 雌花だということです。




ハシバミ

ハシバミは カバノキ科ハシバミ属。
これは 3月に撮った雄花序です。



同じく3月に撮った雌花序です。



現在は 葉だけ。



これは 8月に撮った果実です。秋に成熟すると食べることが出来ます。
仲間に セイヨウハシバミがあって、その果実が ヘーゼルナッツ です。
このハシバミは 英語で Asian Hazel と呼ばれてます。





クヌギ (ブナ科)

クヌギは ブナ科コナラ属で、カバノキ科ではありませんが、雄花の垂れ下がる様子は 上のイヌシデに似ているということで 参考のために。



雌花もあるらしいのですが、小さくて見えません。







サワシバ

最後は サワシバで、カバノキ科クマシデ属の落葉高木です。
上の画像の右手のように ミノムシみたいな果実が生るのが特徴です。




その 花ですが、下にぶら下がっているのが 雄花序です。
雌花序はというと・・・



上のほうが 雌花序のようです。
「本年枝の先から雌花序が、前年枝から雄花序が垂れ下がる。
雌花序は、たとえばアカシデの果穂と似ていて、ややこしい。」(樹木の写真「サワシバ」)
サワシバの雌花序は、とくに 柱頭が赤くなるわけでもなさそうなので、知っていないと気が付きません。




雄花序の小花だけでも見ておきましょう。
「雄花序に苞は多数つき、苞の縁に長い毛がある、苞に1個ずつの雄花がつく。雄花の雄しべは4~8個。」(三河植物観察「サワシバ」)