アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ハイビスカス - 正体見たり雄しべ筒

2021-07-05 18:00:00 | みんなの花図鑑

一般に ハイビスカスと呼ばれるこの花は アオイ科フヨウ属の花です。
Hibiscus はアオイ科フヨウ属の属名で、同属の花は 大きな花蕊(しべ)が特徴です。



花を上から見たところです。
オレンジの5つの毛深い球が雌しべの柱頭。
その下の黄色いもみ殻の棒が雄しべの葯(花粉が入った袋)と花糸です。葯が割れ花粉が出ている雄しべもあります。




斜め横から俯瞰するとこんな感じです。
何となく見てると、たくさんの雄しべは めしべの花柱から枝分かれして生えているように見えます。




でも、それは間違いです。
この細い雄しべは多数の花糸が融合して筒を作っているのです。花糸の葯に近いところだけ筒から分かれて(ばらけて)伸びているのです。

下に融合途中のヤブツバキのおしべをお見せします。

ヤブツバキのばあいは基部のほうだけ融合しているので、王冠のような形になっています。

いっぽう、ハイビスカスのばあいは 葯に近い付近まで融合して筒を作っています。
これを雄しべ筒(staminal tube = staminal column )と呼んでいます。

ということは・・・
雌しべの柱頭と花柱は 雄しべ筒の中を通って下の子房とつながっているのでしょうか?




どうやらそのようなのです。
花蕊の太い円柱は 実は外側がたくさんの雄しべが合着してできた管で、その中を雌しべの花柱が貫通し、抜けた先で柱頭を展開しているのです。
アオイ科のめしべとおしべは 刀とその鞘(さや)の関係です。
もちろん めしべが刀で、雄しべ筒が鞘(さや)です。




刀と鞘のたとえを続けるなら、刀の柄(え)に当たる部分が雌しべの柱頭です。
鞘の一番上端はどうなっているのでしょうか?
ムクゲなどではめしべと雄しべ筒が同じ色をしていたり、雄しべの花糸が上のほうまで伸びて柱頭を隠していたりするので、確かめることが出来ませんでしたが、ハイビスカスではこのように 明確に 雌しべとおしべの境界を観察することが出来ます。




分かってしまえば、めしべの花柱と 雄しべ筒が同じような色をしていても、ほら、
筒の中から めしべが出ているのがよくわかります。




アオイ科の花シベがいつからこのような構造をとるようになったのか分かりませんが、
ヤブツバキの発展形態として、「刀と鞘」方式をとっている花は 他にも キク科や キキョウの仲間があります。
















去年の今日
ムクゲ、ブッソウゲ - アオイ科
タイトルの「ムクゲ、ブッソウゲ」というのは 語呂がいいから。 ふつうなら「ムクゲ、ハイビスカス」というところです (´∀`)見出し画像はずっとまえの9月富山の氷見市海浜植物園で撮......


エキナセア - ハリネズミの正体

2021-07-05 10:20:25 | みんなの花図鑑

キク亜科のエキナセアです。エキナセア(Echinacea)という属名は、ギリシャ語の echina(ハリネズミ)に由来し、中央の球形の筒状花の形状がハリネズミを連想させるところから名づけられたことはご存のとおりです。
エキナセアの種名は 筒状花(ハリネズミのほう)の形状ではなく、舌状花(その周囲の花弁のような小花)の色で呼ばれるそうなので、上のは白いので エキナセア・アルバでしょうか?
(舌状花が紫なら、エキナセア・プルプレア(E. purpurea)です。黄花ならエキナセア・パラドクサ(E. paradoxa)です)

筒状花(ハリネズミ)のほうに話を戻しますが、エキナセアの筒状花は他のキク亜科の筒状花と大きく違うところがあるのに(私はこの写真を撮っていて)気が付きました。




一枚目の画像のほうが分かりやすいかもしれませんが、通常キク亜科の筒状花は花弁の中から 雄しべ筒が伸び、さらに筒の中から雌しべ棒が花粉を押し上げ、その後、めしべの柱頭が開いて成熟します。
この画像でも 黒褐色の雄しべ筒が頭に黄色い花粉を載せています。
しかし、よくみると、ツンツン立った ハリネズミの正体は このおしべ・めしべ集合体とは別の器官のようです。




少し近づいてみます。
先ほどの黄色い花粉を載せた雄しべ筒のほか、さらに雌しべが柱頭を羊の角のように開いたシベも見えますが、より高く目立つのは サボテンのような果肉植物の葉のような器官です。

これは何なのでしょう?
これが エキナセアの筒状花を ハリネズミと呼ばせているものの正体なのですが・・・




実は、このハリネズミの正体、これを書いている今もまだ よく分かりませんなのです(ToT)
ただ、ヒントとして この花は北アメリカの比較的乾燥した土地の原産で、花後もハリネズミの形が長く残り、ドライフラワーにもなるということです。




通常のキク亜科の筒状花には こんなサボテンみたいな部分はありませんから、めしべが受粉すればその他の部分は萎んで枯れて 形はなくなります。




答えを教えてくれたのは 今回も 「ヤサシイエンゲイ」でした (^^♪
要約しますと・・・
ハリネズミの正体は 蕾のときに花を包んでいた「苞」(葉の変化したもの)の先が針のように先がとがっているから
なんだそうです。
(なぁ~んだ、そうだったのか、、ですよね (´∀`))


以下、クモの嫌いな人は 見ないでください (ありがとうございました! ここでお別れです)


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