アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

特集★ナンキンハゼの咲く順序 (3) 順序不明の木

2021-07-11 18:00:00 | みんなの花図鑑
ナンキンハゼは雌雄同株で、雄花、雌花の咲く順序は

(1) まず雄花ばかりの花穂が咲いた後、側枝から(雄花+雌花)の花穂が付く2度咲きタイプ
(2) 一度だけ (雄花+雌花)の花穂が咲くタイプ

の2種類あることが分かりました。
けれど、実地検分?していくと、なかなか どちらのタイプか 分からない木があります。


雄花しか咲かない?「タイニー・カスケード」

これは 6月28日に撮影し(て、すでに一度アップし)た「タイニー・カスケード」という園芸品種です。
キングサリのように 見事な黄色い花穂が垂れ下がっています。




そのとき観察した 花穂です。
枝元のほうまですべて雄しべで、この花は 雄花です。
ということで、タイプ(1) のほうで しばらくして「側枝から(雄花+雌花)の花穂が付く」のだろうと様子を見ていましたが・・・




その10日後の 7月8日、行ってみると、確かに地面には その雄花が萎れてたくさん落ちていましたが・・・




どこにも 「側枝から(雄花+雌花)の花穂が」付いていません(ToT)




先行雄花が落ちない「サマー・フリンジ」

この「サマー・フリンジ」という園芸品種も やや変わっています。
上の画像を見て分かるように、タイプとしては (1) のほうで、
「まず雄花ばかりの花穂が咲いた後、側枝から(雄花+雌花)の花穂が付く2度咲きタイプ」
なのですが、「側枝から(雄花+雌花)の花穂」が咲いているのに、先行して咲いた雄花の花穂が脱落していません。




確かに 地面には 雄花ばかりの花穂が落ちてはいるのですが、その数は 全体のうちのわずかな数です。




こういう風に 役目を終わった花穂がいつまでも残っていると、養分を取られ 成長を阻害され 不利なのですが、園芸品種なので、切り落とす能力を失ったのでしょうか?


これらのナンキンハゼは、さらに もうしばらく観察する必要がありそうです。


特集★ナンキンハゼの咲く順序 (2) 雌性先熟

2021-07-11 08:00:00 | みんなの花図鑑
前回の 雄性先熟型は 枝先に 雄花ばかりの花序がまず咲き、それが脱落するころ、その側枝に 雌花と雄花両性の花序が付くというものでした。〔♂〕⇒〔♀+♂〕


雌性先熟(成功)型

雌性先熟型は 最初の雄しべばかりの花穂の時代がなく、枝先に いきなり 雌花と雄花両性の花序 〔♀+♂〕 を付けます。
これは 安城デンパークにある沢山の ナンキンハゼのうち、「スノー・マウンテン」という園芸品種を撮ったものです。「スノー・マウンテン」という品種は 次に出てくる「メトロ・キャンドル」種に比べると数が少ないようです。




〔雌花+雄花〕 のうちでは 枝元の 雌花のほうが先行して成熟します。
雌しべの先の柱頭が枯れてきています。




ここまでは 6月28日に撮ったものです。




ここからは (10日後の)7月8日に撮った同じ株の花です。
見られるように、雌花はもう果実になっています。
雄花のほうも、ほとんど花粉を出し切っています。



4つほど 青い果実が見られますが、1つを残して他は皆、用を終えた頭の柱頭が脱落しています。




上と同じ状態です。





雌性先熟(失敗?)型

これは 「メトロ・キャンドル」という斑入りのナンキンハゼです。
上の画像は 雄花の花穂に ハエがたかっているところです。
一見すると、雄性先熟の株のように見えますが・・・




花穂の付け根のところをよ~く見ると、何か黒化したものが付いています。




そうです、黒化したものは 何と 雌花だったのです。
この株は(たぶん メトロ・キャンドル種のすべてが)雄花より雌花が先に活動する 雌性先熟型だったのです。




ところが、「メトロキャンドル」の雌花は、 前の「スノー・マウンテン」のように めしべが受粉することなく枯れてしまっているのです。




前の「スノー・マウンテン」より この「メトロキャンドル」のほうがたくさんあるのに、こちらのほうが いわゆる「しいな」が多いのです。



中には 雄花ばかりに見える花穂もあります。(このあたりがよく分かりません)



雄しべの葯がやや赤いこともあるようです。



こういうのが一般的なようですが、メトロ・キャンドルには 果実は実らないのか、もう少し継続観察が必要なようです。