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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

スウィートピーとツタンカーメン・エンドウ

2023-05-16 17:39:39 | みんなの花図鑑
スウィートピー

このエンドウ(pee) は観賞用の sweet pee です。
sweet pees はシチリア島が原産の有毒植物で、「1695年に修道僧クパーニによって発見され、その後イギリスで園芸植物として発展した。」(Wikipedia「スイートピー」)



sweet pee をネイティブが発音するのを聞くと「スウィーピー」と聞こえます。
どういうわけか日本では「スウィーピー」でも「スウィートピー」でもなく「スイートピー」と呼ばれています。でも綴りを見れば分かるように、強いてカタカナ表記するなら「スウィートピー」が自然なのです。




スウィートピー の例文(1)
・・・もとスウィートピーにアスピリンをやったら、すっかり花が上を向いて紙細工のよう・・・ 宮本百合子「獄中への手紙」




スウィートピー の例文(2)
・・・の花瓶に生けた紫色のスウィートピーが美しく見えた。 会館前で友人と別れて、・・・ 寺田寅彦「蒸発皿」



スウィートピー の例文(3)
・・・温室にスウィートピーが植込まれたところ。一本一本糸の手が天井から吊ってあり・・・ 宮本百合子「金色の秋の暮」




なお sweet pees は「匂いの良いエンドウ」という意味なので 「スウィートピー」を和名にするとすれば「香りエンドウ」みたいな感じでしょうか?
さらに、なお、ですが・・・
エンドウは「豌豆」(えんどう=宛の豆)という意味なので、エンドウの後ろに「豆」をつける必要はありません。





エンドウ

表題には 「ツタンカーメン・エンドウ」と書きましたが、画像のエンドウがツタンカーメン種であるかどうか、私は知りません。



この豆をよく「グリンピース」と言いますが、これも英語「green pees」のカタカナ表記が訛ったんですよね、たぶん。
「green pees」だから「グリンピーズ」が適当でしょうか?
(もっともネイティブの green peesc の発音を聞くと「グリンピー」としか聞こえませんが (´v_v`))




先日、玄関の新聞受けのバスケットにこのグリンピーズが入れてありました。
そして 家庭菜園をやってる福祉委員会のTさんから
「グリンピースと、グリンピースのツタンカーメンを袋に入れたけど、ツタンカーメンは、ご飯に一緒に入れて炊いて5時間後に見ると、御赤飯になっています、摩可不思議な豆ですのでお試しください」
などとLINEに伝言がありました。




ツタンカーメン・エンドウのほうはサヤが紫色ですからすぐわかります。
LINEのメッセージの通りやってみたら、炊き上がりは白かったご飯が 4時間後には本当に赤みがかっていました\(^o^)/




ツタンカーメンのエンドウ(アラビア語で「バーズラーァ」)は当初(1838年) ジョン・ウィルキンソンがエジプト旅行中にミイラの穴で封印された壷を発見、大英博物館に寄贈したものをミイラ研究家で、外科医でもあるトーマス・ペティグルーがそれを開けようとして誤って壊してしまっったことによって発見されたのが最初とのこと。
 「ミイラのエンドウ」の話は20世紀初頭にはあまり話題にならなくなっていたが、1930年代になって突然、今度は少し様相を変え「ツタンカーメンのエンドウ」として再登場しました。ハワード・カーターによるツタンカーメンの墓の発見が1922年で、このときもまた園芸業者が「ツタンカーメンの墓から発見されたエンドウ」としてセンセーショナルな売り込みをかけたのです。
 千年ハス(二千年ハス?)のように古代のロマンが大好きな日本人が飛びつかないはずはありません。実際に日本に入ってきたのは1956年のことだそうですが、古代エジプトへのロマンを書きたてながら新聞の報道とともに日本の津々浦々に広がっていったと思われます。(以上、Newsweekコラム保坂修司 イスラーム世界の現在形「日本で「ツタンカーメンのエンドウ」が広まった理由、調べました」を参考にしました)
 ちなみに、東京・京都・福岡で開催された「ツタンカーメン展」で、計約295万人を集めたのは1965年のことでした。





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