東北の方向に黙とうをささげる参列者ら
岩手県出身者らでつくる「京都岩手県人会」は霊明神社(東山区)で追悼慰霊祭を開き、約30人が参列した。
同神社の神職、村上浩継さん(45)は宮城県南三陸町の仮設住宅などで被災者の話を聞いたり、清掃を手伝ったりするボランティア活動に従事。2014年から5年間、岩手県釜石市の広聴広報課職員として勤務した縁で、21年から同神社で慰霊祭を営む。
地震が発生した午後2時46分に東北の方角に向け、全員で黙とうした。同県人会の佐藤耕吉さん(74)は「被災された方々はこの14年、忘れようとする思いと忘れたくない思いだったでしょう。私たちも忘れ得ぬ思いに寄り添って生きていきたい」と追悼の言葉を述べた。
同県花巻市出身の筑前琵琶奏者・宇佐美周子さん(51)がオリジナルの追悼歌を奉納。参列者による復興支援曲「花は咲く」の合唱では、故郷に思いをはせて涙をぬぐう人もいた。
神社では、同県大船渡市で2月に発生した大規模山林火災に向けた募金箱も設置している。村上さんは「3月11日の慰霊祭ではあるが、火災についても思いをはせて祝詞をよませていただいた。災害を振り返り、東北から離れた京都でも、次に起こる災害への備えに生かす機会にしていきたい」と話していた。