ある人材サービス会社がアルバイト情報誌やインターネットへの求人広告を集計したところによれば、アルバイトの時給が前年同月比+2.1%の989円となり、三ヶ月連続で前年同月比プラスとなっているそうです。
従来から、アルバイトの時給は景気の先行指標として常にモニタリングされており、時給上昇は景気が回復基調にあることをいち早く示していることになります。
もっとも、今回の上昇には景気回復とは別の側面もあるようです。
一つは、労働者派遣法改正の動きです。
働き手の保護を強める内容の法改正を前に、従来派遣社員に依存していた工場や倉庫内の軽作業などをアルバイトやパートに切り替える動きが顕在化しているというのです。
今回の労働者派遣法の見直しを巡る論議で『製造業への派遣禁止は、正社員登用への道を、逆に狭くすることを招くのではないか』と心配されていた事象が、現実に生じているということになります。
もう一つは、就職戦線が厳しくなる中で、『オフィス・ワークや営業職の方が就職に役立つ』と大学生たちが考え、コンビニ、家庭教師や引越しなどのアルバイトを敬遠する動きもあるそうです。
実例を挙げると、ある女子学生は、保険会社のコールセンターでのアルバイトを通じて、言葉遣いやビジネスマナーの基礎を学ぶというのです。
私が学生時代に経験したアルバイトといえば、新宿などのナイトクラブのエキストラ・ベース奏者、有楽町のビアガーデンのチケット売り場、横浜港の輸出車船積みの運転手、目白の英会話学校のポスター貼り、横浜のガソリンスタンドの給油員、目黒区内の美容院の助手、小田原競輪場の開催日限定の道路案内人等々、『就職に役立つから』というような考えは毛頭ない、テキトーなアルバイト学生でした。
就職活動も、私の大学四年生の秋、10月1日に会社訪問が解禁されて銀行で最初の面接を受け、10月3日の夜に「明日、来て下さい」と電話があって、10月4日に行ってみると午前中に部長レベルの面接、午後から役員面接が待っていて、その夜に電話で内定が出るという短期決戦で決着。
大学三年生の頃から就職活動で何ヵ月間も苦労する現代の学生さんたちの話を聞くにつけ、私たちの時代は本当に恵まれていました。
そんな情けない経験しか持ち合わせない私ですが、アルバイトする学生さんたちに一つだけ助言するとすれば、『正社員であれ、アルバイトであれ、所定のマニュアルに従って行なう仕事では、いくらやっても本当の職業能力は身に付かない。』ということ。
別の言い方をすると、『マニュアルに従う仕事の経験だけに基づく職業観は、決して仕事の本質を捉えていない』『腰を据えて業務知識を習得して、マニュアルを制定する立場になってください』という事です。
先ほどの保険会社のコールセンターを例にすれば、マニュアル作成の立場となれば、販売担当者に必要な資格の確認、商品知識、関係法令等に基づく必須説明事項と禁止事項、心を動かすセールストーク、時間帯別・曜日別のコール数の見積もりと必要人員、想定通話時間の計算とコスト見積もりと所属部門での承認、法務部門・商品開発部門・営業推進部門などの関連部門からの承認、顧客との想定問答集の作成、スタッフ研修、運用実績の検討とマニュアル見直し、苦情対応と金融当局への報告等々、とても幅広い業務知識とノウハウが必要となります。
とても大変ですが、だからこそ仕事が上手く運んだ時の充実感は格別なものとなります。
一方、マニュアルを与えられるアルバイトの立場では、『言葉遣いやビジネスマナーの基礎を学ぶ』というぐらい認識なのですから、その裏側でどのような仕事が行なわれているのかは、到底理解できません。
アルバイトの社会経験は大切だと思いますが、それをもって『仕事とは、こんなものだ』と勘違いしてしまうと、いざ正社員になってからも安易に転職してしまうことにつながり、いつまでたってもマニュアルを与えられる立場にとどまることになってしまいます。
『桃栗3年柿8年』
仕事の本当の難しさと面白さを知るためには、どんな業種であっても腰を据えた勉強が必要なんですね。
従来から、アルバイトの時給は景気の先行指標として常にモニタリングされており、時給上昇は景気が回復基調にあることをいち早く示していることになります。
もっとも、今回の上昇には景気回復とは別の側面もあるようです。
一つは、労働者派遣法改正の動きです。
働き手の保護を強める内容の法改正を前に、従来派遣社員に依存していた工場や倉庫内の軽作業などをアルバイトやパートに切り替える動きが顕在化しているというのです。
今回の労働者派遣法の見直しを巡る論議で『製造業への派遣禁止は、正社員登用への道を、逆に狭くすることを招くのではないか』と心配されていた事象が、現実に生じているということになります。
もう一つは、就職戦線が厳しくなる中で、『オフィス・ワークや営業職の方が就職に役立つ』と大学生たちが考え、コンビニ、家庭教師や引越しなどのアルバイトを敬遠する動きもあるそうです。
実例を挙げると、ある女子学生は、保険会社のコールセンターでのアルバイトを通じて、言葉遣いやビジネスマナーの基礎を学ぶというのです。
私が学生時代に経験したアルバイトといえば、新宿などのナイトクラブのエキストラ・ベース奏者、有楽町のビアガーデンのチケット売り場、横浜港の輸出車船積みの運転手、目白の英会話学校のポスター貼り、横浜のガソリンスタンドの給油員、目黒区内の美容院の助手、小田原競輪場の開催日限定の道路案内人等々、『就職に役立つから』というような考えは毛頭ない、テキトーなアルバイト学生でした。
就職活動も、私の大学四年生の秋、10月1日に会社訪問が解禁されて銀行で最初の面接を受け、10月3日の夜に「明日、来て下さい」と電話があって、10月4日に行ってみると午前中に部長レベルの面接、午後から役員面接が待っていて、その夜に電話で内定が出るという短期決戦で決着。
大学三年生の頃から就職活動で何ヵ月間も苦労する現代の学生さんたちの話を聞くにつけ、私たちの時代は本当に恵まれていました。
そんな情けない経験しか持ち合わせない私ですが、アルバイトする学生さんたちに一つだけ助言するとすれば、『正社員であれ、アルバイトであれ、所定のマニュアルに従って行なう仕事では、いくらやっても本当の職業能力は身に付かない。』ということ。
別の言い方をすると、『マニュアルに従う仕事の経験だけに基づく職業観は、決して仕事の本質を捉えていない』『腰を据えて業務知識を習得して、マニュアルを制定する立場になってください』という事です。
先ほどの保険会社のコールセンターを例にすれば、マニュアル作成の立場となれば、販売担当者に必要な資格の確認、商品知識、関係法令等に基づく必須説明事項と禁止事項、心を動かすセールストーク、時間帯別・曜日別のコール数の見積もりと必要人員、想定通話時間の計算とコスト見積もりと所属部門での承認、法務部門・商品開発部門・営業推進部門などの関連部門からの承認、顧客との想定問答集の作成、スタッフ研修、運用実績の検討とマニュアル見直し、苦情対応と金融当局への報告等々、とても幅広い業務知識とノウハウが必要となります。
とても大変ですが、だからこそ仕事が上手く運んだ時の充実感は格別なものとなります。
一方、マニュアルを与えられるアルバイトの立場では、『言葉遣いやビジネスマナーの基礎を学ぶ』というぐらい認識なのですから、その裏側でどのような仕事が行なわれているのかは、到底理解できません。
アルバイトの社会経験は大切だと思いますが、それをもって『仕事とは、こんなものだ』と勘違いしてしまうと、いざ正社員になってからも安易に転職してしまうことにつながり、いつまでたってもマニュアルを与えられる立場にとどまることになってしまいます。
『桃栗3年柿8年』
仕事の本当の難しさと面白さを知るためには、どんな業種であっても腰を据えた勉強が必要なんですね。