前にも書きましたけど「介護者の権利宣言」をご紹介したいと思います。
なんとか訳をつけました。
介護する人に一方的に「我慢しろ」と言ったり、ただ「頑張れ」とかいう言葉よりも、
こういった具体的な指針のほうが、実質的で効果的かと思います。
介護者の権利がしっかり認識されている社会じゃないと、介護を担っている
人たちは肉体的にも精神的にも追い込まれるだけで逃げ場がありません。
社会としての介護制度の整備も大切ですが、その根本を成す根本概念(土台)を
国としていかに据えるかも同じように大切かと思います。
最後の一文ですが、アメリカ人らしいというか、日本人にはあまり見られない
発想だなぁと思います。
「 介護者が必要な援助を受けられる社会として進歩することを期待し
それを要求する権利がある 」という部分。
社会の進歩、前進のために自分たちで働きかけて、要求していかなくちゃ
いけないんだ!という意気込みというか、黙って社会が変わるのを待っている
だけじゃだめなんだという気持ちが伝わってきますね。
権利を勝ち取る!というスピリットは欧米ならではの思考かなぁと思います。
力強くてポジティブでいいなと思います。
では、Caregiver's Bill of Rights を紹介いたします。
This powerful message first appeared in Jo Horne’s book “Caregiving:
Helping an Aging Loved One” (AARP Books, 1985), but has been adapted by many
organizations and people over the years. Wendy Lustbader – a social worker,
mental health counselor, author, and caregiver advocate in Seattle – is often cited
as its originator.
Whoever came up with it, these points can be a source of reassurance for caregivers.
この力強いメッセージは Jo Horneの本「介護:年老いた愛する人を助ける」(AAPR Books, 1985)
に初めて登場しその後何年もの間、多くの人々や組織に採用されてきました。
Wendy Lustbader(シアトル在住のソーシャルワーカー、精神医療カウンセラー、著述家、
介護者の代弁者)が「介護者の権利宣言」の発案者であると引用されております。
たとえ発案者が誰であろうと、これらのポイントは介護者を励ます源となっております。
I have the right:
To take care of myself. This is not an act of selfishness. It will give me
the capability of taking better care of my loved one.
私には私自身を大切にする権利があります。これは自己中心な行為ではありません。
自分を大切にすることで、愛する人によりよい介護をできることができるからです。
To seek help from others even though my loved one may object.
I recognize the limits of my own endurance and strength.
私の愛する人が反対したとしても、私は他の人に助けを求める権利があります。
わたしは自分の忍耐力と強さの限界を知っているからです。
To maintain facets of my own life that do not include the person I provide care for,
just as I would if he or she were healthy. I know that I do everything I reasonably can
for this person and I have the right to do some things just for myself.
介護する人を抜きにした、私自身の生活を維持する権利があります。
それは、介護を受けている人が健康であると想定して考えうる私自身の生活です。
わたしは、私ができる限りのことをしていることを知っています。そして、わたしはただ
私自身のために何かをする権利があるのです。
To get angry, be depressed and express other difficult feelings occasionally.
わたしは、時々、怒ったり、落ち込んだり、またはそれ以外の困難な感情を表現する権利があります。
To reject any attempt by my loved one [either conscious or unconscious] to manipulate
me through guilt, anger or depression.
わたしの愛する人が、わたしの罪悪感、怒りあるいは落ち込んだ気持ちに付け込んで、わたしを思い通りに
動かそうとする(意識的、あるいは無意識的に行う)様々な試みを拒否する権利があります。
To receive consideration, affection, forgiveness and acceptance for what I do for
my loved one for as long as I offer these qualities in return.
わたしは、介護者へ「愛情」「許し」「受容」「考慮」をお返しとして与え続ける限り、
わたしが行っていることについて愛情、許し、受容、考慮を受ける権利があります。
To take pride in what I am accomplishing and to applaud the courage it has sometimes
taken to meet the needs of my loved one.
わたしは私が成し遂げようとしていることに誇りをもち、わたしの愛する人の必要を満たすために
必要な勇気を賞賛される権利があります。
To protect my individuality and my right to make a life for myself that will sustain me
in the time when my loved one no longer needs my full time help.
私は、わたし個人を守る権利があり、愛する人がもはやわたしのフルタイムのサポートを必要
としなくなったときに、私自身を維持することができるよう、私自身の人生を生きる権利があります。
To expect and demand that as new strides are made in finding resources to aid persons
living with illness, physical or mental challenges in our country, similar strides will be
made toward aiding and supporting caregivers.
病気であり、肉体的、精神的チャレンジを持つ人を助けるために必要な資源を得られるように
社会が進歩してきたように、介護者を支援、サポートするため、社会が進歩することを期待し、
そしてそれを求める権利があります。