遅くまで残業していたときに、あるイギリス系オーストラリア人の女性が私のところにやってきて
「 まだ仕事しているの? 早く帰りなさい。わたしは帰るわね、Bye, Chicken 」
「 Bye........ ( 心でつぶやく なんで Chicken ????????
)」
英語を多少知っている人なら、Chicken を人に対して使う場合「 臆病者 いくじなし 」という意味で使うことは
周知のことです。
突然、Chicken と言われてしまったわたし。
会社でいじめられたりしているので ちょっと混乱してしまいました。
「 これって、まじですか? 私の聞きまつがい? ぇ? 何? Chicken ?? どういうこと????
」
その女性はとても優しいおばさんで、わたしが
「 もうこれ以上働けないくらいしんどい。責任を果たさないとと思うと、残って仕事をしてしまう 」 と言うとすごく同情してくれて
「 わたしだったら、あなたがやっているような仕事はできないわ。いつも Full on だもんね。私の部署に空きポジションがあったらいいんだけれど・・・ 」
「 辞めようかなと思うんです 」 というと
「 Nooooooooooooooooooooooooooooooo この会社内で他のポジション探してみなさいよ 」 と励ましの言葉をかけてくれたり、いつも気にかけてくれる人です。
ので、彼女が私を 「 臆病者 」 と呼ぶなんて考えられない・・・・ けれど
状況が状況だけに
「 問題を抱えているのに、黙って仕事することしかできない臆病者。 早く上司に問題を言いなさいよ 」
とでも言いたいのだろうかとか、考えてしまいました。
色々あるので 心がとっても敏感になっておりまして
おばさんなのに、心は、ガラスの十代。
♪ 言わないで、言わないで Chicken は間違いだよ ♪ と心の中で 繰り返す私
これはショックかもしれない ・・・
で、なんだか情けなくなって、マイクにも言えないまま しばらく1人悶々とする私。
でも、会社で彼女に会うと ニコニコ と笑ってくれたり、ビスケットをおすそ分けしてくれたり、やっぱり優しい。
でも、わたしは Chicken なのか
わけわかんない !!!!!!
で、数日後 会社に朝行くと エレベーターの中で彼女と会う
「 Hello, Chicken 」
「 Hi ・・・・( また Chicken ですか ???
) 」
で、悶々とし続けるのも精神衛生上良くないので マイクに
「 わたし、会社の人に Chicken と言われるんだ。攻撃的な感じじゃないんだけど、でも、Chickenって
臆病者とか いくじなしとかいう意味で使うからさ、一体どういうことなんだろうと思って 」
と言ったら、マイクがちょっとビックリした顔して(会社での出来事を知っているので)
She is not offensive, is she ? ( 彼女は 攻撃的ではないんでしょ?)と言うので
「 いや、そういう感じではないと思う 」 と言って、かくかくしかじか説明すると
笑い始めました。
「 きっと、その人、イギリスの北部出身の人だよ。昔、僕も母親に 「 Chicken 」 って言われたからね。
「 Pet とか、 Petal とかと一緒だよ。親しみをこめて言っているはずだから。臆病者とか いう意味ではないはずだから。」
「 えぇぇぇぇぇ ??? そうなの?
」
状況が状況だけに、Chickenと言われることは かなり心臓に悪いです。言われたときは、本当に耳を疑いました。
2~3日、頭から離れませんでした。「 わたしは Chicken
」
ま、Chicken の意味が分かって、ほっと一安心。
客観的にみると、これは、ある意味笑えます。
で、Yorkshire出身の優しいおじさんが会社にいるのですが、その人を笑わせようと思って たまたまプリンターの前で
その人に会ったときに
「 わたし、ある女性に Chicken って呼ばれるんですよ。」
「 えぇ??
」
「 Chicken って、臆病者とか いくじなしって意味があるじゃないですか。だから、もうショックでショックで。 」
「 うん。だけど、その女性何歳ぐらい?? 」
「 あなたくらいの年齢。中年です。」
「 どんな風に言うの ? 」
「 Hello, Checken とか、Good bye, Checken とか、そんな感じ。」
「 あぁ、そういうコンテキストの中では 悪い意味で使っているんではなくて、Hello, dear とか、そんな感じだよ。」
「 主人に話したら、そういって大笑してました。」
「 主人が小さいときに お母さんからそう呼ばれていたことがあるって言ってました。イギリス北部の表現だって。」
「 ( 彼、笑いながら )いやぁ、でも、そういう言い方は、ほとんど今は聞かないけどね。」
2人して大笑いして、その場を立ち去りました。
英語って、奥深いですね ・・・・ それにしても、どうして Chickenなんでしょうか?
マイクが言うに、Checken は 昔、王様(女王)の所有物で 一般市民は 食べられず貴重なものだったから
そういう背景を踏まえて 愛しい人に親愛をこめて Checken と呼ぶようになったんじゃないか? ということです。
言葉というのは生きて変化するものですが、本国から離れてしまうと外的な影響が少ないだけに、昔の形態を
本国よりも長く引きずる傾向があるような気がします。
例えば、日本で使われている漢字は、中国では今ほとんど使われていなかったりして、
「 あぁ、意味は分かるけれど、今、そういう書き方はしないわ 」 みたいな。
きっと彼女が使っている Chicken も そういう類のものに違いありません。
ま、そんな解説はどうでもいい。
とても面白い出来事でした。