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ヨウラクラン・3~花

 世界中の植物数は約30万種とされており、そのうちシダ植物は約1万種、被子植物と裸子植物が約23万種、コケ植物が約2万種ある。ラン科植物は被子植物に分類されるがその数は約2万種とされておりその比率はかなり高い。ラン科植物は環境に適応して形態が多種多様に変化し今なお分化を続けている。2009年にエクアドルで花径がわずか2ミリほどの世界最小とされるランが発見されたが、ジャングルの中を探せばまだまだ未発見のランがたくさん見つかることだろう。ちなみに日本には75種230種のランがあるとされている。
 写真はラン科ヨウラクラン属の「ヨウラクラン(瓔珞蘭)」。花径はわずか2~3ミリで世界最小クラスのひとつ。2万種もあるラン科植物もその形態は基本的には左右相称で花被片は背萼片1枚、側萼片2枚、側花弁2枚、唇弁1枚の合計6枚になる。コチョウランのような大きなランもこの小さなヨウラクランもその構成は同じになる。
 さて今年3月、東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻の砂川勇太大学院生、同附属植物園の望月昂助教と川北篤教授はヨウラクランが体長1ミリほどのタマバエによって送粉されることを明らかにした。ラン科においてタマバエによる送粉が示されたのは初めてとのことだ。ヨウラクラン属は穂状花序に2ミリほどのラン科で最小級の花を咲かせるが、その小ささゆえに送粉生態は長らく不明でありここまで微細な花に進化した理由は謎に包まれていた。砂川氏は昨年5月に愛知県内の梅園で開花したヨウラクランを26時間以上連続して観察し、夜8時から翌朝に掛けて大量のタマバエが体に花粉塊を付けて受粉に関わっていることを初めて確認したという。世界中のランの9割近くは受粉がどのように行われているかがわかっておらず、今回の研究は他のランの受粉方法の解明につながる可能性があると期待されている。
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ベニバナトチノキ・5~大栗川

 大栗川の遊歩道に植栽されている「ベニバナトチノキ(紅花栃の木)」。ムクロジ科(←トチノキ科)トチノキ属の落葉高木で、ヨーロッパ原産のセイヨウトチノキ(マロニエ)とアメリカ原産のアカバナトチノキを交配させて作った園芸種。日本には大正時代に渡来した。花期は5~6月で枝先に長さ20~25センチの円錐花序を出し雄花と両性花を付ける。写真中央は雄花で右側が両性花。
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アカバナトチノキ

 ムクロジ科(←トチノキ科)トチノキ属の「アカバナトチノキ(赤花栃の木)」。アメリカ原産の落葉高木で「アメリカアカバナトチノキ(亜米利加赤花栃の木)」とも呼ばれる。初夏に円錐花序を出して紅色の筒状の花を横向きに多数咲かせる。花弁はトチノキのように大きく開かない。
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トチノキ・3~開花

 上柚木公園で咲き始めた「トチノキ(栃の木」。ムクロジ科(←トチノキ科)トチノキ属の落葉高木で日本固有種。全国の山野に分布し樹形が整うので街路樹や公園樹に利用されている。花期は5月頃で枝先に大型の円錐花序を付け、小花のほとんどは雄花だが花序の下のほうに雌蕊がある両性花が付く。
 さてトチノキは“栃木県”の県木に指定されている。明治4年の廃藩置県では“栃木県”と“宇都宮県”の2つに整理統合され、明治6年に2つが統合されて“栃木県”になった。この“栃木”という名前は栃木県の県庁所在地が栃木町に設置されたことに由来しているが、2県の統合後、明治17年に県庁は今の宇都宮市に移された。
 栃木県の名前の由来については諸説あるようだが、県のホームページには以下の4つの説が挙げられている。
 ●“十千木(とおちぎ)説” 栃木町(現在の栃木市)内に神明宮という神社があり、社殿の屋根にある2組の千木(ちぎ)と8本の鰹木(かつおぎ)が、遠くから見ると10本に見えたことから、神社の辺りを「十千木(とおちぎ)」と呼ぶようになった。
 ●“トチノキ説” この地域にトチノキがたくさん生えていた。
 ●“崩壊地名説” 栃木町(現在の栃木市)内を流れる巴波川はたびたび氾濫を起こしたことから、千切れた地形(浸食された地形)の動詞の“チギル”に接頭語の“ト”が付いた。
 ●“遠津木(とおつき)説” 古事記に登場する豊城入彦命(とよきいりびこのみこと)が、木(毛)の国(現在の栃木県)と木(紀)の国(現在の和歌山県)を区別するため、遠くはなれた木の国という意味で“遠津木(とおつき)”と命名したものが“トチギ”に転訛した。
 さて真実はどれか、それともまだほかにあるのだろうか。
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