なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

ヤブ山万歳!

2024-12-22 | 雪の山
「冬のヤブ山の魅力は何ですか?」
と聞かれたら、
①アイディア次第でどこでも行ける。
②ヤブのおかげで変化が多くあきない。
③未知の世界をウロウロしている感覚。
の3つを挙げる。
そして、③のウロウロ感覚を助けるツールが、ウロウロ太板(ステップソールスキー)だ。
まだ、シーズン序盤戦。
ほどよい疲労感を求めて、鷲峻山(しすん山)と小鷲峻山をつないだ。


出だしは林道。

思ったより天気がよくて喜ぶ。
細い灌木帯を抜けると、針葉樹林帯。
この尾根はさほど歩きにくくない。
co280に上がると、先に小鷲峻山を目指す。
奥のボワンと丸いのが小鷲峻山だ。
Peakが右にあるので、途中から沢型に入り登る。
なんてことない387mのPeak。
少し下りを楽しみ、コルまで戻る。

次は、鷲峻山だ。
ヤブ山の細尾根は厄介なことが多い。
ここも例にもれず多少厄介。
滑る気にはならない。
方角上、Peak台地の東の肩に乗った。
ここからが、今回一番の厄介な細尾根だった。
ヤブヤブ細尾根からPeakに迫ったので、は期待できないかと思ったその時、
展望が広がった。
徳富岳の荒々しい山容の後ろに、南暑寒の白い山なみが続く。
そして、Peakは広々している。
残念ながら暑寒方向は少し下りないと雑木ですっきりしないが、
それ以外の展望はよい。
奥は神威やピンネシリ。

登ってきたヤブヤブ細尾根方向の展望も悪くない。
広いPeakと眺めに満足はするものの、来た尾根を下るのは嫌だった。
そこで、沢型をまっすぐ下ることにする。
もう少し楽しめるかと思ったが、雪が地形を隠しきれてなく今ひとつ。

尾根に乗って少し下ると、作業道らしき地形に出た。
これに乗って行ってもなんとかなるんじゃない、とか、
どうせなら、車のところに出たいよね、
などと、浮かれて下っていくと、
厄介な地形にはばまれた。
3度、面倒な徒渉をこなし、無理矢理下る。
ウロウロ板のなせる技ではあるが、最後はシールをつけないとうまく対処できない徒渉を強いられた。
やはり、急がば回れ、である。

シーズン2回目ながら、6時間越えの行動。
おかげでだいぶ体が慣れてきた。

シーズン開始は空知の山へ

2024-12-15 | 雪の山
札幌近郊のヤブ山で始まることが多い。
だが、今年は空知の雪が多いようだ。
足ならしにちょうどよさそうな山を探すと、御料山621mに目が行った。
雪の相棒Uに連絡し、上砂川へ向かう。

30年前に泊まったことがあるパンケの湯は健在。
そのすぐ前の、運行をやめて久しい上砂川国際スキー場跡から出発。
一歩踏みしめると、半年振りと思えない雪と板の感覚に感動する。
今年の雪なしシーズンはちっとも歩いていない。
岩場の歩きだけだったつけで、すぐに息があがる。

まだ雪が定着しきっていない。
だから、時々ストックがズサっとはまる。
それもまた楽しい。

リフト下り場跡を過ぎるとヤブが濃いが、そもそもヤブ山うろうろスキーヤーなので、なんてことはない。
2時間ほどでPeak。
上に小さな看板がありますね。

Peak直下はゲレンデ跡ではないが、それなりに開けている。
このまま沢型にはまっていこうかとも思った。
が、沢に埋まっていない場所があると困る。
避けるために急斜面トラバースなんてことになると、雪が全てはがれてしまう。
まだ、冒険はいいよね、ということで、おとなしく来た道を戻る。

リフト下り場跡の脇に「サミットロッジ」なる小屋がある。
扉は開いていて、中に入れた。
ありがたく休憩と昼食に使わせていただく。

この後は、ゲレンデ跡地。
こんなヤブはなんともないさ~。
雪は軽くよく走る。
定着していないから、地形がはっきり感じられ、むしろ板が浮いて楽しい。
幸せに滑り降りて、そのまま「パンケの湯」。

載せるほどではないが、一応記録として地図。
吹雪いてもなんとか行けると思ったが、山中は平和な天気だった。

さて、珍しく山後談。
岩見沢で30年前の山の仲間がカフェをやっている。
その名も「キビタキヒュッテ」
趣のある外観と、かっぱには縁遠いオシャレ感の内装。
マスターK氏が、3年かけてこさえたという内装に感動しつつ、
うまいコーヒーとしっとりプリンに舌鼓。
ゴジュウカラが餌をついばむ姿を眺めながら、昔話や近況話に花が咲いた。

ところで、「ヒュッテ」と「ロッジ」って、言語が違うだけ…?

大満足の周回ウロウロ&テクテクツアー「西暑寒岳」

2024-04-29 | 雪の山
GWは、雪シーズンの総仕上げ、気持ちのよいルートを巡りたい。
そうして選んだのが増毛山塊、中の沢岳~西暑寒別岳~暑寒別岳を巡るコースだ。
4月28日に林道入口で前泊。29日に運良く踏破することができた。


29日朝は3時起床。
星空に月明りが浮かび、好天を期待する。
4時半には、登山開始。
林道入口すぐの橋を使い、暑寒別川を渡る。
ここからスタートすることで徒渉に苦労することもなく、中の沢岳を経由するルートを取ることができる。
また、尾根も広いので残雪をつなぎやすいことも魅力と考えた。
出だしの急登は、雪が硬いこともありシートラで処理。
若干のヤブ歩きを強いられる早朝のシートラ急登は疲れる。

1時間ほどすると暑寒別岳の尾根から朝日を拝むことができた。
広い尾根は予想通り歩きやすい。
残雪量も問題なく、ウロウロステップソール板はシールをつける必要がなく、快適に高度を上げていく。
登山開始から2時間ほどで、西暑寒別の山容を捉えた。
暑寒別本峰も見えて、コースの全容が見通せる。
時々短い急登があり、シールを付けていないため、その度に板を外し手に持って処理していく。
959m手前の細い部分で少し雪が途切れる場面があった。
板でハイマツを踏みつけ越えていくのも春ならではで、楽しい。

1073m三角点を越えると、完全に西暑寒別を捉えた。
ここからしばらくこの眺めを見続けることになる。かっこいいじゃあないか。
コルからピークへ至るヤブの状況を眺めて、ラインをどうとるか相棒Uと話しながら歩を進めていく。
振り返ると、登ってきた尾根が見渡せる。
疲れが海まで飛んでいく。

中の沢岳1189m、ピーク。
ここで、西暑寒別に至るラインをほぼ決定。
しかし、コルへ至るラインはこの時点では決めきれない。
雪も少し柔らかくなってきた。
あまり下ると登りが増えるので、ヤブの弱点を突くつもりで左斜面トラバース
すると、ヤブを越えなければならない場面に至る。
先の見えないヤブに突入すると、下が露岩の崖になっていたため、木を掴みながら急登を降りて雪の上に立つ。
この後、少し滑りを楽しめた。
振り返り、中の沢岳ピークからのラインを見通す。
赤ラインのスタートが中の沢岳。
この角度からだとなかなかかっこいいピークだ。
露岩も迫力を演出していていい。

コルから西暑寒別PまではEPで登る。
終わってみればシール登行も可能だったかと思うが、ヤブを避けると急な場所が2か所あったので、ずっとアイゼンをつけて歩いた。

西暑寒別1413mピーク。

バックはこの後歩く道のりと、暑寒別岳。
うわさの岩稜が立ちはだかる。
ここまで6時間半程度、だいぶ疲れたし、いい時間だったので眺めを堪能しながらの昼食をとる。
反対側に群別や尾白利加が見える。両峰とも目を潤してくれる山容だ。

カップラーメンをすすり終えると、雪をつないで稜を滑り、立ちはだかる岩稜に向かう。
目の前にするとでかい。
確かにこれは直登できない。直登しても上はヤブだし…。
右はかなり下までヤブが続いているので、やむなく左のラインをとる。
雪がだいぶ柔らかくなっているので、板のままシューっとトラバース。
少しヤブが出ている場所でアイゼンに履き替え、15分ほどの急登攻略。
はたから見るととても危なく見えたと思うが、雪質的には問題なかった。

尾根に上がると暑寒別ピークは目の前だ。
西暑寒別を振り返りながら、滑った稜やトラバースした斜面にドキドキした。

暑寒別岳1419m。
さすがに人が多い。
時間が早ければもっといたのだろう。
ここまで来てようやく拝める大雪などの眺めを遠望し、満足感に浸りながらゆったり休む。

下山は長いが、スキーは速い。
板が走るいい雪だ。
ヤブにさえぎられることなく、長くてゆったりした斜面を堪能する。
14時には暑寒荘に着いた。
心も体も大満足の1日だった。


春を満喫 二ッ森679m

2024-04-14 | 雪の山
倶知安と赤井川を隔てる稜線。
この稜線中に1つだけ踏んでいないピークがあった。
それが二ッ森。
でも赤井川から登ると、どうも面白くないような気がして行く気になれなかった。
それで倶知安側から登ろうと考えた。


ウロウロスキーに最適な林道スタート。
振り向くと羊蹄さんのお見送り。

春の小川の横を幸せな気分で歩く。

大きな砂防ダムまで来ると、適当な地形を登る。
663mポコを目指す。
送電線の真下まで来ると、地形図の詰まっている部分が崖。

崖の前は、休憩によい広場になっていた。
そこからの眺めはよい。


傾斜は増すが、この季節はウロコがよく効く。
シールをつけずに高度がかせげる。


663mの東側の先に風情のある露岩があった。
上がれば眺めがよさそうなのでボルダリングごっこ。

3人で上がって、ピークを捉える。

赤井川三角山はこっちから見ると格好のいい山だ。
こちらからのルートも考えてみたい。

ポコからシューっと一滑りすると幸せの道が続いていた。

ボワンとしたピークを眺めながら稜線を進むのは満足感が高い。


ピーク。

春のスピードで3時間。普通は必要なシールの着脱が入ればもう少しかかるだろう。

時間があるので、各自眺めのよいテーブルを作り、幸せランチをいただく。

余市岳方面、ニセコ連峰、八内岳まで続く稜線とその奥の積丹方面の山々が見渡せる。

帰りはまっすぐ林道に出ようと話していた。
羊蹄に向かって滑り込む。

青空をバックに滑っていく。

樹林をかわし沢底へ向かう。


あっという間に林道に出る。


鳥の声と川のせせらぎに春をたっぷり感じながら幸せな時間を終えた。

ようやくウロウロツアーと言える山歩き 「赤石山〜屏風山」

2024-04-07 | 雪の山
低気圧の進路が北寄りに変わった。
これなら山もいいと思った日曜日。
赤石山をからめて積丹の稜線を歩く企画。

古宇川林道を行けるところまで車で行く。
車止めから上がりやすいところを上がる、ということで結果的に急斜面を上がることになる。

急斜面をぐいぐい登って何とか604ポコを少し南側から避けて歩きやすい尾根に出る。
3人でなんだかムキになって登るうちにピーク台地が見えてくる。
そしてピーク。
珊内~余別~ポンネなどの積丹主峰群に鉞山など脇を固める役者を眺めるとともに、海と空の青の融合ラインを堪能する。

赤石山ピークには三角点はない。300mほど南に998mの三角点ピークがある。
一応そこにも寄る。
不思議なことにこの三角点名は「珊内岳」というようだ。
ではいわゆる珊内岳の三角点はなんて言うのだろうと思って確認すると、こちらも「珊内岳」。
違いは二等か三等か。
まあ、でもこれで「珊内岳」を2つとも踏んだな、と満足する。

赤石山に戻って昼食。
贅沢な眺めと1000mの無風で平らな場所では、何を食べてもうまい。

さて、稜線歩き。
これがなかなか優しくない。
アップダウンが多いのは地形図で感じてはいたが、いちいち急だ。
ウロウロ板なので、その分、気楽に滑りを楽しめるが…。
眺めは常に最高級だしね。

屏風山が近づく。
海から見て、屏風なのがわかる。
このピークは2度目だが、こちらからはっきり「屏風」状を見たのは初めて。
どっしりした好きなピークだ。

振り返ると来た道が見える。
たった6時間の道のりも振り返ると長い。

当初はガニマナコとか珊内も視野にはあったが、疲れたので下る。
主目的は赤石だったし、この先は既登域だ。

最初に標高差900m越えを登っているので、当然長い距離を滑って戻る。
どこも樹間は広い。

そして眺めはよい。
眺めから人の気配を感じないのもいい。
街並みとか畑などの人工物が目に入らない。

幸せすぎて、もうなんでもいいや、という気持ちで沢に向かって下っていく。
案の定、多少歩きが入るが、ウロウロ板には何の苦労もない。
適当に進むと林道に出た。

幸せ稜線歩き、という感慨ではない。
春のほどよい緊張稜線を楽しむ、と言った感じであった。
春のウロウロ稜線歩きは楽しい。