クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

街とその不確かな壁(村上春樹・感想)

2024-09-14 | 本と雑誌

夏の読書につまづいた・うちのチットですが

その後、むらかみはるき(村上春樹)の新刊(といっても1年前に刊行された小説 )を読んだら、

一気に 別世界に 連れて行かれていました。🌈✨

 タイトルは、『街とその不確かな壁』。

※いかにもハルキ・・ あまりにも「村上春樹」なタイトルです

かべ(壁)・・

📚

(あらすじ)

物語の主人公は、17歳の「ぼく」

16歳のきみ(彼女)に夢中ですが

その「きみ」が 何の前触れもなく姿を消してしまったから、大ショック💥

 打ちひしがれ、落ちこみつづけ

たましい(魂)が 孤独にひたされます。

以来、男女関係も人間関係もうまく結べず、何にも打ち込めない。

そんな無為な人生を送っていた、

ある日・・

ぼくは、

昔 「きみが創った想像上の街」に 唐突に入り込んでしまう🌀

のです。

 17歳の彼女は言っていた。「本当の私はその街の中にいるの。👩」

と・・・

 

ここまで読むと 

完全に ファンタジーですが🌈、

この後、45歳になった主人公ぼくの現実世界のストーリー が展開されるくだりが 

面白い。

ハルキ文学のしんずい(真髄)に触れられる、第2部です

 しかしながら・・クリン🐻、

今回はこの小説を

(なんだか妙だな~)と 引っかかりつつ、読みました。

あまりにも、全てがハルキすぎて・・(村上春樹過ぎて)、、

これが、70代になったハルキの書く小説なのかな

って、

いわかんがあったのです。

 

だって・・

*壁=春樹長年のキーワード

*主人公が愛する人を喪失し彷徨う=十八番テーマ←『色彩を持たない多崎つくる』でも書かれています

*ヒロイン=こむずかしくて・面倒くさい女

*こちらの世界とあちらの世界を行き来する、ちょっと ミステリーな物語←『騎士団長殺し』っぽい

全てが、あまりにも 春樹の定型文 だったからです。


 なぜハルキは、今さら、これを書かなければならなかったのだろう

「これが 村上文学なんだ俺なんだ!!という、本人のダメ押し?

、、

ふしぎでした。

しかし

今回、珍しく 本人が後書きで 種明かしをしてきたのです

 この小説は1980年代に文芸誌に発表されたものだったけど、

当時は生煮えで、、今いち すっきりしなかったため、本人は「書籍化」を希望しなかった。

でも、

「この作品には自分にとって何かしら とても重要な要素が含まれていると 僕は 最初から感じ続けていた」

ため、

全てを余すところなく 書ききれるようになった今

リトライ(円熟の筆で再生させようと)した

と いうわけでした。

 その一番・重要な要素の部分を、

今回、作家・村上春樹は完ぺき(璧)に 書ききっていた👍

と 思います

(細部には不満な点もありましたけどね‥ラストはムリヤリまとめたな、とか、第3部はいらないんじゃね?とか。)

 とくに、ここで終わってくれれば傑作だったのに・・

と 思われる第2部。

そこに出て来る

子易さんという登場人物が 実にみりょく(魅力)的で・・

こやすさんが語る言葉・ひとつひとつに、

村上春樹という作家が 生涯をかけて他人を見つめ、

自分の心を探って掴み取った、最終的な真実が込められている・・

クリンは かんじました🐻



「ぼくは思うのだが、この世界に心に秘密を抱かないものはいない。それは、人がこの世界を生き延びていくためには 必要なことなのだ。そうじゃないのだろうか?」



 このような言葉が、どれほど多くの大人読者を 救うでしょうか・・

 

コメント (22)
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