実録映画と銘打っているが、特定のモデルがいたわけではなく、実在するスゴ腕の武器商人数名のエピソードをまとめたものらしい。
「ガタカ」などのアンドリュー・ニコル監督は冒頭の弾丸発射シーンに代表されるように、今回も映像派ぶりをいかんなく発揮。血生臭いシーンも表面的に(?)流し、各シークエンスをケレン味が鼻につく前にサッと切り上げ、小気味よいテンポでラストまで引っ張っていく。
ニコラス・ケイジ扮する主人公をはじめ、彼の妻(ブリジット・モイナハン)、弟(ジャレッド・レト)、そして主人公を追うインターポールの捜査官(イーサン・ホーク)など、どのキャラクター設定も故意に“軽く”仕上げられ、内面に深く迫るようなことはしない。これは作者の製作意図がこういうストーリーを生んだ“社会背景”の描出にあり、登場人物は狂言廻しに徹するという割り切りの良さに起因していると思う。その意味では作品として成功していると言って良い。
本作が浮き彫りにする“戦争をめぐる世界情勢”とは、ズバリ“武器を売る側と買う側の絶望的な格差”である。武器商人を糾弾しても何も変わらない。ラストにはアメリカ等の先進国こそが最大の悪であるとのメッセージが流れるが、そんなのは“御題目”に過ぎないことは作り手も知っているはず。この格差を埋めることは不可能であり、我々はそれを認め諦観するしかないのだろう。悲しいことだが。
「ガタカ」などのアンドリュー・ニコル監督は冒頭の弾丸発射シーンに代表されるように、今回も映像派ぶりをいかんなく発揮。血生臭いシーンも表面的に(?)流し、各シークエンスをケレン味が鼻につく前にサッと切り上げ、小気味よいテンポでラストまで引っ張っていく。
ニコラス・ケイジ扮する主人公をはじめ、彼の妻(ブリジット・モイナハン)、弟(ジャレッド・レト)、そして主人公を追うインターポールの捜査官(イーサン・ホーク)など、どのキャラクター設定も故意に“軽く”仕上げられ、内面に深く迫るようなことはしない。これは作者の製作意図がこういうストーリーを生んだ“社会背景”の描出にあり、登場人物は狂言廻しに徹するという割り切りの良さに起因していると思う。その意味では作品として成功していると言って良い。
本作が浮き彫りにする“戦争をめぐる世界情勢”とは、ズバリ“武器を売る側と買う側の絶望的な格差”である。武器商人を糾弾しても何も変わらない。ラストにはアメリカ等の先進国こそが最大の悪であるとのメッセージが流れるが、そんなのは“御題目”に過ぎないことは作り手も知っているはず。この格差を埋めることは不可能であり、我々はそれを認め諦観するしかないのだろう。悲しいことだが。

