元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「SCRAP HEAVEN」

2006-03-07 07:01:31 | 映画の感想(英数)

 冴えない警察署員(加瀬亮)と謎の清掃人(オダギリジョー)、そして現状に不満を持つ薬剤師(栗山千明)が、偶然バスジャックに遭ってしまったことをきっかけに、危険な“復讐請負ゲーム”を始める。

 現実を受け入れられない若造どもの自暴自棄的な生態を、突き放すことなしにダラダラと追っているあたり、相当に甘ったれた青臭いシャシンだと言えよう。しかし監督の李相日自身が“青臭い映画だ”と語っているように、作者側はそれを狙っているようにも思える。

 登場人物の一人が呪文のようにつぶやく“想像力が足んねえんだよ。クソどもに想像力を植えつけてやろう”というフレーズ。何とも自分勝手でゴーマンかましたようなセリフだが、困ったことにその身勝手極まる物言いが真実を突いているような昨今の世相なのである。

 政治家も学者も将来のヴィジョンなんて何も提示せず、誰もがただ“○○が悪い”というグチを垂れ流し、卑近でチンケな鬱憤晴らしに執心するあまり、最終的に自分達の身に降りかかってくる災いについて何も“想像力”を持たない。そして劇中で“想像力が足りないぜ”と言っている奴ら自身も、テメエらの行動がもたらす“結果”についての“想像力”が欠如している有様だ。

 まるで“想像力って何だ?”と煩悶している作者自身の懊悩がそのままスクリーン上にぶちまけられているような感じである。映画としてはまったく面白くないが、そのへんが妙に印象的な作品だ。

 出演者の中ではオダギリジョーが圧倒的。こういうキ○ガイの役をやらせれば、若手では向かうところ敵なしである。これからも頑張って欲しい(爆)。
コメント
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