雨の多かった夏の前半、蝉はどうしているかと気になった。
何年間も土の中にいて、さあ地上に出ましょうと思ったら
土砂降りの雨ばかり、というとき、蝉はどうするのだろう。
頭をひっこめ、晴れるまで待っているのか。
それとも、ここまできた羽化のプログラムは変更できないのか。
家のまわりを歩くと、蝉の抜け殻がやたらと目につく。
立ち止まった位置で、ぐるっと見回しただけで5つ。
4~5歩あるくと、あっというまに15。
そこでさすがに数えるのをやめた。
もともと昆虫類は苦手分野なのだが、
蝉は樹上にいて、ばったり出会う機会も少ないので、
あまりどうとも思っていなかった。
しかし、このあいだ、夜9時ごろに玄関のドアをあけたら、
いきなりけたたましく鳴きながら飛び込んできたため、
いっぺんに「苦手・Aクラス」に入った。
夜の明かりに寄ってくる虫ではなかったはずなのに。
蝉の習性にも何か変化が起こっているのかもしれない。
半透明の飴色の抜け殻が風に吹かれている。
カラッポで、鳴きも動きもしないから、怖くはない。
カラッポであるのに、草の茎や木の幹にしっかり爪をたてて
落ちないようにしがみついている。
よく出来たものだと感心しつつ、わからないと首を振る。
これほど劇的な変化のある一生というのは、
いったいどんな気分のものだろうか、と。
殻を脱いだ瞬間に、まったく違う姿に生まれ変わる。
長い地中の暮らしのことなど、きれいさっぱり忘れてしまい、
ひたすら陽をあびて声を張り上げる短命な生き物となる。
想像力をフル動員してみても、うまく想像できない。
ではいちど体験してみますか、と言われたら…
きっぱりお断りしますが。
何年間も土の中にいて、さあ地上に出ましょうと思ったら
土砂降りの雨ばかり、というとき、蝉はどうするのだろう。
頭をひっこめ、晴れるまで待っているのか。
それとも、ここまできた羽化のプログラムは変更できないのか。
家のまわりを歩くと、蝉の抜け殻がやたらと目につく。
立ち止まった位置で、ぐるっと見回しただけで5つ。
4~5歩あるくと、あっというまに15。
そこでさすがに数えるのをやめた。
もともと昆虫類は苦手分野なのだが、
蝉は樹上にいて、ばったり出会う機会も少ないので、
あまりどうとも思っていなかった。
しかし、このあいだ、夜9時ごろに玄関のドアをあけたら、
いきなりけたたましく鳴きながら飛び込んできたため、
いっぺんに「苦手・Aクラス」に入った。
夜の明かりに寄ってくる虫ではなかったはずなのに。
蝉の習性にも何か変化が起こっているのかもしれない。
半透明の飴色の抜け殻が風に吹かれている。
カラッポで、鳴きも動きもしないから、怖くはない。
カラッポであるのに、草の茎や木の幹にしっかり爪をたてて
落ちないようにしがみついている。
よく出来たものだと感心しつつ、わからないと首を振る。
これほど劇的な変化のある一生というのは、
いったいどんな気分のものだろうか、と。
殻を脱いだ瞬間に、まったく違う姿に生まれ変わる。
長い地中の暮らしのことなど、きれいさっぱり忘れてしまい、
ひたすら陽をあびて声を張り上げる短命な生き物となる。
想像力をフル動員してみても、うまく想像できない。
ではいちど体験してみますか、と言われたら…
きっぱりお断りしますが。