ぜったいだめだよ!
ぜったいだめよ!
…と、すぐ近くの山で連呼しているホトトギス。
いったい何にそれほど強硬に反対しているのか。
「だめよ」と言いたいのは、ホトトギスに托卵される
ウグイスのほうだと思うけれど。
ふつう、親鳥にはリジェクト反応というのがあって、
巣の中に自分の卵じゃないものがあると捨ててしまう。
自分の卵とみなすかどうかの基準は種類によって差があり、
違うのが1つくらい混じっても気にしない鳥もいるし、
ひどく神経質な鳥もいる。
「みにくいアヒルの子」という話の発端は、
白鳥がアヒルに托卵した…のではなくて、
人間がどこかから白鳥の卵を持ってきて、
アヒルのお母さんの巣にこっそり入れておいたのだろう。
ニワトリやアヒルのような飼い鳥は、
多少の違いにはこだわらず温めてくれることが多い。
白鳥の卵はアヒルの卵よりだいぶ大きく、孵化日数も長いので、
実際にうまくいくのかどうかは知らないが、
アンデルセンは、たしかに実例を見聞きしていたに違いない。
ウグイスがホトトギスの子を育てることは、
万葉の昔から知られていたらしい。
これは決して「持ちつ持たれつ」の関係ではなく、
ウグイスにとって一方的に迷惑なことなので、
ホトトギスの声を聞いただけで親鳥は警戒する。
自衛のためにリジェクト基準もだんだん厳しくなり、
「この卵はうちのじゃない」とすぐ見分けるようになっている。
一方、ホトトギスのほうも、捨てられては困るから、
しだいに色も形もウグイスそっくりの卵を産むようになった。
両者の攻防はずっと続いていて、これまでのところは
どちらも絶滅しないバランスを保っているようだけれど、
この先のことはわからない。
そっくりの卵を、といっても、もちろん、
ホトトギスがそうしようと思ってすぐできることではない。
見破られたものはリジェクトされて消え、
うまくいった卵だけが育ててもらえる。
その遺伝子を受け継いだ子が、また卵を産みに戻ってくる。
長い年月をかけ、世代交代を重ねながら、
自然選択を勝ち抜いてきた結果である。
「やっぱり自分で巣を作ることにする」
という選択肢だってあったはずなのに、そっちに行かず、
あえてややこしい托卵方式を貫くことにしたのはなぜか。
神様のビデオを借りることができたら、ずうっと巻き戻し、
そこのところをじっくり見てみたいのですが。
「自分で巣を作ったらどうなの」
「ぜったいだめだよ」
「やってみなきゃわからないでしょう」
「ぜったいだめよ」
…って?
ぜったいだめよ!
…と、すぐ近くの山で連呼しているホトトギス。
いったい何にそれほど強硬に反対しているのか。
「だめよ」と言いたいのは、ホトトギスに托卵される
ウグイスのほうだと思うけれど。
ふつう、親鳥にはリジェクト反応というのがあって、
巣の中に自分の卵じゃないものがあると捨ててしまう。
自分の卵とみなすかどうかの基準は種類によって差があり、
違うのが1つくらい混じっても気にしない鳥もいるし、
ひどく神経質な鳥もいる。
「みにくいアヒルの子」という話の発端は、
白鳥がアヒルに托卵した…のではなくて、
人間がどこかから白鳥の卵を持ってきて、
アヒルのお母さんの巣にこっそり入れておいたのだろう。
ニワトリやアヒルのような飼い鳥は、
多少の違いにはこだわらず温めてくれることが多い。
白鳥の卵はアヒルの卵よりだいぶ大きく、孵化日数も長いので、
実際にうまくいくのかどうかは知らないが、
アンデルセンは、たしかに実例を見聞きしていたに違いない。
ウグイスがホトトギスの子を育てることは、
万葉の昔から知られていたらしい。
これは決して「持ちつ持たれつ」の関係ではなく、
ウグイスにとって一方的に迷惑なことなので、
ホトトギスの声を聞いただけで親鳥は警戒する。
自衛のためにリジェクト基準もだんだん厳しくなり、
「この卵はうちのじゃない」とすぐ見分けるようになっている。
一方、ホトトギスのほうも、捨てられては困るから、
しだいに色も形もウグイスそっくりの卵を産むようになった。
両者の攻防はずっと続いていて、これまでのところは
どちらも絶滅しないバランスを保っているようだけれど、
この先のことはわからない。
そっくりの卵を、といっても、もちろん、
ホトトギスがそうしようと思ってすぐできることではない。
見破られたものはリジェクトされて消え、
うまくいった卵だけが育ててもらえる。
その遺伝子を受け継いだ子が、また卵を産みに戻ってくる。
長い年月をかけ、世代交代を重ねながら、
自然選択を勝ち抜いてきた結果である。
「やっぱり自分で巣を作ることにする」
という選択肢だってあったはずなのに、そっちに行かず、
あえてややこしい托卵方式を貫くことにしたのはなぜか。
神様のビデオを借りることができたら、ずうっと巻き戻し、
そこのところをじっくり見てみたいのですが。
「自分で巣を作ったらどうなの」
「ぜったいだめだよ」
「やってみなきゃわからないでしょう」
「ぜったいだめよ」
…って?