小さな陶器のおひなさまを買いました。
昔から持っていた雛人形の一揃いを処分して以来、何か欠落感のようなものが消えず、春先になるたびに「おひなさま買おうかなあ」とひとり呟いては、「やっぱりいらないや」と、そんなことを毎年繰り返して15年ほどたつ。
和紙で折られた紙雛は持っていて、それはそれでとても好きなのだけれど、本来の人形(ひとがた)や形代(かたしろ)に近い紙製品だから、耐久性に欠けるのは当然のこと。もうちょっとしっかりしたのがあってもいいなと、近年しきりに思うようになっていた。
しかし、この年でいまさら段飾りでもないし、豪華な親王飾りなど置くところもないし。
小ぶりの木目込人形を探してみたけれど、自分が持っていたものの印象が強すぎるから、どれを見ても「これは違う」と思ってしまう。
そもそも「人形」が欲しいかというと、そういうわけではなく、じつは髪の毛のあるリアルな人形は苦手なのだ。
昔、近所の女の子の家に立派な段飾りがあり、小さい弟がいたずらするものだから、よくお人形の手足がとれて緋毛氈の上にころがっていた。その光景がけっこうトラウマになっている。
欲しいのは「おひなさま」というふんわりしたイメージだけで、実体はないようなものかもしれない。
つんと気取らず、可愛げのあるもの。可愛いけれど子どもっぽくないもの。ちょっと古風で、ちょっと素朴で、だけど田舎じみてはいない上品なもの。と、理想だけがどんどん高くなっていく。
ネットショプをうろうろしたせいで、画面の端に雛人形の広告ばかり出るようになってしまった。その中に陶器の雛人形の画像があり、おや、と気持ちが動いた。
人形店ではなく、せともの屋で扱っているものだ。丸ごと陶器だから、髪だの衣装だのこまかい細工はできないけれど、苦手なリアル要素がまったくないところが良い。保管にもあまり気をつかわずにすむし、落としさえしなければ長持ちするだろう。
ということで、陶製の雛人形を探し始め、まずリヤドロとかは抜かして(笑)、派手すぎず、地味すぎず、ある程度は華やかで、温もりのある感じの…と、そこからまた何週間か迷いに迷って、ようやく注文することができた。
冠の金ピカがちょっと気になるけれど、まあそのうちほどよく色あせるでしょう。
おひなさまは立春を過ぎれば飾ってもいいんだ、という話を聞いたので、さっそく飾ることにしました。
わが家のショーウィンドウ、ひなまつりバージョン(笑)
上の丸い飾りは、ずうっと前に読者の方にいただいた手毬です。
本日のにゃんこ。
これは別の窓。
朝のうちだけ、猫の置物の影が壁にうつる。
で、こちらは本物の真鈴ちゃん。