ようやく少しましなズームレンズ(格安中古美品!)を入手したものの、相変わらずこれくらいにしか写ってくれないオオルリ。遠いんですよ。
そして、やっぱり青くは見えない。部分的にうっすら青みがかった灰色というか…
声はまぎれもなくオオルリのさえずりですが。
はてさて。
…と気にしているうちに、ひどい雨が2日つづけて降り、そのあと、ぱたっと声が途絶えた。
この枝にも来ないし、谷の向こうの尾根の、もうひとつのソングポストにもあらわれない。
あんなに鳴いていたのに、いったいどうしたのだろう。
「ヒナがかえったんじゃない?」とM。
オオルリは、メスだけで巣を作って卵を温めるけれど、ヒナがうまれるとオスも餌を運んで、一緒に子育てをするそうだ。
えー、ということは、あの不完全な色のオスは、もてない独身者ではなくて、奥さんいたの?
声が途絶えて3日ほどたった、夕方6時ごろ。
また雨の中、Mが留守なので、わたしが鹿よけゲートを閉めにいくと、目の前をすいっと鳥の影が横切った。
とっさにぴたっと足を止める。だるまさんがころんだッ。(猫と長年暮らしていると、猫っぽい習性が自然と身についちゃうのです)
近くのカシワの木の枝にいる。見慣れたカラ類の動きとは違う。ヒヨドリほど大きくもない。すいっと、また音もなく飛んで、こんどはゲートの柱のてっぺんに、こちら向きに止まった。「わあ」と思わず声が出た。
オオルリだ。頭から胸まで瑠璃色で、おなかが真っ白の、オスの成鳥。距離は3メートルほどしかない。
人慣れしているヤマガラ以外で、野鳥をこんな近くで見るのは初めてだ。こちらがレインコートのフードをすっぽりかぶっていたので、何だかよくわからないのかもしれない。小首をかしげるように、じいっとこっちを見ている。
目が合った。ゆっくり5つ数えるくらいの間。オオルリは、すいっと飛び立ち、川の茂みの暗がりに消えた。
わたしは、なんでもないようにゆっくりゲートを閉め、坂を上って戻りながら、だんだん、だんだん、だんだん嬉しくなってきました。
それにしても、不思議なのは、わたしの出会ったオオルリが、図鑑で見るような鮮やかなオスの色をしていたこと。
オオルリの縄張り性を考えると、この谷の狭い範囲内に2羽のオスがいるとは思えない。新たなオスが来て、これまで盛んにさえずっていた黒っぽいオスにとってかわったのか。それなら勝利宣言か何かありそうなものだが、依然としてさえずりは止んだままだ。
それとも、あの黒っぽいオスは、じつは羽がわりの途中で、姿を見せなかった数日の間に完全に青い羽になった、のかな?
あるいは、もともと鳴いていたのは青いオスであり、昼間の逆光で黒っぽく見えていただけだった、とか?
う~ん。謎は尽きない。
オオルリの来なくなったソングポストで、かわりに「ツピツピツ!」と元気よくさえずっているのは、シジュウカラ。
シジュウカラは落ち着きがなく、さえずりながらも、じっとしていないで、あっち向いたり、こっち向いたり、
あ、飛んだ。
きみもがんばってください。
地上はすでにアジサイの季節到来。
ヤマアジサイの黒姫が、見違えるように大きくなり、今年は数えきれないほど花がついている。