水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

青空サイダー

2021年01月30日 18時52分19秒 | 現代小咄

細部が夏 細胞待つ夕暮れ

時を待て 理解超える夏の青空

 

二酸化炭素含有量ピカイチ

夏はサイダーに逃げ込む

 

わだかまりは同じ声で未来を遠吠えし

暑さの詐欺に巻かれて計算を忌避する

 

制服を着た季節たちが

それぞれの足取りで並木の下を歩く

 

眼鏡を外した青春の

夢を映したセーラー服が

炭酸水に晒される

その一瞬のきらめき

切り取られた青空の四方に広がるサイダーは

青さに負けずなお青く

青の青さを追い越して

途方もない甘さを

舌に踊らす

 

サイダー色の空に揺れる

甘い思いは雲のようだ

 

泡と消える青春ならば

あまりに夢は夢であって

サイダー飲んだ後なんて

あっという間に泡感消えて

飲んだ後かも忘れてゆく

飲料水の印象薄く

甘さの重みと

軽さの苦みを

共に連れて十代跨ぎ

暑さの夏はシュワシュワ燥ぎ

カフカの虫はチュルチュル喚き

上手い話はないのよ兄貴! と

諭してくれるサイダーの音

 


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