水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

傍らの言葉

2017年08月11日 15時10分47秒 | 詩編
 言葉という規制なくして
 心は語れない

 吹く風の色
 囁く波の声
 轟く線路の呻き

 自然の呼びかけは
 いつなんどきでも言葉を通して為される

 僕らの泣き叫ぶ声さえ
 一種の言葉だ

 言葉は
 言葉にならないものを語りたいという想いから
 そのレゾンデートルを高めてきた

 もしかしたら
 ほんとうのことは
 言えないかもしれない

 私たちの想いは水だとして
 円形の城壁を囲んだとき
 隙間を通って中心部へ流れてゆくことができるかもしれないが
 言葉は城壁で止まるかもしれない

 しかし
 言葉が
 想いに溶けることもある

 言葉が
 緑々とした瑞々しさを失ったとき
 それは落ち葉のように
 土と同化し
 腐葉土を生み出すように
 豊かな人の心の土壌にもなってゆく気がする

 言葉は
 干物だ
 
 想いをある程度保存の利くモノに
 変える魔法のようなアイテム

 言葉の役目を
 僕らは軽視することがあってはならない
 言葉は私たちの生活、性格を規定する

 次のステージへたどり着くために
 踏み台にするものが言葉だ

 傍らに言葉を
 あなただけの言葉を
 
 限りある資源として
 ありあまるほどに
 僕らを取り巻く言葉を

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