真っ暗な無知の住み処

　一歩、いっぽ、探しつづけて歩いては、意味の蒙昧な空想の部屋で独り遊ぶ。空気を胸一杯に吸い込んで、弛んだ日常の醜悪な下腹部にくどくどと愚痴をぶつける、僕は兵隊。日々のくたびれた妄想、その他ありふれた煩悩に嫌気が差して、空中で分解をしていく僕の昼間の想像に、奪いたての真っ白な羽を取り付けては、さんざめく明日の約束に腹を立て、隊列を成して行くものたちへの乾いたエールを、僕は既に夜に置き忘れて嘆いては、天使たちにいつかの手紙を送ってみる。
　ひたり、ひた、歩く想像に羽が生え……、夢見心地の僕の体液は、忘れかけている僕のあの日の記憶に、深く分け行って、孤独の牙城へと辿り着く……。
　届かない、僕の逃避行に、キッスをするのは悪魔の使いたち。股間に宿った、儚い妄想のひと欠片も、夢に溺れるがゆえ、もう二度と天国へは逝かぬと啖呵を切るように、夜の闇へと紛れて消えていく……。（それは、明日への逆恨みと同義の卑しい行為だが……。

　鬼たちは、隊列を成し、日々の溺れる河へ赴いて、時代と添い寝する準備を万端にして、夜にオンザロックに溺れ、またも始まりの混濁に意味を見出すばかりか、そんな馬鹿な態度を取ることには無自覚に、僧侶の読経をひたすらに、畳の上でのたうち回りながら聴いている。そんなバカ。そんな鬼。お前も、奴らと同等だ！
　
　時代と添い寝するアヤカシの存在に、罵声を浴びせる。
　ルルラフラ　フラロロラ　意味を見い出せず、眠る今宵は夢心地。咲かぬ笑いを、インクに込めて、撃ち抜く日々の無知たちを……。
　感情を暴くコメカミに、夢の兆候を発見し、絶え間ない僕らの孤独のリズムは、そっと横たわる女の腹部に到達する！
　だらしないシロップを、永遠に垂れ流すように、僕の発見はいつのタイミングで為されても古臭い、愚劣な臭いを発する悲しき運命にある。
　
　迷ってばかりの夜に、君の吐息で構築される瑞々しい希望に、ピアノの音は無限に重なり、僕は日々の徒労の末に、限られた朝の他愛なさに共感を覚えて、また、二度寝する。