チエちゃんの昭和めもりーず

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第28話 七草粥

2007年01月08日 | チエちゃん
 1月7日は七草です。

 せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ

七草は、無病息災を祈って7種類の野菜を入れた粥を食する行事で、お正月のおせち料理で疲れた胃を休め、冬に不足しがちなビタミンを補う目的もあったと言われています。

 チエちゃん家でも、7日にはお母さんが七草粥を作ってくれたものです。

 暮の比較的暖かい日に、チエちゃんはせり摘みに行くおばあちゃんについて行き、七草の由来や7種類の名前を教わりました。
幼い時に教わったことというのは大人になってからも忘れないものですね。

 あの頃は、現在のように農薬をたくさん使ってはいないし、生活排水も自然に還る物ばかりでしたので、田んぼや堀はきれいでした。
そこに自然に生えているせりを摘んで、食用にしました。
せりは、七草粥に用いるばかりではなく、この地方のお雑煮には欠かせない材料でした。
冬のせりは、背丈が短く、茶色をしています。一見すると、枯れているようにも見えます。
汁に入れると鮮やかなグリーンに変わり、せり特有の強い香りがします。

すずな(かぶ)、すずしろ(大根)以外はそこら辺に生えている雑草ですが、冬のこの季節には手に入ったものかどうか。
お母さんは「何でも、7種類の青物が入っていればいいんだ」と言っていましたから、別の青菜を入れて粥を炊いていたのでしょう。

 ただ、チエちゃんにはどうにも我慢できないことがありました。
チエちゃん家の七草粥には、どういうわけか大きなお餅が入っていたのです。
お正月にいっぱい食べたあとなのに、なんでまたお餅を入れるのかなあ。
いつも、「チエの分には、お餅入れないでね~」と注文をつけたものでした。