柳沢大臣の発言問題がどう影響するか注目された愛知県知事・北九州市長選。マスコミや評論家のコメントは、安倍内閣に逆風との判断が圧倒的だ。今後の国会運営や参院選に向けて、与党・野党の攻防もいっそう激しさを増すに違いない。
大臣の発言が不適切なことは衆目の一致するところだが、もう少し深層のメカニズムを分析すべきだ。”子供を産む機械”は表現の問題だが、政府が進める経済的な支援中心の「少子化対策」そのものが無機質ではないのか。なぜなら、少子化対策の根っこにあるものは、国家財政の困窮化であり破綻だからだ。
少子化によって、労働人口が減少し税収が目減りすると、財政が悪化し、年金・医療を始めとした社会保障制度が維持出来なくなる。その為には、女性に子供を産んで貰うしかないと説くスタンスは、もう既に女性を財政再建の道具に見立てているに等しい。
大臣の失言は、政策そのものが生産性(出産)を高めることが主眼だから、何の抵抗も無く発した言葉だと理解すれば、表現の不適切さを議論すること自体が滑稽に思えてくる。両選挙の投票率が高かったことを安倍総理には、国民が本当に血が通った政治を待望していることを直訴したのだと真摯に受け止めてもらいたい。