柳沢大臣の国会答弁を聞いていて、ふと気の毒になった。一旦、口から発した言葉は元へは戻らないが、その後の展開をみていると政争の具に利用されているようで、見苦しい。
今回の問題発言を通して、皮肉にも「少子化対策」の本質が浮かび上がって来たことを真摯に受け止める方が建設的な議論を展開できると思う。出生率を1.26だとか1.29だと掲げて、年金支給率がどうなるかといった試算が出されたこと自体が「少子化問題」を非人間的な問題として扱っていることを証明している。
少子化やむなしの立場にたてば、年金制度の組み立て方は全く別の解が出てくるはずだ。民主党が提案しながら引っ込めた「年金制度の一元化」構想を再度、検討して欲しい。共済年金と厚生年金の統合だけではなく、国民年金を含めて年金制度を一本にすべきだ。
日本国民はすべて最低保障として国から一定額の年金を支給されることにし、企業年金や個人年金で、個別に上積みする方式にすれば制度が極めてシンプルで公平になる。年金原資や消費税率をどうするかは技術論でしかない。現在受給中の人達とのバランス論から統一出来ないというなら、平均寿命見合いで将来受給予定額を精算する方法だってある。
年金制度の基本理念を確立すれば、官僚は解決する知恵と能力を備えている。大改革には苦痛はつき物であり、要は、政府が基本構想として不退転の決意を示すことが出来るかどうかにかかっている。それが出来ないなら、憲法改正は実現不可能だと断言する。