礼文島には、本州で2000m級、北海道でも1600m以上の山でしか見られない可憐な花が、海抜ゼロメートルで咲いている。いわば、「海の上の高山植物園」。この島を満喫するには、歩くのが一番で、7つのコースがある。最も代表的なコースといえば、「桃岩展望台コース」。別名、「礼文フラワーロード」と称されるほどで、300種類をこえる高山植物の宝庫だ。
フェリーターミナルの香深港から桃岩展望台、元地灯台、知床までの約7キロは、期待を裏切らない。定番の観光旅行では、せいぜい桃岩展望台近辺の散策でお茶を濁す程度で、本当の良さは分からない。道は歩きやすく整備されているが、狭く起伏があるので、厚い靴底のシューズとヤッケや合羽等の登山装備は必携だ。
7月26日。礼文高校の女生徒達が課外授業の一環として、ボランティア・ガイドをしているのに出会った。展望台駐車場から展望台まで、高山植物の説明をしてくれた。人との接し方や表現方法、更には新たな疑問の発見等の自己研鑽の場としても貴重だ。素晴らしい環境の中で、いきいきと学習する生徒達に、「美しい国造り」の原点を再認識する思いだった。
なお、フラワー・トレッキング目的で礼文島を訪ねる際の注意は、観光情報に騙されないこと。私が入手した事前情報と現地の状況は全く違い、お花畑は秋の気配。礼文島の固有種を観たいなら、6月上旬から中旬というのが、ベテランのアドバイスだった。