ある著名な作家のエッセイに、「脳の老化防止には料理と旅行がよい」というものがあった。体力的な健康には、フィットネス・クラブや健康食品・サプリメントも良いが、脳の健康には料理と旅行がお勧めだと。
自分で料理すれば、素材の選び方・調理方法、或いは、調味料の調合・盛付け方等を考える。また、旅行は、計画をたて、交通機関やホテルの予約までの一連の作業をすることが重要で、漫然とツアーに参加するのではないと説く。
ともに、実践を通じて脳の思考回路を鍛える効果が期待できるという趣旨だ。両方とも実践していることなので、我が意を得たりの思いだった。だが、私の場合、健康志向ではなく、料理は妻との役割分担(義務工程?)であり、旅行は共通の趣味というだけのことなので、余り誇れるものではない。
料理や旅行は一例であって、日頃の何気ない日常活動のなかに、心がけ次第で健康に役立つ効能が潜んでいるとの指摘と解釈したい。何気ない活動を深く掘り下げ、独特の筆致で論理構成する鋭敏な感性に感服した。