プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★ビジュアルの恐怖

2009-02-19 10:29:43 | 日記・エッセイ・コラム

 新聞はペンの暴力と評されたが、高度情報社会においては、ビジュアル・メディアの影響力・威力ははかり知れず、最近のテレビ報道を見ていると恐怖すら感じる。

 ここ数日間、前財務・金融大臣の酩酊会見の映像が流れる度に、不快な思いをした人が多いと思う。辞任に追い込まれた経過は置くとしても、外国のメディアに酷評され、恥を晒したことは紛れもない事実だ。元農水大臣の絆創膏事件の映像ともだぶって思い出される。

 かと思うと、遠く離れたモスクワで、元首相が給付金問題の本会議に欠席するとのコメントが何度も画面に映し出される。元経団連会長一行と何の目的で外遊し、その成果が何だったかのニュースは皆無だ。現総理の日露首脳会談よりも、露出量が多いのは何故?

 マス・メディアを利用した劇場型政治が定着してしまったが、週刊誌的発想で世論形成を図ろうとする手法は卑しい。「政局よりも政策」と叫んでいた与党議員達が政局重視の活動をしていると映るが、そういう理解で良いのだろうか?今の日本で何が重要で、どこの方向へ向かうべきなのかの指針を論じる番組のなんと少ないことか。

 テレビを視聴する時間が大幅に増えたシルバー層の一員として恐怖を感じる。テレビ番組の企画・編成に従事する人達やコメンテーターの見識が、視聴者に誤った予見を与えたり、事実を歪めることがないように願うのみだ。


★バレンタインの贈り物?

2009-02-16 09:45:54 | 日記・エッセイ・コラム

 全世界を揺るがす金融不況にも、”時悠人”は無縁な生活を送ると自負していたが、「世の中一寸先は闇」とはよく言ったものだ。それは、昨日の朝、かかってきた一本の電話で始まった。

 次女が結婚する時、新郎がリストラの危機に見舞われないかと心配したが、何とか首が繋がり安堵したのが、昨年暮れ。クライストチャーチで家を購入しようと、1月に入り、バンク・ブローカー(日本の司法書士に該当)に銀行融資等の交渉を依頼した。二人の所得や資産状況をもとに試算した結果も分かり、オープン・ハウスの下見を重ねたが、好物件が見つからなかった。

 世界で円が一人勝ちの状況下、日本人の投資家がNZL不動産に着目し始めたために、取引物件が減り、沈静化していた家の価格が上昇に転じてしまったのだ。そんな矢先、夫君がリストラの対象になってしまい、家の購入どころではなくなったというのだ。サラリーマンの給料は、月給制ではなく週給制だし、家賃も週単位の国だ。新婚早々、家さがしから職探しに奔走することになってしまった。

 バレンタイン・ディーに女性がチョコレートを贈り、男性に愛を告白するなんて愚行は、日本だけだが、笑うに笑えぬバレンタインになったようだ。遠く離れてサポートすることも出来ず、ただただ気をもんでいる。


★あぁ!ついに、、、。

2009-02-14 10:06:37 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日の昼過ぎ、帰宅したら女房の様子がおかしい。長年、連れ添っていると、”KY”は「空気が読める」となる。昼食担当の帰りが遅いので、ご機嫌斜めなのかと思ったが違っていた。

 インターホンごしに警察だと言われて、戸を開けたら、いきなりノートを広げて、「お宅は二人とも年金生活ですね」と言われ、「何の調査ですか?」と問い返すと、初めて趣旨を説明した態度に立腹したらしい。警官は、”振り込めサギ”に遭う年金生活者が多いので、注意喚起にまわっていたのだった。

 日頃、”振り込めサギ”の被害にあうのは、自己防衛が甘いと心しているだけに、同列に見られたのが面白くなかったらしい。おまけに、本件と無関係な身上調査さながらの質問攻めに閉口したという。「私はまだ年金を貰っていないのに、あの資料はどうやって作ったものかしら?」と、妻は疑問を口にした。

 「そんな対応をしているようでは、本当に被害にあうかも知れないぞ」と、からかってみた。「えっ!どうして?」「どうしてって!なぜ、その警官に身分証明書の提示を要求しなかったの?」。「、、、、」「その警官がにせ者だったら、個人情報を自ら提供したようなものだ」。 とは言ってみたものの、やはり気をつけないといけない物騒な世の中になって来たのだと、笑うに笑えなかった。


★「サラ川」今昔

2009-02-13 10:12:15 | 日記・エッセイ・コラム

 先日、恒例の「サラリーマン川柳」コンクールの入選作100句が発表された。応募数は、21,455句にものぼり、入選作を対象に投票で5月にベストテンが決まる。応募数の多さにも驚かされるが、サラリーマンの悲哀や流行・世相切りの見事さにいつも感心する。

 「『解散!!』と 叫んでみたい 無駄会議」や「連立を 組もうとポチに 言ってみる」の2作品を同時に読むと、迷走内閣と孤独な総理の気持がよく分かる?同じ句でも、受け止め手によって思いが違ってくるのが痛快だ。 「久し振り ハローワークで 同窓会」などは、一昔前なら、「久し振り 待合室で 同窓会」だったろうと思うと、我が身につまされる。

 「明日、有休 妻の舌うち 気のせいか」や「仕事減り 休日増えて 居場所なし」には、雇用不安が色濃く浮き出ていて、ご同情を禁じ得ない。そこで一句。「気に病むな 義理チョコリストに 名前ある」??これでは、慰めにならないかも。

 「 皆さん、どうしてこんな風にうまく表現出来るのだろう」と己の非才を嘆くばかりだが、入選作に倣って駄作を捻るのも一興だ。下手は下手なりに楽しむことこそ、趣味の特権だと変に納得している。


★「とかしきマラソン」番外編

2009-02-11 10:56:31 | 日記・エッセイ・コラム

 大会名の「鯨海峡とかしき島一周マラソン」にあるとおり、渡嘉敷島はホエールウオッチングの名所として名高い。2009年2月8日午前10時発のマリンライナーで那覇泊港へ向う途中、スピーカーを通して船長の声が鳴り響いた。「船の右前方にザトウクジラのブリーチングがご覧になれます!」。

 乗客は、はじかれたように一斉に席を立ち右舷に集まった。私たちの席は、幸運にも右側だった。最初は、海面しか見えなかったが、目が慣れるにつれ2頭のクジラが船と並行して泳いでいる姿が見えた。と、次の瞬間、海面からクジラの巨体が浮かび上がり、反転するように豪快なブリーチングを演じた。船内がどよめいたが、次の行動を待つように、すぐに静まり返った。数十秒後、再び豪快なブリーチングにテールスラップと続くと、もはや乗客は総立ちになった。

 船長は、クジラの動きに合わせ船を減速した。「こんなに近くで、見事なブリーチングを見られることは滅多にありません。ランナーの皆さんの健闘を称えて見送ってくれているのでしょう。」とのアナウンスに、「カンゲキー!」「私、初めて見たわ!」「写真、シッカと撮ったわよ」の声が飛び交い、船内は割れるような拍手と歓声に包まれた。

 去年、慶良間諸島へツアーに出かけた時よりも間近で、見事なブリーチングを何度も目にした感動を、カメラではなく目の奥にしっかり刻み込んだ。数分後、体を横向きにするペックスラップを合図に、船長は船を発進させた。そのポーズは、クジラが「さよなら」「来年もまた来てね」の仕草をしているように思えた。「終わり良ければすべて良し」で、思いがけないお土産を目に焼き付けて、沖縄を後にした。