渡嘉敷マラソンの旅は、出立前からボケを絵に描いたようなトラブル続きだった。
前日の夕方、最終確認のつもりでJALのマイページを検索したら、「該当事項なし」との表示。いつもなら、搭乗券購入・決済・座席予約・webチェックインまで済ませて空港へ向かうのに、手配そのものを失念していたのだ。往路の航空券は、購入できたが、帰りの便が満席で、1週間の滞在予定を2泊3日に短縮するしかなかった。
那覇空港に着き、行きつけのホテルで昼食後、満開の緋寒桜を見てようやく心の平静を取り戻すことが出来た。ところが、悪い事は重なるもの。慎重を期して、前日中に乗船券を購入しようと那覇港へ行くと、渡嘉敷島行きは2㎞離れた「那覇泊港」(通称”とまりん”)からだと教えられた。”とまりん”の窓口で尋ねると、「乗船券は当日しか販売しない」とのこと。乗船申込書を貰いホテルへ戻った。
7日朝、窓口で「満席です」と断られ、「フェリーなら大丈夫」との返事。那覇~渡嘉敷島間の所要時間は、高速船で35分、フェリーで70分だが、高速船は事前予約制で乗船券を当日買うルールだという。不親切だと思ったがあとの祭りで、フェリー券売り場へと急いだ。
フェリーは1日1便だが、マラソン大会当日は3便に増発し、那覇から日帰りで参加できる。沖縄時間とも言うべきか、定刻の9時を過ぎても係員は「全員乗るまで出ませんから安心して下さい」と無頓着だった。私達夫婦は列の後ろから2番目で、最後尾は、ナント!前年の優勝者で「招待選手」(亜細亜大学2年生)だった。
「僕、レースに間に合いますかね?」と不安な表情がのぞき気の毒だった。結果は、彼が総合優勝で憂さをはらした。”ふれあいパーティ”でお祝いを言おうと思ったのだが、午後5時の臨時便で帰京したと知り、招待選手に対する事務局の処遇にも腹が立った。「来年の箱根駅伝に出たら彼を応援しよう」と、妻と誓った。