Conflict of Interest

2012-02-10 09:27:02 | 日常
報道によると、杉並区が東京電力総合グランドを購入する方針のようです。
これに関する新聞記事を2つ紹介します。
 
(毎日新聞 2012年2月1日)

 杉並区は31日、東京電力の運動施設「東京電力総合グランド」(下高井戸)
の土地購入費として60億円を盛り込んだ12年度当初予算案を発表した。区立
公園の用地として7月に購入予定で、13年春にも施設の一部の一般利用を
始める。(記事つづく)

 

東京新聞2012年1月20日朝刊に掲載された「こちら特報部」記事

東京都杉並区の安斉昭区議(42)が、東京電力の社員を兼務しつつ、議員活動も
続けていることが「こちら特報部」の取材で分かった。区内には東電の厚生施設
があり,区が購入する方向で協議している。同区議は区の監査委員も務めており、
「利益相反」の可能性を指摘する声も出ている。(秦淳哉)

 安斉氏のホームページによると、同氏は一九六九年、渋谷区生まれ。都内の
日野市にあった東電技術者の養成機関、東電学園高等部を八八年に卒業、同年に

東電杉並支店に入社している。
 東電労組支部の執行委員長などを経て、二〇〇七年に杉並区議選に民主党新人
で立候補し、初当選。その次の昨年の統一地方選でも再選(定数四八で三十四位)
した。
 二回目の選挙では職業を「区議会議員」として選管に届け出た。選挙公報には、
「安心,安全、活力あふれる杉並区への挑戦!」とのタイトルで街灯の発光ダイ
オード(LED)化による温室効果ガス削減の実現などをビジョンに掲げた。
 杉並区議会議事録によると、区議の報酬は月額約六十万円。年間約三百万円の
ボーナスを含め、年収は一千万円を超える。このこかに政務調査費として月額
十六万円も支給されている。
 公職選挙法では、公務員を除き、職業を理由にして選挙の立候補を禁じた規定
はなく、会社員と議員の兼業は可能だ。
 だが、区議として手厚い待遇を税金で受ける一方、公的資金の注入を受け、
被災民には十分な補償を果たしていない東電からも仮に給与を得ているとすれば、
そこに釈然としない思いを抱く人は少なくないはずだ。
 ここはひとつ、安斉氏本人に説明してもらおうと取材したが、安斉氏は「この
件の取材はお断りしている」とコメントを拒否。逆に「(質問に)答えるか答え
ないかの権利が私にはある、(私が)どこに勤めていようと関係ない。議員が
兼業をしてはいけないという法律はないはずだ」「東電に勤務していたら議員に
なってはいけないのか。東電と関係すればなんでも『悪』と決め付けるような
報道はおかしい」と強い口調で話した。
 その後、東電社員であることは認めたが、会社員として東電から給与を受け
取っているか否かについては「議員の仕事内容以外は,プライベートなことな
ので答えを差し控える」と話した。
 東電はすでに福島原発事故の被災者の補償に充てるため、杉並区にある厚生
施設「東京電力総合グランド」(約四万三千八百平方メートル)を同区に売却
することを決定。売却価格は約二百億円とみられ、区も前向きに購入計画を協議
している。
 そこで再び、安斉氏に注目が集まる。というのも、同氏は事業が正しく執行
されているかをチェックする監査委員を務めているからだ。東電社員であり
ながら、この土地取引を公平な立場で審査できるのか。議会内でも公正な立場を
保てない「利益相反」を危ぶむ声がささやかれている。ちなみに、監査委員の
報酬として、別に月額約十五万円が支給されている。
 社員として忠実であろうとすれば、高値売却が必然。区議としてなら、値下げ
を追求すべきだ。安斉氏がそうした矛盾した立場に立たされていることは間違い
ない。

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