TO GERALD AND SARA
MANY FETES
F.Scott Fitzgerald
6月7日
そそくさと荷物を部屋に置き、「夜はやさし」(Tender Is the Night)
の舞台、Antibes (アンティーブ)、Juan-les-Pins(ジュアン
レパン)へ向かった。
電車に揺られること30分弱でNiceからJuan-les-Pinsに到着。
空が真っ青で気温は30℃近くあるのに、空気が大変乾いて
いる印象。汗をかいているのに全くベタつかない。
駅を出て右に曲がり、海沿いの道を進むと、最初の目的地
Villa Paquita(現Villa Picolette)見えて来た。
Villa Paquita(現Villa Picolette)住所 31 Bvd Edouard Boudoin, Antibes
ここはF. Scott Fitzgerald夫妻が一時暮らしていたヴィラ。
後にヘミングウェイ夫人(Hadley)と長男のバンビ君が
入居してくることになる。
「ヘミングウェイの妻」(ポーラ・マクレイン著)によると
Antibes滞在中に百日咳と診断されたバンビ君を隔離する必要が生じ、
「ヘミングウェイの妻」(ポーラ・マクレイン著)によると
Antibes滞在中に百日咳と診断されたバンビ君を隔離する必要が生じ、
フィッツジェラルド夫妻が、自らのヴィラをHadleyとバンビ君
が使うよう申し出てくれた、と言うのである。
が使うよう申し出てくれた、と言うのである。
次に訪れたのが、Hotel Belle Rives
Hotel Belle Rives 住所 33 Boulevard Edouard Baudoin
昔はVilla Saint-Louisという名のヴィラで、Fitzgerald夫妻が
一年ほど暮らしていたところ。
増改築を重ねてはいるものの、ここそこに当時の面影を残して
いる。
このホテルは、プライベートビーチも備えた中々の高級ホテルだが
オープンでフレンドリーな雰囲気が感じられ、うれしかった。
3つ目の目的地は「夜はやさし」の舞台Villa Diana(ヴィラ
ダイアナ)のモデルとされるVilla America(ヴィラアメリカ)である。
ここが今回の旅行の目玉と言っていい。
Hotel Belle Rivesからひたすら海沿いに歩くと、左に曲がる狭い小径
(Passage du Diable)がある。そこからChemin des Niellesを経て
Chemin Reine Margueriteを行くと、Chemin des Mouginsに出る。
Chemin des Mouginsに入って数歩進んだところで、Villa Americaの上部が
見え始めた。ほどなく門扉にたどり着いた。
あまりに嬉しくて言葉が出なかった。
無言でシャッターを切る。
Villa America 住所 112 Chemin des Mougins, Antibes
これが「夜はやさし」でフィッツジェラルドが献辞を捧げた
Gerald and Sara Murphy夫妻のVilla Americaだ!
インターネット上では「既に取り壊された」との情報もあり
かなり気をもんだが、現存していたとは神に感謝するしかない。
しかしここから中の建物を見ることは至難の業だった。
庭の木が高く生い茂りすぎているのである。
これが「夜はやさし」でフィッツジェラルドが献辞を捧げた
Gerald and Sara Murphy夫妻のVilla Americaだ!
インターネット上では「既に取り壊された」との情報もあり
かなり気をもんだが、現存していたとは神に感謝するしかない。
しかしここから中の建物を見ることは至難の業だった。
庭の木が高く生い茂りすぎているのである。
飼い主の助言で、建物の反対側に面するChemin des Niellesから
アプローチする作戦に切り替えてみた。
グーグル地図で見た位置関係(白い建物がVilla America)
これが功を奏し、建物の上部やジェラルドの作業棟などもくっきり
と見え、当時を偲ぶことができた。
アプローチする作戦に切り替えてみた。
グーグル地図で見た位置関係(白い建物がVilla America)
これが功を奏し、建物の上部やジェラルドの作業棟などもくっきり
と見え、当時を偲ぶことができた。
Villa Americaの前で30分ほど過ごした後、フィツジェラルド夫妻、
マーフィー夫妻、ピカソ夫妻などが集ったGaroupe(ガループ)の
ビーチを見て回った。
そこからAntibes最後の目的地、Hotel du Capへひたすら歩く。
「夜はやさし」の冒頭に出て来るGausse's Hotel des Etrangersの
モデルだが、ここはセキュリティが厳しくて、写真さえ自由に
撮らせてもらえない。
遠慮しがちに撮影したのがこの1枚である。
さて、一連のスケジュールを終え、腕時計を確認するとまだ午後2時24分
(日本時間午後9時24分)だった。
羽田空港を離陸してから24時間も経っていない。
まるで夢のような一日だった。
参考図書
Calvin Tomkins, Living Well Is the Best Revenge
「優雅な生活が最高の復讐である」 カルヴィン・トムキンズ
青山南訳, 新潮文庫
Paula McLain, The Paris Wife
「ヘミングウェイの妻」 ポーラ・マクレイン
高見浩訳, 新潮社
Ernest Hemingway, The Movable Feast
「移動祝祭日」 アーネスト・ヘミングウェイ
高見浩訳, 新潮文庫