多くの人がダイエットに挑戦し、一時的にはうまくいって体重が減っても、いつの間にか元より体重が増加してしまい、それを繰り返すうちに、ますます体重が増えていきます。そのようなウェイト・サイクリングに陥っている人は非常に多いですが、私もその典型例でした。
私の場合、若い時は気合いを入れると減量が割と簡単にできてましたが、その度にリバウンドを繰り返し、中年以降になると減量は半ばあきらめ気味でした。昨年の暮れに私の職場でもメタボ健診が始まり、腹囲測定があることを知り、久しぶりにダイエットに気合いが入りました。健診の直前に減量に成功し、ぎりぎりメタボリック症候群の基準からは外れることができました。苦労して減量に成功しても、すぐにリバウンドするようでは何にもなりません。減量よりも減量後の体重維持の方がずっと難しいと思います。
ダイエット成功後のリバウンド現象を克服するためには一体全体どうしたらいいのでしょうか?御一緒に考えてみたいと思います。
ダイエット成功後のリバウンド現象とは?
ダイエットがうまくいって、いったん減量に成功したとしても、その後再びもとの体重へ戻ってしまうリバウンド現象は、多くの人が経験しています。ダイエット成功後に短期間で前よりもさらに太るというのはよくある話です。特に、急激なダイエットで短期間に大幅に減量すると、体重がすぐに逆戻りしやすいことが知られています。リバウンド後は、以前より筋肉が減り脂肪だけが増えていて、しかも脂肪がとれにくい状態になってしまってます。この減量とリバウンドというサイクルを幾度も繰り返すウェイト・サイクリングに陥ると、1度目よりも2度目と回を重ねる毎に、ますます減量しにくくリバウンドしやすくなる方向に生体は変化していきます。これはダイエットを実行する前よりはるかに悪い状態です。こんな状態に陥らないようにくれぐれもお気をつけ下さい。
やせることよりも、やせた状態をいかに維持するかの方が、はるかに重要で困難な問題です。やせた状態を維持するために絶対に必要なことは、太る原因となった食習慣を変えることです。減量で減らした体重をいかに維持するかが最重要事項です。
ダイエット成功後、油断してはいけない期間は2年間です。特にダイエット成功後の半年間くらいは最も警戒すべき時期です。食事量には常に気を配り、体重が増加し始めたら、すかさず運動量を増やすなどして早めに対処しましょう。
減量後の体重維持は、減量の程度が大きいほど困難であることが知られています。現状から10%程度の減量でも成人病は著しく改善されますから、最初から理想体重を目指して挫折を繰り返すよりは、現在の不健康な状態から少しでも脱却できる実行可能な目標体重を設定してそれを確実にクリアしていく方が現実的です。
米国健康財団の健康体重に関する勧告では、まずは体重の10%程度の減量で十分としています。そしてこの体重を6カ月以上維持し、体重増加のないことを確認してから次のステップに移るようにとしています。
食事制限+運動がダイエットの基本!
食事制限によるダイエットを開始すると、ちゃんと実行すれば、最初の1カ月間はおもしろいように体重が減少しますが、2カ月目にはいると、体重の減少はほとんど止まります(適応現象)。これは、少ない摂取エネルギーに合わせて、基礎代謝量を低下させて消費エネルギーを減らそうとするために起こる現象です。ダイエットの途中で挫折する人の多くは、体重減少のみられないこの時期に減量をあきらめてしまうのです。
この適応現象を克服するために必要なのが運動なのです。運動をすると、活動エネルギー消費に加えて基礎代謝量も増加します。さらに、余剰エネルギーが脂肪に変換されにくくなります。適応現象を克服するために必要な1日運動量は300kcal程度とされています。およそ一万歩の歩行がこの運動量に当たります。
食事制限だけでは適応現象によって体重減少が止まる時期が何度もやってきます。そこで、さらに体重を減らすためには、より過酷な食事制限か、運動を加えるかのどちらかを選択しなければなりません。より過酷な食事制限は健康状態を悪化させてしまいます。食事制限はそのままにして、根気よく運動を続けて、何度も訪れる適応現象を克服してゆくことが大切です。
運動で消費できるエネルギーはそれほど多いものではありません。食事制限なしで、運動だけで体重を減少させることはほとんど不可能と考えて下さい。運動で体脂肪1kgを減らすためには、7200kcalのエネルギーを消費する必要があり、これをウォーキングに換算すると24万歩分の運動で消費されるエネルギーで、ランニングだとマラソン3回分の消費エネルギーです。運動の前後に体重計の目盛りが減るのは、発汗で体の水分が減った分がほとんどで、運動後に水を飲んだらすぐに元に戻ります。運動後に食欲が増進して普段より余分に食べてしまえば、むしろ体重は増えてしまいます。減量のためには、運動をして、なおかつ、摂取カロリーもある程度は制限する必要があります。
ダイエット効果のある運動とは?
適応現象を克服してゆくためには,1日300kcal程度消費する運動が必要ですが、具体的にいうと、ウォーキングで75分、階段の昇りで40分、水泳や縄飛びで30分、これらの運動を継続した場合の消費エネルギー量が300kcalに相当します。
300kcalというと、ビールなら大ビン1本と同じエネルギー量です。運動後に、ビール1杯飲めば消費エネルギーはプラスマイナスゼロとなってしまいます。
ダイエットには、短距離走のような急激で激しい運動よりも、軽く汗ばむ程度の軽い全身運動を長く続けるほうが効果があります。運動開始直後は、エネルギー源として筋肉中のグリコーゲンや血液中のブドウ糖が使われますが、運動開始後15~20分たってから脂肪が使われるようになり、30分を経過すると使用されるエネルギーのほとんどが脂肪になります。そのため、脂肪を燃焼させるためには、30~60分くらいは運動を持続した方が効果的です。また、週1回程度の運動ではダイエット効果はほぼゼロに等しく、毎日継続して行えるウォーキングなどの軽い運動がダイエットには適しています。毎日継続できるかどうかが重要なポイントで、激しい運動は必要ありません。
体脂肪は時間をかけてゆっくりと温めなければ燃焼が始まらず、しかも燃焼し続けるには多量の酸素を必要とします。脂肪を燃焼させるために一番効果のある運動が、大量の酸素を使う有酸素運動(酸素を取り入れながら行う運動)です。ウォーキング、ジョッギング、水泳、サイクリング、エアロビックダンスなどです。
さらに、ダンベル体操などの筋肉トレーニングでは、筋肉を鍛えて筋肉の量が増え、基礎代謝量が増えることによって消費エネルギーが増加します。また、ダイエットの食事制限で、脂肪ばかりでなく筋肉なども減少してしまう可能性がありますから、筋肉を鍛えて筋肉減少を予防することは大切です。
要するに、ダイエットのためには、ウォーキングなどの有酸素運動を主とし、それを補う形でダンベル体操のような筋肉トレーニングも併用するのがベストです。
ゆっくり気長に継続しましょう!
ダイエットの食事は、カロリーを押さえた、栄養バランスのよい食事を、規則正しく食べるというのが王道です。しかし、いちいちカロリー計算なんてやってられませんから、例えば、『間食は一切止め、3度の食事を品数はいつもと同じにして、各品の量をいつもの2/3に減らす(外食の場合は各品を1/3づつ残す)』というような方法も有効です。これを気長に続けてゆけば確実に体重は落ちていくはずです。最初の2週間くらいは空腹感に悩まされますが、3週間目以降くらいになると胃も小さくなってきて空腹感は次第になくなります。これと、有酸素運動と筋肉トレーニングとを組み合わせて確実に実行してゆけば、1カ月2~3kg程度の減量ペースが期待できます。実際に成功する人は少ないのですが、方法論としては非常に単純なことです。実行すれば必ず成功するはずですから、これをゆっくり気長に継続しましょう。