ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

読売新聞:日本の制度不備を痛感 大野病院事故 医師逮捕に驚きの声

2006年05月26日 | 報道記事

****** 読売新聞、2006年5月26日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/20060526ik04.htm

医療安全 米国報告

(4)日本の制度不備を痛感

大野病院事故 医師逮捕に驚きの声

 「えっ、それで医師が逮捕されるの?」

 ワシントンの政府系医療機能評価機関の主任研究員、デボラ・クイーンが驚きの声を上げた。日本の福島県立大野病院で今年2月、帝王切開の手術中に女性患者(当時29歳)が失血死し、産科医が逮捕された事件を説明した時のことだ。

 「医療過誤に刑事罰はなじまない」「逮捕の基準、異状死の届け出の基準が不透明だ」という医師団体などの従来の主張に、「たった1人の産科医が不在になれば地域医療が崩壊する」という要素が加わり、医療従事者の間で波紋が広がっている。

 ――そうした日本の事情を説明すると、クイーンは混乱した表情で、こう口にした。「なぜ、そんな分かりにくい制度や状況を放置しているのですか」

 同じ言葉を、多くの医療関係者から聞いた。

                  ◎

 米国では、医療事故が刑事事件になることはきわめてまれだ。

 病院での不審な死については、具体的な届け出の基準があり、専門職が解剖の適否を判断する。解剖して初めて医療過誤が発覚した場合も、検察側に連絡する義務はなく、通常は担当者の判断に任せられるという。解剖結果の情報は基本的に閲覧が可能。民事訴訟に使うことができ、州ごとのボード(専門家委員会)がこの結果を判断材料にすることもある。

 大野病院の例のほか、患者の取り違え事故、先端技術を駆使した手術でのミスなど、日本で刑事処分の対象になるケースの対応について、医療制度に詳しいボルティモア大のアラン・ライズ教授に尋ねると、「医師は免許を失い、民事で訴えられるだろう」という答えが返ってきた。

 米国の行政処分は厳しい。2000年の統計では、約70万人の医師のうち、免許取り消し1642人、免許停止745人、戒告・けん責1014人。免許取り消しだけでも日本の過去35年の累計の33倍に当たり、医師数が日本の3倍弱であることを考慮しても多い。

 「行政処分が日本の刑事処分に近い懲罰的な意味を持っている。それでも『医師に甘すぎる』という国民感情がある」と、ライズ教授は付け加えた。

                  ◎

 日本では、「医療事故だけを業務上過失致死罪から除外する理由はない」とする法曹界と、反発する医療界の“溝”が埋まらない。

 昨年、法医学、病理、臨床の3者が解剖と検証、評価を行うモデル事業が始まったが、過失の評価や公表の方法について明確な基準を出せずにいる。

 「なぜ、県ごとにボードを作らないのですか。警察に頼らない事故検証と懲罰の仕組みを作らなければ、医療はダメになりますよ」。自由主義を掲げ、規制の強化には基本的に反対の立場であるはずの民間研究機関「ケイトー研究所」の担当者でさえそう懸念するのを聞き、日本の制度設計の遅れを強く感じた。(敬称略)

(2006年5月26日  読売新聞)

読売新聞: 医療安全 米国報告

(1)患者との和解導く「謝罪」(2006年5月23日)

(2)プロ意識保つ“分業制” (2006年5月24日)

(3)消費者の力で変える (2006年5月25日)

(5)実名公表支える横の連携(2006年5月29日)


毎日新聞:「医療判断制度を」医学部長会議が声明

2006年05月20日 | 報道記事

****** コメント

医療行為は必ずしも患者側が期待した通りの結果となるとは限りません。医療行為の是非を患者側弁護士と医療側弁護士のディベートで判定する現行システムでは、判定の結果がどちらにころぶか?は弁護士の腕や裁判官の考え方次第ということにもなりかねず、医学の常識が通用するとは限りません。中立的な立場から医療行為の是非を判断するシステムの確立は患者側、医療側の双方にとって急務だと思われます。

******

毎日新聞、2006年5月19日

産婦人科医逮捕:「医療判断制度を」医学部長会議が声明

 福島県立大野病院で帝王切開手術中に患者が死亡し、産婦人科医が逮捕、起訴された事件について、全国医学部長病院長会議などは19日、「医療では、予見できない合併症や予見を上回る重大な合併症が起きることは避けられない。医療行為の結果次第で逮捕、起訴されることのないよう、中立的な立場から医療行為の是非を判断するシステムの確立が必要」とする声明を発表した。【永山悦子】

毎日新聞 2006年5月19日 20時12分


読売新聞:大野病院の妊婦死亡 「公判前整理手続き」適用

2006年05月18日 | 報道記事

****** 読売新聞、2006年5月18日

大野病院の妊婦死亡 「公判前整理手続き」適用

妊婦死亡被告側「全面的に争う」

 県立大野病院(大熊町)で一昨年12月、帝王切開の手術中に女性(当時29歳)が失血死した医療事故で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われている同町下野上、同病院の産婦人科医加藤克彦被告(38)の公判に、審理を迅速化するため争点を事前に絞り込む「公判前整理手続き」が適用されることになった。福島地裁と福島地検、加藤被告の弁護団が17日、同地裁で協議を行い決めた。

 検察側は6月9日に公判で立証する内容を示す「証明予定事実記載書」を、弁護側はこれに対する意見書を7月7日に提出する。7月中に行われる第1回公判前整理手続きを経て、9月にも初公判が開かれる見通し。

 この事件に関して加藤被告の主任弁護人を務める平岩敬一弁護士(日本産科婦人科学会顧問弁護士、横浜弁護士会所属)は、読売新聞の取材に応じ「今まで医師の医療行為に基づく刑事事件では、薬剤の誤投薬など明白な過失があったが、今回はそうではない」とした上で、「全面的に争う」と明言した。

 公判では「胎盤を子宮からはがそうとした行為における過失の有無」「大量出血の予見性」「女性の死亡が医師法上の異状死に当たるかどうか」の3点が主な争点となるとみられている。

 検察側は起訴状などで「被告は胎盤が子宮に癒着しているのを認識し、胎盤のはく離を続ければ大量出血することを予見しながら、子宮を摘出して大量出血を回避する措置を取らず、胎盤を無理にはがして大量出血を引き起こした」と主張。

 これに対して平岩弁護士は「胎盤の癒着がわかった時、子宮摘出に移るか、胎盤のはく離を続けるかは、現場の医師の判断。むしろ裁量の問題だ」と述べ、「今回の行為が過失となると、そういう医療行為ができなくなる」と指摘。また、大量出血の予見可能性について「胎盤をはがした直後の出血量はそれほど異常ではない。その後に多量出血したが、それが予見できたとは言えない」と主張した。

 さらに「異状死」の定義について、検察側は「異状死は変死体よりも概念が広い。女性は大量出血して死亡しており、異状死と認定できる」とするが、平岩弁護士は「異状死の判断を誰がするのか。加藤医師は異状死だと思っていない」と反論。その上で「今回は院長に報告し、その判断で警察に届けていないのだから、それで刑事責任を問われるのはおかしい」と語っている。

(2006年5月18日  読売新聞)

毎日新聞:医師逮捕に抗議、県保険医協会/岩手

2006年05月17日 | 報道記事

****** 毎日新聞、2006年5月16日

福島・大野病院医療ミス:医師逮捕に抗議--県保険医協会 /岩手

 福島県立大野病院で手術中の女性(当時29歳)を出血性ショックで死亡させたとして執刀した産婦人科医師が業務上過失致死罪などで起訴された問題で、県保険医協会(箱石勝見会長)は15日、逮捕は不当だとする抗議声明を発表した。
 声明では医師が在宅起訴ではなく身柄を拘束されたために、産婦人科医がこの医師しかいない同病院が休診せざるを得ない状況を、他の患者への2次被害だと指摘。今回の事件を機に診療上予見できないことにまで医師が責任を問われると、医療が萎縮してしまい、結果として患者に必要な医療を提供できなくなるとしている。
 ◇「人ごとではない」
 同会は「産婦人科医が一人という大野病院の状況は、岩手県の多くの病院にとっても例外でない」と危機感を募らせている。【林哲平】

5月16日朝刊

(毎日新聞) - 5月16日14時0分更新


報道記事:地方公聴会(衆院厚生労働委員会)

2006年05月10日 | 報道記事

****** 朝日新聞、2006年5月9日

産科医の実態次々と

 過酷な労働条件に高い訴訟のリスク。なり手が減り、さらに状況が悪化している――。8日に福島市で開かれた衆院厚生労働委員会の地方公聴会で、地方の産婦人科医や小児科医の深刻な実態が、次々に披露された。県立大野病院の産婦人科医が逮捕・起訴された事件をきっかけに、背景にある問題にスポットが当たり始めている。

 地方公聴会は、医療制度改革関連法案の審議のために、過疎地や医療現場の声を直接聴くために開かれた。産婦人科医が逮捕された事件が全国的に波紋を広げていることなどから、福島が会場の一つに選ばれたという。

 意見陳述で、東北大学の岡村州博教授(周産期医学)は、産婦人科医の減少が現場に及ぼす悪循環について「医療水準が低下し、(訴訟などの)紛争が増える。その結果、現場はますます過重労働になり、嫌気がさして病院を辞める」と指摘した。「日本の周産期医療は世界でトップクラスだが、今、病院で頑張っている医師を正当に評価する仕組みを作らないと、医療システムそのものが崩壊する」などと訴えた。

 岡村教授によると、産婦人科医を「やりがいがある」とした医学生が男子で2割、女子で5割いるという。

 だが、研修などで現場を見たのちに、実際に産婦人科を選択する医学生は年々減少している。学部を出てから15年目以下の若手の間では「当直や不規則な診療など労働条件が過酷」「医療訴訟が多い」などとして、「お産を手がけたくない」と答えた産婦人科医が全体の4分の1にのぼるという。

 また、岡村教授は、東北地方の基幹病院の約2割は、産婦人科医が1人しかいないという現状を説明。勤務医は夜間や休日のお産や緊急手術にも対応し、実労時間は平均で週58時間、当直は月平均7.4日を数えるというデータも挙げた。

 県産婦人科医会の幡研一会長は、45都道府県で分娩(ぶんべん)をやめたのは04年、60病院・97診療所にのぼったが、新たに始めたのは6病院・29診療所にとどまったとの数字を示した。

 幡会長は、訴訟などのリスクが産婦人科医不足に拍車をかけると指摘して、「医療事故を専門に裁く、第三者審査機関の創設などを検討してほしい」と訴えた。

 仙台市立病院救命救急センターの村田祐二・副センター長は小児科医の立場から、「32時間やそれ以上の連続勤務が続いている現状は、人の命を預かる立場としては異常。地方で小児科医は激減しており、子育て支援の観点から、国の公的支援が急務」などと訴えた。

 県立大野病院の産婦人科医逮捕 04年12月に帝王切開手術を受けた女性(当時29)が約4時間半後に手術室で死亡。05年3月に公表された事故調査報告書をきっかけにして、06年2月、執刀した産婦人科医が業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の疑いで逮捕され、3月に起訴された。逮捕された医師は、同病院でただ一人の産婦人科医で、逮捕後に同病院の「産婦人科」は休診となった。

(朝日新聞、2006年5月9日)

****** 読売新聞、2006年5月9日

産科・小児科不足訴え衆院公聴会 県内首長から不安の声

 地方の医療現場の声を聴く衆議院厚生労働委員会の地方公聴会が8日、福島市内で開かれた。席上、意見陳述に立った県内の首長や医療関係者らは、特に産婦人科医と小児科医の不足から、病院が診療中止に追い込まれたり、激務による退職でさらに医師不足に拍車がかかる実情を訴えた。

 国会に提案されている、高齢者医療費の窓口負担引き上げなどを盛り込んだ医療制度改革関連法案の審議の参考にしようと開催された。地方の医師不足が指摘される中、産婦人科医不足が背景にあるとされた県立大野病院の医師逮捕事件が起こった福島県が、公聴会の開催地に選ばれた。

 意見を述べたのは、首長のほか、県医師会や県産婦人科医会幹部、東北大教授ら6人。このうち、公立病院を抱える国見町の佐藤力町長は、町内に診療所が2施設しかないため、勤務医が激務に追われ、病院を離れ開業するケースが増加している現状を挙げ、「地域住民に大きな不安と動揺が広がっている」と述べた。

 また、医師不足から拠点施設への医師の集約化が検討されている問題について、幡研一・県産婦人科医会会長は「過疎地では公的支援がないと経営は困難で、現時点では都会では出来ても地方では難しいのではないか」と訴えた。このほか、女性医師の待遇改善や、単に財政問題だけでなく少子化対策の視点を取り入れた医療制度改革の必要性を訴える意見も出された。

 公聴会後、団長を務める鴨下一郎衆議院議員(自民)は「地方都市で特に産科、小児科の医師不足が浮き彫りになったと思う。財源、人員の問題もあるが、なんとか前に進む審議をしたい」と語った。

(2006年5月9日  読売新聞)

****** 毎日新聞、2006年5月9日

大野病院医療ミス:産婦人科医の集約問題 幡・県会長、公的予算補助求める /福島

 ◇「住民が点在、難しい」--医療制度巡る地方公聴会
 医療制度改革関連法案をめぐる衆院厚生労働委員会の地方公聴会が8日、福島市で開かれた。県立大野病院の産婦人科医が逮捕、起訴された事件に関連し、検討されている産婦人科医の集約化に対し、幡研一・県産婦人科医会長は「(住民が点在する)田舎では難しい」として地域的特性を踏まえた上で、予算面など公的補助が必要と指摘した。このほか医療面での地方切り捨てにならないよう求める意見も出された。【坂本昌信】
 公聴会では、幡会長のほか▽飯館村長の菅野典雄・県町村会長▽高谷雄三・県医師会副会長▽佐藤力・国見町長ら6人が10分ずつ意見陳述した。
 幡会長は産婦人科医の集約化問題に加え、逮捕容疑に医師法21条の届け出義務違反があったことから「(異状死に対する)統一した見解を早く出してほしい。最善を尽くしても結果次第で即逮捕では、現場に混乱と恐怖を与え、萎縮(いしゅく)診療を招く」と訴えた。
 高谷副会長は「弱者切り捨てにならないようにして。美辞麗句では済まされない」と述べ、菅野会長は「市町村合併などあらゆる面で年々地方いじめの方向に日本が向かっている。(医療においては)そのようなことがないようにしてほしい」と訴えた。
 また、議員団から医学生の産婦人科離れへの対策を問われ「医師が望む研究活動の充実化を図る」「医療紛争のリスクを減らす制度を構築する」――などの提言が出された。
 公聴会終了後、出席委員の団長である鴨下一郎氏(自民)が、県立大野病院の事故が起きていることから「極めて象徴的な地域」と県内で開催した理由を明らかにした。さらに、鴨下氏は「産婦人科と小児科は医師集約化が重要」と指摘した。
 これに対し、仙谷由人氏(民主)は「医師の集約化が叫ばれてだいぶたつが、いまだに予算がつかない。本腰を入れてやらないと、お題目だけで終わる」と政府を批判した。また、高橋千鶴子氏(共産)は「県立大野病院で起きた事件は、いつどこで起きてもおかしくないことが分かった。お金があればすべて解決可能とはいかないが、医師の数を増やすことが重要」と指摘した。

5月9日朝刊

(毎日新聞) - 5月9日13時1分更新

大野病院医療ミス:「判断基準つくるべきだ」--県医師会など、異状死で声明 /福島

 県立大野病院の産婦人科医が逮捕、起訴された事件に関連し、県医師会、県歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会は8日、異状死を24時間以内に所轄警察署へ届け出るよう義務付けた医師法21条の改正や指針の整備を厚生労働省などに求める内容を柱とした声明を発表した。会見した県医師会の小山菊雄会長は、「異状死の判断基準があいまい。ガイドラインをつくるべきだ」と訴えた。
 小山会長は「24時間以内の届け出というが、判断するまで院内では時間が足りない。所定時間内に届け出ができないこともある」と述べ、「法改正は難しいだろうが、ガイドラインをつくるべきだ」と早急な整備を求めた。
 また、今回の産婦人科医逮捕で「医師が医療行為に対して萎縮(いしゅく)する例が出てきている」と今回の事件の医療現場の反応についても言及。第三者機関を設けて事故原因を検証する体制を整えるよう要請した。
 県医師会によると、ガイドライン制定や第三者機関設置については、日本医師会を通して4月から厚労省に要望を始めている。【町田徳丈】

5月9日朝刊

(毎日新聞) - 5月9日13時2分更新

****** 福島民報、2006年5月9日

医師不足実情訴え/医療、行政関係者が陳述/福島で衆院厚生労働委地方公聴会

 医療制度改革関連法案の審議で、衆院厚生労働委員会は8日、福島市のウェディングエルティで地方公聴会を開いた。県内の医療、行政関係者らが意見陳述を行い、医師の人員不足や過重労働、集約化の課題など地域の実情を訴えるとともに国などの支援を求めた。
 委員10人が出席した。本県から県町村会長の菅野典雄飯舘村長、高谷雄三県医師会副会長、幡研一県産婦人科医会長、佐藤力国見町長の4人、他県から医師ら2人が臨んだ。
 高谷副会長は「医師は健康を犠牲にして職務を果たしており、医療費抑制だけでは医療は廃れる」と主張。十分な医師確保に向け、医療費の応分の配備を求めたほか、厚生労働省が制度改革の根拠とする将来の医療費などの推計値に疑問を呈した。
 幡会長は産婦人科医の減少や高齢化、分娩(ぶんべん)をやめる医師の増加など現状を報告。当直や不規則な勤務が多い過酷な労働環境や医療訴訟の増加、スタッフ不足などが背景にあるとして「周産期医療提供体制の崩壊の危機が迫っている」と述べた。
 菅野会長は地方で医師が医療を経験する制度を提案したほか、福島医大の定員増や、新制度で市町村が広域連合をつくる際に国・県が果たす役割の明確化を求めた。公立藤田総合病院の管理者を務める佐藤町長は「新制度で高齢者負担が増えれば病院に行けず重病になって医療費が多額になり、支払えない人も増えるのでは」と指摘した。

****** 福島民友、2006年5月9日

過重労働の改善訴え

 衆院厚生労働委員会は8日、75歳以上の後期高齢者の医療保険制度創設を含む健康保険法改正案や、小児科や産婦人科の医師不足を背景に良質な医療提供体制の確立を目指す法律案など委員会審議中の4法案に地方意見を反映させる公聴会を福島市で開催。本県や宮城県の医療関係者は、小児科医や産婦人科医が置かれた過重労働の実態を報告し、国が改善策として進める医師集約化に対して、交通や気象状況など地方の実情を考慮した医師配置の必要性を訴えた。また県立大野病院の産婦人科医逮捕・起訴を受け、無過失責任補償制度と医療事故を審査する第三者機関の設立を国が早期に進めるよう求めた。


AERA:医療と司法

2006年05月02日 | 報道記事

■■■■■■■■ AERA 2006.5.1-8(No.21)より

アエラの同じ号の85~87ページに、「ナチュラルバースは甘くない」という記事があり、興味深く読みました。

ナチュラルバースを実施している個人医院や助産院などを分娩場所として選択する妊婦さんも少なくありません。そういう施設では、妊婦検診中に低リスク妊婦だけをセレクトしていると思いますが、いくら正常分娩になりそうな低リスク妊婦だけをセレクトしたとしても、分娩の途中で異常が発生するケースは必ず一定の確率であるはずです。

おそらく、そのような施設の管理者は、分娩経過中に何か異常が発生したら、すぐに緊急対応可能な近くの総合病院産科に患者さんを救急車で送りつけてしまえば万事OKと安易に考えているのだと思われます。しかし、救急車を受け入れる立場の総合病院の産科も、今は自分のところの患者さんの管理で手一杯の状況です。『ナチュラルバース志向で、何のリスクの説明もされていない、生命の重大な危機に陥っている妊婦さん』を受け入れる人的余裕など、はっきり言って全くないのが現状です。

あまりに無責任な診療を行っている施設で起こった事故の責任まで、我々が負うことはもはやできません。今後は、個人医院や助産院で、リスクの説明を全くしないで、緊急時の対策も全く考えずに分娩を取り扱い、分娩経過中に何か重大な異常が起こって総合病院産科に緊急搬送した場合には、その搬送元の医師なり助産師なりに診療の結果に対する応分の責任を負っていただくのが当然であると私は考えています。

******

Asahi Shinbun Weekly AERA 2006.5.1-8, p.78

医療と司法

医療の現場に警察が介入することが多くなった。
医師を萎縮させ、外科医や産科医などが減少しかねない。

古川俊治  
Furukawa Toshiharu
外科医・弁護士

1963年、埼玉県生まれ。慶應義塾大学法科大学院・医学部助教授として医事法や消化器外科を担当する一方、TMI総合法律事務所に所属。2001年には、大学発ベンチャー「GBS研究所」の代表取締役に就任。

■■■■■■■■ 

医療現場への警察の介入が目立ちます。最近では、帝王切開を受けた女性が死亡した事故で福島県の産婦人科医が業務上過失致死と医師法違反の疑いで逮捕され、終末期の患者の人工呼吸器をはずした富山県の外科医の行為については、県警が殺人容疑も視野に入れて捜査を始めたといいます。

福島県の産婦人科医の場合、最初の事情聴取から1年もたってからの逮捕でした。海外逃亡や証拠隠滅の恐れがあるわけではないのに、なぜ逮捕が必要だったのでしょうか。一種の見せしめだたのか、と勘ぐりたくもなります。

手術などの治療には、最善を尽くしても不可避な危険性があります。福島県の産婦人科医の場合も、癒着胎盤など非常に難しい状態で、ほかの医師が担当したとしても、妊婦の死亡は防げなかった可能性が低くはありません。そんな治療で逮捕されるのなら、リスクの高い治療をしなければならない専門の医師は萎縮し、自己防衛として、危ない治療は断るようになるでしょう。

産科や外科、麻酔科、小児科などの医師は今でもすでに不足気味なのに、決定的に減少すると思います。この傾向は、研修医の後期研修の志望先にすでに表れており、産科や外科などを希望する研修医が激減し、リスクの低い科の希望者が増えています。

本来、リスクのある困難な治療を成功させ、病気やけがで命の危険にさらされた人たちを救うのが医師の喜びです。しかしこのままでは、若い医師たちにとっては、そんな治療で感動を覚えるのは昔話にすぎない、という状況になってしまうかもしれません。しかも国民の医療不信が高まり、医療費抑制で給料も低ければ、医師という職業に何の展望も開けず、閉塞感が強まる一方です。

医療事故への刑事介入は大きな問題です。犯罪捜査と責任追及を職務とする刑事司法が、学術的な専門知識を必要とする上に、医師や看護師の技量や患者さんの容体、病院の体制など、様々な要因を考慮しなければならない医療事故に対処することには無理があります。

薬の取り違えといった明らかなミスは別として、医療事故の大半は原因が複雑で、医師の責任の有無や治療の正誤について白黒をつけるのは難しいことが多いものです。ですから民事での慎重な審理がふさわしいのです。民事で医師が悪質であると判明した時には、業務停止や医師免許取り消しなどの行政処分で対応すればよいのです。米国などでは、刑事介入になることはめったにありません。

医療事故が刑事事件として扱われると、担当医も関係した医師や看護師も、長期間にわたって警察や検察に呼ばれ、取り調べを受けることになります。これは、多忙な業務の中での物理的な負担になるだけでなく、重い精神的負担となり、円滑なチーム医療の実施を妨げる原因にもなります。

福島県の逮捕は、業務上過失致死と医師法21条の異状死の届け出義務の違反に問われましたが、どちらも問題です。

「過失」を問うには、予見可能性と回避可能性があるという前提が必要ですが、福島県の事件の場合、そのどちらもなかった可能性があります。

また、今回のケースが本当に「異状死」に該当するのかどうかも疑問の余地があります。本来、警察に「異状死」の届け出が必要なのは、人の死亡を伴う重い犯罪の関連が疑われる場合です。医療事故に関しては、一般的には過失を自覚していなければなりません。福島県の産婦人科医の場合も不可避の合併症だという判断で、届け出なかったのだと思います。

医療の過程で患者さんが死亡した場合、どんな場合に警察署への届け出を要するのか? この問題は7年前の東京都立広尾病院の事件以来、大きな問題となっていますが、現在も明確な基準がありません。

数年前には日本外科学会や日本内科学会などの臨床医たちが、届け出るべき異状死、すなわち警察の捜査の対象となるような事故について「医療過誤の存在が強く疑われるか、過誤が明らかな場合に限るのが適切」という指針をまとめました。治療の合併症などは刑事事件として扱わず、民事の対象とすべきだとしたのです。これは、医療現場で日々、患者さんを治そうと取り組んでいる医師たちの多くが、治療に全力を尽くすために必要な環境だと考えたものでした。

さらに臨床医が当初から強く求めたのは、患者さん側からも医師側からも利用できる、すべての医療事故を審査できる専門家による第三者機関を創設することでした。しかし、財源が必要となるためか、厚生労働省は問題の解決に当たりませんでした。

その後、厚労省はようやく重い腰を上げ、昨年秋から、異状死を調べる第三者機関のモデル事業を全国6都道府県で始めました。しかし週末は休みだったり、5年間の限定付きであったり、これが恒常的な第三者機関の基盤になるとはいえません。政府は今こそ医療事故をきちんと調べる第三者機関の創設に真剣に取り組むべきです。そうしなければ、リスクを伴う治療を行おうという気概のある医師が日本からいなくなってしまう事態になりかねません。

               聞き手・編集者 大岩ゆり


朝日新聞:医師逮捕事件 富岡署を表彰

2006年04月17日 | 報道記事

****** 私見

福島県警は、これだけ世間から批判されながらも、今回の加藤医師・不当逮捕事件について全く反省してないどころか、『富岡署が県立大野病院の医師を逮捕した事件で、県警本部長賞を受賞した』!という報道記事です。

福島県では、理由は何であっても、とにかく医師を逮捕しさえすれば、大手柄として表彰されるということなんだろうか? 

これは、福島県警が医師の逮捕を奨励しているということの世間への意思表示なんだろうか?

福島県警は、日本医師会や日本産科婦人科学会をはじめとした、非常に多くの日本全国の医療関係の団体からの抗議声明を、一体何だと思っているのだろうか?

**** 朝日新聞、福島、2006年4月16日

医師逮捕事件  富岡署を表彰 
警察署長会議に80人


 県警は14日、今春の人事異動後初の警察署長会議を開いた。県内全28署の署長や県警本部の幹部ら80人が参加。重大事件を解決した警察署などへの表彰があり、 富岡署が県立大野病院の医師を逮捕した事件で、県警本部長賞を受賞した。

 綿貫茂本部長は冒頭の訓示で、当面の重点課題として①職員の意識改革を基礎とした合理的・ 効率的な業務の運営②重点を指向した犯罪抑制対策の推進③犯罪の徹底検挙による、 県民の安全・安心の確保 ④効果的な交通事故防止対策の推進⑤国際テロ対策の強化―などを挙げた。

「asahi-shinbun.jpg」をダウンロード


朝日新聞:医療事故 揺れる検証法

2006年04月12日 | 報道記事

************ 感想

病院の医療システム上の問題(例えば、1人医長体制であるとか、輸血の対応能力とか)で事故が発生したような場合には、根本的にはそのシステムそのものを改善しない限り、事故はいつまでたっても何度でも繰り返されるだろう。たまたまその事故現場にいあわせた(何ら過失のない)医療従事者を厳罰に処したとしても、事故の防止には全くつながらない。それよりも、事故の原因を徹底的に調査して、同じような事故が今後は発生しないような医療システムに変えてゆかなければならない。日本でも、医療事故を公正に調査・検証するシステム(第3者機関)を早急に導入する必要があると思う。

(朝日新聞、2006年4月12日朝刊)

福島県立病院 医師逮捕の波紋

 帝王切開で母親が死亡した事故に関して、福島県立病院の産婦人科医師が逮捕・起訴された事件がいま、医療界の大きな関心を呼んでいる。へき地医療やリスクの高い高い診療分野の担い手が減ることへの心配も含め、さまざまな意見が飛び交う。県の調査委員会の報告書公表が捜査のきっかけになったことで、医療事故調査への悪影響を心配する声もある。事故の原因を解明し、再発防止の教訓を得るための検証システムはどうあるべきか。具体的な検討に入る時期にきている。
(編集員・出河雅彦、林敦彦)

院内調査の自発性に制約も

 福島県立大野病院の医療事故では、院外の医師3人からなる調査委がまとめたこう報告書の公表が捜査の端緒となった。
 「院内調査でも関係者には黙秘権があることを伝えなければならなくなる。それでは調査は成り立たない」
 先月18日、都内で開かれた医療安全に関するシンポジウムで虎の門病院の山口徹院長は警察捜査の影響を指摘した。
 事故調査はすべての医療機関に義務づけられているわけではないが、再発防止の取り組みとして広がりつつある。
 公表についても国立大学病院長会議が昨年3月、「医療過誤で患者が死亡または重い障害が残った事例は調査結果の概要と改善策を公表」という指針をまとめた。
 「調査結果は社会で共有する」という機運が高まりつつあるだけに、福島のケースに戸惑う医療関係者は少なくない。外部委員を含め調査協力が得られにくくなる可能性があり、結果の公表を控える医療機関が増えるかもしれない。
 産婦人科医が業務上過失致死だけでなく、医師法違反に問われたことも、院内調査に影響を及ぼしそうだ。
 医師法21条は、異状死の場合24時間以内に警察へ届け出ることを医師に義務づけている。旧厚生省が94年に出した解釈本には「死体には殺人等の犯罪の痕跡をとどめている場合があるので、司法警察上の便宜のために規定した」とある。
 ところが、何が「異状」に当たるのかの基準はなく、とりわけ医療行為に関連した死亡例をどこまで届けるかについて医療界で合意がない。
 日本法医学会は94年、「診療中または比較的直後の予期しない死亡」も異状死に含める、とする指針を公表。日本外科学会や日本内科学会は「明らかな過誤などに限るべきだ」との意見だ。
 医療事故は調査、分析して問題点がわかるものも少なくない。福島のケースでも調査に約2カ月を要している。
 発生直後の届出を怠った責任を問われるとなれば、警察への届け出は増えるかもしれない。だが、警察に証拠物を押収され、関係者の事情聴取が始まれば、医療機関が自ら調べようとしても制約を受けざるをえない。
 警察に届けられた医療事故のすべてが、刑事裁判に持ち込まれるわけではない。その場合、捜査資料は医療現場に還元されず、埋もれてしまう。

捜査との境界あいまい

 「医療関連死」は中立的な専門機関で死因を解明すべきだ」という医学関係学会の声明がきっかけとなり、昨年9月から東京、大阪など6地域で学会主体のモデル事業が始まった。厚生労働省が補助金を出し、5年計画で新たな検証システムをつくるための課題を探る。
 関係診療科の臨床医の助言を得ながら法医と病理医が協力して解剖、死因を調べるのが特徴だ。
 このやり方を全国に広げるには、不足が著しい解剖医や専任スタッフの養成、財源の確保など解決すべき問題が多い。
 死亡以外の医療事故をどうするか▽医療事故に限らず異状死の死因を調べる監察医制度をどう全国に普及させるか---も検討する必要がある。
 モデル事業ではこれまで14例が解剖された。12例は異状死として届けられ、警察の検死で「司法解剖は不要」と判断されたものだ。調査機関ができれば、警察がすべての医療事故を調査する必要がなくなることを示している。
 ただ、①明らかな医療過誤は引き続き捜査対象になるのか②調査結果に基づいて特定個人の過失責任を追及する捜査が始まることはないのか---など、事故調査と警察捜査の関係の将来像はまだはっきりしていない。
 飛行機事故では、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会の調査結果が関係者の刑事裁判の証拠とされていることに対し、「再発防止に役立たない」との批判がある。
 日本学術会議は昨年6月、事故調査に関する提言を公表した。
 「事故原因の究明には事故の背景、組織の関与を含めた事実を明らかにする必要があり、事故調査によって特定個人の責任が同定されることが期待されるものではないことが認識されるべきだ」
 提言はこうした考え方に基づき、鉄道・航空機事故、医療事故、都市災害、労働災害など、複合要因によって発生したとみられる大規模事故や特異な事故の原因を調べる独立調査機関の創設を求めた。「当事者の証言を得やすくするため、被害結果の重大性のみで短絡的に過失責任が問われることがないような配慮」が必要としている。
 「だれが悪いか」から「なぜ起きたか」に力点を置く検証の仕組みを早急に作り上げないと、外科や産科などリスクの高い診療分野の後継者が不足し、医療供給体制のバランスがさらに崩れてしまう恐れがある。

(朝日新聞、2006年4月12日朝刊)


産科医逮捕に高まる“抗議”

2006年04月08日 | 報道記事

********** 感想

既存の学会組織の活動では、全体が集まって協議する機会は年に1回開催される総会だけしかないし、一つの重大な事件に対して、すばやく組織全体の意思を統一して、時期を逸しないでインパクトのあるすばやい抗議行動を起こすことは非常に困難であったと思います。

今後は、インターネットを有効に活用することによって、多忙な医師達でも、診療科や地域の枠を越えて、すばやい全国的な統一行動を起こすことも十分に可能な時代となりつつあります。田舎に引きこもっていても、全国の多くの人たちと情報を共有して、すばやい一斉抗議行動に参加するようなことも十分に可能な時代となりつつあります。

時代の大きな変化を実感します。

以下、日経メディカル(2006年4月)からの引用

産科医逮捕に高まる“抗議”
「ネット医師会」は医療政策を動かすか

埴岡 健一

日経BP社、日経メディカル(2006年4月10日発行):39頁
nikkei.pdf」をダウンロード


週間医学界新聞記事:「周産期医療の崩壊をくい止める会」が緊急会見

2006年04月04日 | 報道記事

週間医学界新聞、第2677号 2006年4月3日
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2006dir/n2677dir/n2677_03.htm

福島県の産婦人科医逮捕に抗議

「周産期医療の崩壊をくい止める会」が緊急会見

 帝王切開中の大量出血により患者が死亡した件(2004年12月17日死亡)において,福島県立大野病院に勤務していた産婦人科医が,「業務上過失致死罪」および「異状死の届出義務違反」(医師法違反)で2月18日に逮捕された(3月10日には,福島地裁に起訴)。

 この事件を巡っては当初から,疑問や今後の診療への不安の声が全国の医療者・関係団体からあがっており,日本産科婦人科学会と日本産科婦人科医会も3月10日に抗議声明を出している。

 3月17日には,「周産期医療の崩壊をくい止める会」(代表=福島県立医大産婦人科教授・佐藤章氏,日本医学会会長・高久史麿氏,日本学術会議会長・黒川清氏)が,6520人もの賛同署名とともに,陳情書を厚労大臣・川崎二郎氏に提出。同会による緊急記者会見が同日,衆議院議員会館にて行われた。

 会見では,代表の佐藤氏が陳情書の概要を説明した。今回は,前置胎盤に癒着胎盤が合併するという稀有なケース(癒着胎盤は全分娩の0.01-0.04%)であることや,産婦人科医が1人しかいない僻地病院で起きたことを指摘。一定の確率で起こり得る不可避な出来事に対し,専門医として全力を施した医師ですら刑事責任を問われる事態に対し,「ハイリスク患者の“たらい回し”が全国各地で一挙に広がることにならざるをえない」とした。

 さらに,事故を個人の責任ではなくシステムの問題として捉えることが重要であるとして,(1)分娩の安全性確保のための総合的対策,(2)周産期医療に携わる産科医・小児科医の過酷な勤務条件の改善,(3)医療事故審査のための新たな機関の設立,の3点を提案したことを明らかにした。

 なお,1週間で集まった6520人の署名のうち,医師は5560人。その中で産婦人科医は1250人と,全体の2割程度。産婦人科に限らず,多くの診療科の医師・看護師らがリスクを伴う診療を日夜続けており,“刑事事件”という異例の事態に,全国の医療者が危機感を募らせた結果と思われる。

 「周産期医療の崩壊をくい止める会」では,当該医師の無罪実現に向け,今後も署名・陳情などの活動を続ける予定だ。陳情書の内容や署名方法は,同会が作成した下記HPを参照されたい。

http://perinate.umin.jp


町長ら、大野病院に産婦人科医の確保を要望

2006年03月28日 | 報道記事

****** 個人的な感想

地元の人達は、今回の事件のことを一体全体どう考えているのでしょうか?

大学から派遣されて今まで献身的に地域医療に貢献してきた1人の産婦人科医が不当に逮捕されても、それに対してはただ傍観するのみで何の行動も起こさず、代わりの産婦人科医を派遣するように要望するだけとは、一体全体どういうことなんでしょうか?

また、小児科医も麻酔科医もいない病院の1人の産婦人科医を2人に増やしただけで、はたしてまともな集約化と言えるのでしょうか?その程度の消極的な集約化策では、実質的に現状と何ら変わりがないと思われます。新たなる犠牲者を出さないためにも、むしろ、その病院の1人の産婦人科医もいったん大学に引き上げて、小児科医や麻酔科医のいるセンター的な病院に産婦人科医を集約化すべきだと考えます。

******* 毎日新聞、2006年3月28日

大野病院医療ミス:産婦人科休診 医師確保で県に町村会が要望書 /福島

 県立大野病院の産婦人科医が逮捕・起訴され、同病院の産婦人科が今月11日から休診している問題で、周辺町村でつくる双葉地方町村会(会長・横山蔵人浪江町長)の町村長と助役らが27日、県と県立医大に対し、同病院に産婦人科、小児科の常勤医師を確保するよう申し入れた。
 要請書では「医師不足が地域住民に大きな不安と危機感を抱かせている」などとしている。要請に対し、川手晃副知事は「全県内で医師は足りないが、できるだけ対応したい」と述べるにとどまった。
 同病院では、産婦人科医が逮捕された後、県立医大産科婦人科学講座から医師派遣を受けたが、打ち切られた。また、同地方の病院で唯一小児科のあった双葉厚生病院の小児科医が今月末で退職する。【坂本昌信】

******** 朝日新聞

「産婦人科医、確保を」
2006年03月28日

 県立大野病院の産婦人科が休診になっている問題で、大熊町の志賀秀朗町長ら双葉郡の町長・村長など9人が27日、県庁を訪れ、佐藤栄佐久知事に対し、同病院に産婦人科の常勤医を確保するよう要望した。また、同病院に小児科を開設して小児科医を派遣するよう求めた。

 同病院の産婦人科は、唯一人の常勤医が、手術ミスで女性を死亡させたとして逮捕された後、県立医大が産婦人科医の派遣を取りやめたため、休診になっている。双葉地方町村会の渡部宏・常務理事によると、現在、同郡で病院に勤める産婦人科医は、民間の双葉厚生病院の1人のみ。また、双葉厚生病院の小児科医が今月末に退職し、県立大野病院には小児科がないため、同郡内の病院勤務の小児科医はいなくなるという。

 志賀町長らは、県庁の前に県立医大を訪れ、高地英夫・学長あてに、県立大野病院に小児科医と産婦人科医を派遣し、双葉厚生病院に小児科医を派遣するよう、要望を行った。

****** 福島民報(3月28日)

産科医1人、隣町派遣/福医大地元要望受け調整/大野病院医師逮捕

 県立大野病院(大熊町)の産婦人科医師の逮捕、起訴を受け、県立福島医大は大野病院に近い双葉厚生病院(双葉町)に産婦人科医を1人派遣する方向で調整を進めている。27日、双葉地方町村会(会長・横山蔵人浪江町長)の要望を受けた県立福島医大の菊地臣一医学部長が明らかにした。
 双葉厚生病院には現在、産婦人科医1人が勤務している。もう1人派遣して2人体制とすることで、双葉地方の産婦人科医療の水準を維持したい考え。現在、派遣時期を含めて詰めの調整をしている。
 県立大野病院の産婦人科は、医師の逮捕、起訴を受け、今月11日から休診となっている。
 27日は横山浪江町長らが福島市の県立福島医大を訪ね、県立大野病院への産婦人科医と双葉厚生病院への小児科医の常勤医師派遣を求めた。
 菊地学部長は、産婦人科と小児科医療について「医療レベルは高度化し、細分化している。(地域ごとに)集約化が必要だ」との認識を示した。
 横山町長らはまた、県庁で川手晃副知事に要望した。川手副知事は「県全体で医師が不足している。できる限り対応したい」と答えた。


報道記事:全国周産期医療連絡協議会の声明

2006年03月27日 | 報道記事

*** 共同通信、社会ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000179-kyodo-soci

逮捕、起訴は疑問と声明 周産期医療の医師団体

 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、医師が逮捕、起訴された医療事故で、全国周産期医療連絡協議会は27日、「不幸な出来事が医師個人の責任として問われたこと、逮捕、起訴にまで至ったことは疑問」などとする声明を厚生労働省や捜査当局に提出したと発表した。
 同協議会は、妊娠後期から新生児早期までの周産期の診療に当たる医師ら約50人で組織。
 声明では、逮捕、起訴は「産科を志す医学生の減少や全国的な産科医不足に一層拍車を掛ける。地域の周産期医療が崩壊し、安全で安心なお産ができる地域が激減してしまう」とした。
 さらに「最善を尽くし診療に当たっても、一定の頻度で不幸な出来事が起こることは避けられない」と指摘し、再発防止には周産期医療システムの改善などの施策が必要と要望した。

(共同通信) - 3月27日17時58分更新

******** 全国周産期医療連絡協議会
http://mf-med.umin.jp/

高次周産期産科医療を担う医師からの声明

はじめに、亡くなられた患者様とそのご遺族に対して心より哀悼の意を表します。

お産や手術に際して、担当した患者様が亡くなられる事は、ご家族と同様に、私たち周産期医療に携わるものにとっても大変残念で悲しい事であり、現代医療の限界を痛感させられるものです。

さて、福島県の県立病院において帝王切開中の大量出血により患者様が亡くなられた件で、帝王切開術を担当した産科医師が逮捕・起訴されました。このこと(逮捕・起訴)につきまして、全国各地域において周産期医療をささえる責務のある高次周産期医療施設の集まりである本会としても、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会の共同声明ならびに、新生児医療連絡協議会の声明を強く支持せざるを得ません。


世界に誇れる日本の周産期医療において最善を尽くし診療に当たったとしても、ある一定の頻度で不幸な出来事が起こることを避けることはできません。このことは、一般の産科医療施設のみならず、3次あるいは2次施設としての総合・地域周産期母子医療センターにおいても同様です。今回の不幸な出来事が一人の医師個人の責任として問われたことには疑問を抱かざるを得ません。

さらに今回のことが、近年問題となっている産科を志す医学生の減少、全国的な産科医不足や産科医療施設の閉鎖に一層拍車をかけ、地域の周産期医療が崩壊し、妊婦さんたちが安全に、安心してお産ができる地域が激減してしまうのではないかとたいへん危惧しております。

今回の件に対して、適切な医学的見解に基づいた判断により、周産期医療システムの改善も含めた再発防止に向けた最善の施策を講じるために、国民の皆さん、妊婦さんとそのご家族、医療機関、行政機関に最大限のご協力をいただくよう、強く要望致します。

2006316

全国周産期医療(MFICU)連絡協議会
代表 末原則幸
会 員 一 同

******** 山口県支部声明
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/MEMBERS/sibu/35yamaguchi/news/news060324.pdf

         抗議声明

福島県の県立病院で平成16年12月に腹式帝王切開術を受けた女性が死亡したことに関し、手術を担当した医師が業務上過失致死罪で逮捕、勾留、起訴された件に関して、抗議声明します。

はじめに、本件で亡くなられた患者様、および遺族の方々に心からお悔やみを申し上げます。

 この医療事故に関しては、福島県により事故調査委員会が開催され、すでに報告書が作成され、関係者の処分が行われています。また、当該医師はその後も同病院にて勤務を続けていることから、証拠隠滅や逃亡の恐れはなく、逮捕、勾留の必要性は全く認められなかったと考えられます。

 癒着胎盤は術前の診断が極めて難しく、また治療の難度が高い疾患です。本件においては、医療事故調査委員会の報告によると、患者から子宮温存の希望があったため、子宮摘出の判断に遅れが生じたとされていますが、当該医師は手をこまねいていたわけでなく、胎盤剥離部位の縫合、ガーゼによる充填圧迫、子宮動脈血流遮断、そして最終的に子宮摘出という処置を試みています。

  今回のように診療上ある一定の確立で起こり得る不可避な事例に対し、その状況下において、できる限りの処置を行なったにもかかわらず、刑事責任を問われ逮捕、起訴されるようなことが許されれば、今後は、産婦人科医療だけにとどまらず、すべての医療が萎縮し、医療レベルの低下を招き、ひいては国民の不利益になるものと考えます。

 ここに、医療に携わっている我々の社会的使命によって、強く抗議します。

平成18年3月24日
日本産婦人科医会山口県支部長    伊東武久
日本産科婦人科学会山口地方部会会長 杉野法広

******** 栃木県支部声明
http://www.tochigi-og.org/visitors/fukushima01.html

福島県産婦人科医不正逮捕事件について

                         声明文

福島県立大野病院の産婦人科医師の逮捕事件に抗議

 先ずは、今回ご逝去された患者様とご家族並びに親族の皆様に対して深甚なる哀悼の意を捧げたいと思います。
 去る2004年12月17日に福島県立大野病院産婦人科で帝王切開手術を受けた患者が、不幸にも予知することが極めて困難な癒着胎盤による出血多量で死亡し、担当医師が業務上過失致死と医師法21条(異状死の届出義務)違反で2006年2月18日に逮捕され、起訴されました。1年以上経過した後に「証拠隠滅のおそれ」等を理由としての拘留は、多くの医療関係者が驚愕するとともに、なぜ今逮捕なのかと疑問に感じております。
 この事件は、国が医師法の21条の「異状死」の定義、判断を明確に示さず、解釈を現場の医師に委ねたことに、大きな要因があります。医師が扱わなければならない疾患の中には、最善の治癒と考えて施した手術でも、時に予見できない合併症などがあります。
 今、全国的に医師不足が社会問題になっており、とりわけ産婦人科や小児救急の担い手不足が深刻でありますが、産婦人科医療の特殊性に何ら配慮することなく、結果だけで医師個人に責任転嫁した福島地検および福島県警の過剰行使に強く憤りを感じる次第です。
 我々は、今回の不当逮捕に対し強く抗議するとともに速やかに医師法21条の改正もしくは明確な解釈を示していただき、今後、二度とこのような事件が起こることのないよう医療の改善に向けて全面的な支援を表明いたします。

平成18年3月23日
日本産婦人科学会栃木地方支部会長 鈴木光明
日本産婦人科医会栃木県支部長       野口忠男


河北新報: 医療界反発 異論も噴出

2006年03月18日 | 報道記事

****** Yahoo!ニュース-河北新報、東北ニュース

医療界反発 異論も噴出 福島県立大野病院の医師逮捕、起訴

 福島県大熊町の県立大野病院の産婦人科医加藤克彦被告(38)が、帝王切開手術で同県楢葉町の女性=当時(29)=を死亡させたとして、業務上過失致死と医師法違反の罪で逮捕、起訴された事件が波紋を広げている。日本産科婦人科学会などが「難度の高い手術で刑事責任を問われたらメスは持てない」などと反発、支援の募金や署名も始まった。一方で専門家や市民から、医療界の主張を疑問視する声も上がっている。

 「女性は重度の癒着胎盤という数千例に一例の難しい症例。絶対助けられたと言えるのは一握りの医師だけだろう」

 日本産科婦人科学会常務理事の岡井崇・昭和大教授は、同学会などが16日、東京都内で開いた会見でこう強調した。

 各地の関係団体も「逮捕の理由は不透明」(宮城県保険医協会)などと声明を発表している。

 加藤被告は胎盤を無理にはがし失血死させた業務上過失致死罪と、異状死を24時間以内に警察に届けなかった医師法違反の罪に問われた。

 福島地検は「血管が集中する胎盤をはがせば失血死することは予見できた」と立証に自信を示す。逮捕については「遺体を検分できず、関係者の口裏合わせを防ぐ必要があった」と説明した。

 異例の展開を専門家も注視する。弁護士で医療過誤訴訟に詳しい南山大の加藤良夫教授(医事法)は「医療界は長年、『くさいものにふた』と医療事故を隠し、被害者救済、再発防止に消極的だった。そこで最近、警察が動きだしたという歴史的経過がある。警察の過度の介入は避けるためにも、医療界は自浄作用を発揮しないといけない」と指摘。

 届け出義務がある「異状死」の解釈論争については「医療の安全を高めるためにも、遺族らも納得できる事故調査・被害救済の第三者機関をつくることが大切。患者の視点を抜きに、異状死の線引きを議論してもあまり生産性はない」と話す。

 加藤被告は同病院産婦人科に1人で勤務、年間約200件の出産をほぼ1人で担当していた。学会は「過重な負担に耐えてきた医師個人の責任を追及するのはそぐわない部分がある」と主張する。

 一方、地元の福島県双葉郡では、学会などの抗議に「身勝手だ」と憤る住民もいる。

 ある保育所の女性保育士(51)は「人の命を預かる仕事だから万全の準備をするのは当然」と怒りをあらわにする。別の保育士も「実情を知る医療界が、1人体制の厳しさや危険性を今になって言い出すのはおかしい」と疑問を投げ掛けた。

[帝王切開死亡事件] 2004年12月17日、大野病院で加藤被告が帝王切開した女性が、大量出血により失血死した。福島県警は県事故調査委員会が05年3月、(1)癒着胎盤の無理なはく離(2)医師の不足(3)輸血の遅れ―が原因とする調査結果を公表した後、捜査に着手。今年2月18日に同被告を逮捕、福島地検が3月10日起訴した。

(河北新報) - 3月18日7時4分更新

「周産期医療の崩壊をくい止める会」が厚生労働大臣に陳情書を提出

2006年03月18日 | 報道記事

*************** 私見:

『この患者さんを絶対に助けたいと思って、臨床現場で医師達が正当な救命の努力をしても、その結果として患者さんの命を助けられなければ、担当した医師達が次々に逮捕され有罪になってゆく!』というような社会になってしまったら、今後、医師はこの国では救命活動が一切できなくなってしまいます。

今回のような悲劇が今後も繰り返されないように、早急に法律を整備して、国全体の(周産期)医療システムを改革していかなければならないと思います。

****** Yahoo!ニュース、共同通信

「医師不足が背景」と訴え 福島の医療事故で厚労相に

 福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、医師が逮捕、起訴された医療事故で、福島県立医大産婦人科の佐藤章教授らが17日、「へき地医療が抱える医師不足などが背景だ」と再発防止策を取るよう訴える陳情書を川崎二郎厚生労働相に提出した。賛同する医師ら6520人の名簿も添えられた。
 陳情書は、この事故が産婦人科医が一人しかいない地域の病院で起きたことを指摘。一定の確率で起こり得る不可避な出来事に対し、専門医として全力の治療を施した医師ですら刑事責任を問われるのなら「ハイリスク患者のたらい回しが全国に広がることになる」とした。

(共同通信) - 3月17日20時31分更新

****** Yahoo!ニュース-毎日新聞

<医療過誤>福島県立医大医師グループが厚労相に陳情書

帝王切開手術中に患者を死なせたとして福島県立大野病院の産婦人科医が業務上過失致死と医師法違反の罪で逮捕・起訴された事件を受け、福島県立医大の医師らが17日、医療体制整備などを求める陳情書を、6520人の署名を添えて川崎二郎厚生労働相に提出した。「システムの問題として対策を考えるべき」と訴えている。

(毎日新聞) - 3月18日0時46分更新

****************

          陳情書

                        平成18年3月17日

厚生労働大臣
川崎 二郎先生

 6520人の賛同人と共に、この陳情書を提出いたします。

 周産期医療の崩壊をくい止める会

 代表
  佐藤 章
  福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座 教授
 
  高久 史麿
  日本医学会 会長

  黒川 清
  日本学術会議 会長

陳情書
「chinjousho.pdf」をダウンロード

資料
「shiryou.pdf」をダウンロード

福島産科医師不当逮捕に対し
陳情書を提出するホームページ


読売新聞記事: 医療ニュース

2006年03月17日 | 報道記事

YOMIURI ONLINE 医療ニュース

福島の産科医起訴、医療現場反発

手術の死「医師個人の責任問えるのか」

 福島県大熊町の県立大野病院の産婦人科医が、帝王切開手術で妊婦を失血死させたとして逮捕、起訴された事件で、日本産科婦人科学会などが16日、会見し、「故意や悪意のない医療行為に対し、個人の刑事責任を問うのは疑問」と抗議、医療現場に波紋が広がっている。

 この事件は、女性(当時29歳)の帝王切開を執刀した医師(38)が、子宮に癒着した胎盤を無理にはがして大量出血させ、死亡させたとして、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の疑いで逮捕され、今月10日、福島地裁に起訴された。医師は14日に保釈された。

 福島地検の片岡康夫・次席検事は「血管が密集する胎盤を無理にはがせば、大量出血することは予見できたはず。はがせないものを無理にはがした医師の判断ミス」と起訴理由を説明している。

 これに対し、同学会は会見で、〈1〉胎盤の癒着は数千例に1例と極めて少数で、事前の診断は難しい〈2〉胎盤をはがすかどうかは個々のケースや現場の状況で判断すべきだ〈3〉適切な処置をしても救命できないことがある――などと反論した。

遺族「予見できたはず」

 一方、亡くなった女性の父親(55)は「事故は予見できたはずだ。危険性が高い状態で、大きな病院に転送すべきだったのに、なぜ無理に(手術を)行ったのか」と不信を隠さない。

 学会の反発の背景には、「地方の産科医不足が加速する」との懸念がある。

 起訴された医師は、03年に福島県立医大から派遣され、大野病院で唯一の産婦人科医として年間200件余のお産を手がけていた。

 同様の「1人医長」の病院は少なくない。産科婦人科学会の昨年の調査では、全国の大学病院が医師を派遣する関連病院のうち、17%は常勤の産科医が1人だけだった。東北や九州、東海・北陸では20%を超え、地方ほど診療体制が貧弱だ。

 常勤医1人では医師が24時間、拘束されて疲弊するうえ、患者の急変時などに十分な処置ができない恐れもある。就労環境の厳しさに加え、出産を巡る訴訟も多いことから産科医は年々減り、大学が医師派遣を打ち切る例も相次いでいる。

 国も、1人体制などの病院から、産科医を地域の中核病院に集める方針を打ち出しているが、多くの地域では、医師を引き揚げられる地元自治体の反対などで、医師の集約はスムーズに進んでいない。

 医療事故が起きた際の原因究明システムの課題も浮上した。米国では、州ごとに医療事故を監視する公的機関があり、専門家が調査し、医師免許取り消しなどの処分を行う。一方、日本では「医療事故の真相解明は“かばいあい体質”の医療界には期待できず、司法に頼るしかない」という患者側の声も根強く、米国のような医療事故調査の第三者機関が求められそうだ。

 福島県立大野病院の事故を巡る経過

 2004年12月 帝王切開を受けた女性が死亡

 2005年 3月 県の事故調査委員会が事故報告書を公表。これを報道で知った福島県警が捜査に着手。

 2006年 2月 県警捜査1課と富岡署が18日、執刀した医師を逮捕。

       3月 福島地検が10日、医師を福島地裁に起訴。

(2006年3月17日  読売新聞)