今週日曜日に周産期新生児医学会に日帰りで参加して来ました。学会場の書籍売り場に新しく発刊されたばかりの「症例から学ぶ周産期診療ワークブック」という本が山積みされてました。学会に参加した多くの人たちがどんどん購入してました。私も迷わず早速一冊購入しました。わかりやすくて、とてもいい本だと思います。大学医局の後輩や当科所属の産婦人科専門医で周産期専門医試験の受験を予定している先生たちにも購入することを強く勧めました。私もこの本で若い医師・助産師や学生達とともに周産期医学を楽しく学び、定年退職までの数年間を命をかけて頑張りぬきたいと思います。
****** メジカルビュー社のホームページより
編集:日本周産期・新生児医学会 教育・研修委員会
定価:9,975円(5%税込)B5判 472ページ
2012年7月12日刊行
****** 内容紹介:
周産期の様々な疾患について症例提示を行い,それに対する設問,および解答・解説によって,臨床的テーマについて実際的な知識・判断力を養うことができる,日本周産期・新生児医学会 教育教育・研修委員会編集によるワークブックである。設問に答えていくことで専門医試験等に役立つトレーニングもできる。多数のスペシャリストによる編集・執筆で,実践的でありながらもサイエンスにつながる内容となっており,アップデートな話題や,患者や家族への説明にも役立つ記述も盛り込み,専門医も満足できるハイレベルな内容となっている。
****** 序文:
このたび日本周産期・新生児医学会より「症例から学ぶ-周産期診療ワークブック」を刊行する運びとなりました。本書は,周産期専門医を目指す医師や,すでに周産期専門医を取得し指導的立場にある方を対象に企画されました。
本書が,従来のテキストブックと大きく異なる点が3つあります。1つは,タイトルにも表されているように,症例を中心に質問に回答しながら,つまり自ら考えながら読み進め学習することができる点です。質問に対する解答が,正答と誤答だけではなく,controversialな選択肢が含まれているところもユニークな点です。日常診療では,診断や治療のアプローチの仕方は必ずしも1つとは限りません,また,さまざまな考え方や相反する論文をもとに対応しなければならない場面に遭遇することも多々経験するところです。周産期専門医を目指す医師や指導的立場にある専門医ならば,エビデンスが確立した知識のみならず,どのような点が議論になっているのかも知っておくことは当然のことであると思います。
2つ目は,日本周産期・新生児医学会が刊行するにふさわしいテキストブックとするために,各項目ついて査読が行われ,執筆者による内容の偏向を最小限にとどめるように配慮した点です。しかしながら,執筆者と査読者との見解の相違があり,意見調整が必要な場合もありましたが,これも両者がより質の高いテキストブックとするための強い意志の現れではなかったかと思います。
3つ目は,従来の日本のテキストに比べ各章の文献リストを大幅に増やした点です。これにより最新の文献を検索することが可能となり,またさまざまな考え方があることも学ぶことができるようになりました。
本書は,今後も定期的に内容を見直しながら版を重ねていく予定にしております。ぜひご一読いただき,教育・研修委員会まで忌憚のないご意見をお寄せ頂ければ幸いです。
最後に,執筆者の皆様やレビューをしていただいた諸先生方,本書の企画・編集に携わった教育・研修委員会委員各位に感謝申し上げます。
2012年6月
日本周産期・新生児医学会 教育・研修委員会委員長
板橋家頭夫
日本周産期・新生児医学会 理事長
田村 正徳
****** 目次:
I 母体編
1.妊娠初期の異常
1 異所性妊娠(帝王切開創瘢痕部妊娠を含む)
2 流産(習慣流産を含む)
3 胞状奇胎(奇胎合併妊娠を含む)
4 妊娠悪阻
5 頸管無力症(子宮頸管縫縮術を含む)
2.妊娠中期後期の異常
1 妊娠高血圧症候群
2 早産(前期破水,無症候性頸管長短縮例の管理を含む)
3 糖代謝異常妊娠(妊娠糖尿病,糖尿病)
4 血液型不適合妊娠
5 静脈血管塞栓症
6 異常出血(前置胎盤,常位胎盤早期?離)
7 羊水量の異常(羊水過多,羊水過少)
3.合併症妊娠
1 婦人科疾患(子宮筋腫,子宮頸部腫瘍,卵巣腫瘍)
2 呼吸器疾患(気管支喘息)
3 循環器疾患(心疾患,高血圧)
4 内分泌代謝・リウマチ疾患(甲状腺,膠原病)
5 血液疾患(特発性血小板減少性紫斑病,血小板増加症)
6 消化器疾患(炎症性腸疾患)
7 腎泌尿器疾患(慢性腎炎,腎移植後)
8 筋骨格・神経(筋緊張型ジストロフィー,重症筋無力症)
9 脳血管障害(脳動脈瘤,もやもや病)
4.分娩・産褥時の症候
1 陣痛の異常(微弱陣痛,過強陣痛)
2 遷延分娩・分娩停止(児頭骨盤不適合,回旋異常を含む)
3 異常出血
①子宮破裂
②産褥血腫
③弛緩出血
④常位癒着胎盤の対処法
⑤羊水塞栓症
4 DICおよび産科危機的出血
II 胎児編
1.Fetal growth restriction
1 Fetal growth restriction(産科)
2 Fetal growth restriction(新生児科)
2.多胎妊娠
1 多胎妊娠(産科)
2 多胎妊娠(新生児科)
3.胎児機能不全
1 胎児機能不全(胎児心拍モニタリングを含む)
4.母子感染症
ウイルス関連
1 インフルエンザ,風疹,水痘
2 サイトメガロウイルス,ヘルペスウイルス
3 パルボウイルス
4 HIV
5 HTLV-1
6 HBV,HCV
細菌・その他
7 STD(梅毒,クラミジア)
III 新生児編
1.新生児仮死
1 新生児心肺蘇生法
2.胎児水腫
1 胎児水腫(胸水を含む)
3.呼吸
1 呼吸窮迫症候群
2 胎便吸引症候群(空気漏出症候群を含む)
3 慢性肺疾患
4 無呼吸
4.循環
1 未熟児動脈管開存症
2 新生児遷延性肺高血圧症
3 先天性心疾患
4 新生児の不整脈
5 ショック
5.神経
1 頭蓋内出血
2 脳室周囲白質軟化症(PVL)
3 新生児発作
4 低酸素性虚血性脳症
5 薬物離断症候群(薬物離脱症候群)
6.黄疸
1 早発黄疸
2 遷延性黄疸
7.血液
1 未熟児貧血
2 播種性血管内凝固症候群(DIC)
3 輸血(交換輸血を含む)
8.感染症
1 早発型感染症(GBS)
2 敗血症・髄膜炎(大腸菌,リステリア)
3 院内感染症(MRSA)
9.栄養
1 経腸栄養(母乳栄養,強化栄養を含む)
2 静脈栄養(輸液を含む)
10.消化器
1 新生児壊死性腸炎
2 ミルクアレルギー
3 胎便関連性腸閉塞症
11.腎
1 急性腎不全
12.代謝・内分泌
1 先天的な内分泌疾患
2 低血糖症
3 晩期循環不全
4 先天代謝異常症
13.先天異常症
1 染色体異常症と先天異常症候群
14.新生児外科系疾患
1 脳神経疾患(二分脊椎,水頭症)
2 胸部疾患(主として横隔膜ヘルニア,CCAM)
3 腹部疾患(臍帯ヘルニア,腹壁破裂)
4 腹部疾患
5 泌尿器疾患(腎盂拡張)
6 骨格異常
15.未熟児網膜症
1 未熟児網膜症
16.極低出生体重児の予後
1 極低出生体重児のフォローアップと予後
17.周産期の倫理
1 出生前診断・胎児治療
2 出生後の対応