長年、経過観察のために数ヵ月ごとに私の婦人科外来を受診している患者さん方から、「前に受診した時と比べて体型がずいぶん変わってしまったけど、先生お体大丈夫なんですか?」などと心配していただくことがあり、それに対して、「大丈夫です。病気ではないです。以前は体重が増え過ぎていたので、ちょっとダイエットをしただけなんですよ。」と返答すると、そのままダイエットについての相談を受けることになることも最近はよくあります。ダイエットを希望する肥満患者さん達に対して、私は自分の体験を踏まえて、以下のように助言するようにしてます。
・ 小数点以下2桁(kg)まで計測できるデジタル体重計を入手して、毎日、一定条件で体重を計測しグラフをつけましょう。
・ 夕食はなるべく早めに済ませて、翌日の朝食まで絶食とし、朝食前に体重計測するのを習慣化しましょう。
・ 一般的に、肥満に対する食事療法としては「低カロリー・低脂肪食」が推奨されています。それでうまくいく人はいいのですが、「低カロリー・低脂肪食」は長期間きちんと継続していくのが難しく、最終的な成功率は比較的低いと言われてます。それに対し、「低炭水化物(糖質制限)食」は主食(御飯、パン、うどん、そばなど)を減らす方法で、カロリーや脂肪をそれほど気にしなくても済むので、比較的継続しやすく成功率も高いと思われます。一般向けに「低炭水化物(糖質制限)食」を推奨する本も多く出版されていますので、それらを読んで一度検討してみてください。【例:糖質制限食のススメ(山田悟・著)、主食をやめると健康になる(江部康二・著)、糖質ゼロの健康法(釜池 豊秋・著) など】
・ ダイエットの方法はいろいろありますが、どんなダイエット方法であっても、いったんは減量に成功した後に短期間で体重が元に戻ってしまう人が非常に多いです(リバウンド現象)。実際問題として減量そのものよりもその後のリバウンド防止策の方がよほど困難な問題であるとも言われてます。ダイエット成功後も決して油断せず、体重を毎日計測しリバウンドの兆しが現れたらそのつど早め早めに対処する必要があります。
ダイエット成功後に油断してはいけない期間は約2年間と言われています。特にダイエット成功後の半年間は最も警戒すべき時期です。食事量には常に気を配り、体重が増加し始めたら、すかさず運動量を増やすなどして早め早めに対処しましょう。減量後の体重維持は、減量の程度が大きいほど困難であることが知られています。現状から10%程度の減量でもメタボリックシンドロームなどの生活習慣病は著しく改善されますから、最初から理想体重を目指して挫折を繰り返すよりは、現在の不健康な状態から少しでも脱却できる実行可能な目標体重を設定してそれを確実にクリアしていく方が現実的です。米国健康財団の健康体重に関する勧告では、まずは体重の10%程度の減量で十分としています。そしてこの体重を6カ月以上維持し、体重増加のないことを確認してから次のステップに移るようにとしてます。
参考:ダイエットの敵、リバウンド現象を克服するためにはどうしたらいいのか?
****** 体重管理グラフ