コンセンサス2010に基づいた新生児心肺蘇生法(NCPR)講習会が普及し、新生児の救命率向上に寄与しているのは周知のことです。NCPRと同様に、分娩時の母体急変に対しても、妊産婦に特化したプロトコールを整備して、常日頃からシミュレーションをしておくことは非常に重要と考えられます。最近発刊された本書(産婦人科必修 母体急変時の初期対応、メディカ出版)を購入してさっそく読んでみましたが、妊婦の急変時の初期対応についてプロトコール化し(京都プロトコール)、これをもとにチームでシミュレーション・トレーニングができる、非常にわかりやすく有用なテキストだと思いました。この京都プロトコールのシートを施設の壁面に掲示したい場合に、FDPデータをメディカ出版ホームページからダウンロードすることもできます。BLS(2010)や日本の産科ガイドラインにも準拠してます。本書をもとに母体急変時の対応についての院内マニュアルを整備して、院内での産科救急のシミュレーション・トレーニングを定期的に実施したいと考えています。
今年の春の日本産科婦人科学会総会(札幌市)で実施された京都プロトコール実技講習会を見学し興味を持ちました。京都プロトコールのテキストが最近発刊されたことを知って、早速、アマゾンで2冊購入し、当科所属の産婦人科医や助産師達にも勧めてます。11月23日(土)に東京で開催される京都プロトコール実技講習会に参加を予定してます。翌日の11月24日(日)に飯田市立病院でNCPR講習会を開催し、当院の産婦人科医・小児科医・研修医・助産師・看護師や地元の救急隊員などが多数参加する予定です。産科救急シミュレーションの講習会としては、今年6月にALSOプロバイダーコースを飯田市立病院で開催し、当科スタッフの多くが参加し、とても有意義でした。しかし、1回講習会を開催してそれで終わりということでは、産科チームの全員にその実技が浸透するはずがないので、あまり意味がありません。産科チームの全員に必須の実技を浸透させるために、今後はNCPR講習会だけでなく、産科救急シミュレーションの勉強会も、いろいろと工夫を重ねながら、院内で定期開催できるようにしていく必要があります。
産婦人科必修 母体急変時の初期対応
チームワークと連携強化でいのちをまもる
シミュレーションで分娩前後の母体安全を徹底理解!
編著:京都産婦人科救急診療研究会
2013年11月15日発行
メディカ出版
定価:4200円+税