近年、子宮頸がんの原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスであることが分かってきました。 このウイルスに感染しても多くの場合は、免疫力によってウイルスが体内から排除されますが、何らかの理由によりウイルスが持続感染した場合、長い年月(ウイルス感染から平均で約10 年以上)をかけ、子宮頸がんへと進行する危険性があります。
子宮頚がんの原因がウイルスだとわかり、子宮頚がん予防ワクチンが開発されました。2006年6月に米国で初めて承認されて以降、欧米や豪州、カナダなど世界100カ国以上ですでに使われています。ワクチンによる予防手段があるため、子宮頸がんは予防できる唯一のがんと言われています。間もなく、子宮頸がん予防ワクチンが日本でも使用できるようになる見込みです。
多くの国では、12歳を中心に9~14歳で接種が開始され、学校や医療機関で接種が行われています。ワクチンは3回の接種が必要で、全額自己負担だと3~4万円かかります。欧州や豪州、カナダなど26カ国では全額公費負担または補助が行われていて、接種率が9割に上る国もあります。厚生労働省は接種費用をどうするのかまだ決めてません。
子宮頸がん予防ワクチンを接種するのは、次世代の子宮頸がん発生率を減らすための対策です。すでにがん年齢に達している世代の人の場合は、子宮頸がん検診(細胞診検査)を定期的に受診する必要があります。
****** 産経新聞、2009年9月28日
子宮頸がん抑止に本腰 厚労省、ワクチン承認へ
国内で年間約3500人の女性の死因となっている子宮頸がんを予防するワクチンが、29日に開かれる厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会で承認される見通しとなった。頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因。感染前のワクチン接種によって、頸がんの原因の約7割を占めるHPVの感染予防が期待できる。女性にとっては朗報であると同時に、接種開始年齢や費用など解決すべき課題も多い。【長島雅子】
(以下略)
(産経新聞、2009年9月28日)
また、費用を公費負担にしてもらえるように自治体に働きかけていく予定です。