周産期施設において、産科医、新生児科医とともに麻酔科医の存在が非常に重要です。いつでも30分以内に帝王切開を実施するためには、24時間体制で麻酔科医が院内に常在する必要があります。
****** 読売新聞、2008年7月12日
地域周産期母子医療センター「迅速に帝王切開」3割だけ
麻酔科医不足が原因
緊急帝王切開など高度な医療が必要なお産に当たるため、都道府県が指定する全国の地域周産期母子医療センターのうち、国が設置基準として求めている「30分以内に帝王切開ができる態勢」を昼夜問わずとっているのは、約3割に過ぎないことが厚生労働省研究班(主任研究者=池田智明・国立循環器病センター周産期科部長)の全国調査でわかった。
産科、小児科より麻酔科医不足が原因と答えた施設が多く、麻酔科医確保も重要な課題であることが判明した。
調査は今年3月、地域周産期母子医療センターに指定された209施設に対して実施、103施設(49%)が回答した。有効回答のあった92施設のうち、26施設(28%)は「常に30分以内に帝王切開ができる」と答えたが、44施設(48%)は「日勤帯のみ」、20施設(22%)は「(昼夜とも)ほぼ不可能」と答えた。
「日勤帯のみ」「ほぼ不可能」とした64施設に、理由を複数回答で聞いたところ、「手術室の確保が困難」が44施設、「麻酔科医がいない」が21施設。これに「産科医がいない(13施設)」「看護師不足(12施設)」「小児科医がいない(10施設)」が続いた。厚生労働省は、地域周産期母子医療センターについて、米国の学会の目安などを参考に「30分以内に帝王切開で分娩が可能な医師配置が望ましい」という基準を設けている。
調査に当たった埼玉医大総合周産期母子医療センター産科麻酔科の照井克生・准教授は「産科、小児科だけでなく、麻酔科の人員配置も今後、十分配慮すべきだ」と話している。
(読売新聞、2008年7月12日)