月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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二枚貝

2014-01-16 04:51:43 | 人間の声

目を覚ませば そこは
はるかにひろい
黒い泥沼の上でした

わたしの 長くも苦き日々のすべてが
青い空の下 はてしない向こうまで
横たわっていました

だが わたしの手には
たったひとつの
小さな光の
種が ありました

風とともに
神の声が聞こえ
一切を認め
その種をそこに植えよというのです

一切を認めれば
すなわちそこはすべて
わたしのための
はるかな土壌となるのです

とめどなく
ほおをつたう涙を
ぬぐうこともできないほど
痛い幸福が
わたしを貫きます

わたしはわたしであったのだ

そうして わたしは
ようやく
はてない闇夜と見えていたものが
軽やかな二枚貝のような
わたしのちいさなまぶたであったことを
知ったのです



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ヘラクレス

2014-01-07 04:14:22 | 人間の声

民主主義は
もっとも卑劣な馬鹿に
品性を与える
馬鹿はそれを狸のように着て
あらゆる暴虐を働く

われわれは
恐ろしい馬鹿の愚弄によって
この時代
すべて滅びた
ゆえに人類は
腐乱の堕落に帰した

だが
われわれは黙ってはいない
軍をなして地上を訪れ
光の旗をひるがえし
卑怯にも愚劣な
暗黒の蛇どもを駆逐し
あらゆる馬鹿に復讐する

待っているがよい



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かみさま

2014-01-06 03:37:29 | 人間の声

愛してるよって
言えばいいのに
こんなのは馬鹿だって
言うのが人間で
それで
馬鹿にはまって
みんないっちまって
さみしくて
馬鹿やって
みんな馬鹿だって吠えて
ずっと馬鹿ばっかりやってた
そんなのがおれ

つらくって
いたくって
くるしくって
さみしくって
だれか
かまってくれよ
だれか
きてくれよ
だれか
だれか
おれに
愛してるって
言ってくれよ

馬鹿か おれはって
また
馬鹿んなって

どうすればいいんだ
これから
どうすれば

痛いよう
いたいよう
い た い よ う

かみさまあ




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巨悪の心臓

2013-11-08 04:20:29 | 人間の声

いやなんですよ
いやなんですよ
なんぼでも 馬鹿やったんです
しつこいくらい やったんです
おれがかっこええつもりで
ぜんぶやったんです

いやなんですよ
全部せきにんとるの
なにやったと思てるんですか
めちゃくちゃなんですよ

おれのせいなんです
おれのせいなんです
みんなが馬鹿になったのは
おれのせいなんです
おれが みんなに
あれもこれも ぜんぶやれって
言ったんですよ

おれがおまえに
いいことしてやっから
ぜんぶせきにんとってやっから
ぜんぶやれって
言ったんです
でもおれ
いやなんですよ
みんなの責任とるの
いやなんですよ
あんなことになるの
いやなんですよ
馬鹿ですよ
あんなことするの

だまされるのが
悪いんですよ
馬鹿が 責任とるなんてこと
信じるのが 悪いんですよ
おれのせいじゃない
人間なんて 馬鹿なんだ
みんな 馬鹿なんだ

おれは悪くない
みんなが悪いんだ
やめてくださいよお

おれ なんもできませんからあ



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いまだに

2013-09-26 05:12:09 | 人間の声

いまだに
こだわってるんですよ
ばかみたいに
過去の栄光
てやつ

おれはこれでも
すげえやつだったんですよ
ばかみたいにばかやって
えらそうにやって
つらいやつしたがえて
ばかがうそぶいて
くるしいほどいいやつだって顔して
みんなを馬鹿にして
偉そうにやってたんです

あほが ばかがって
そう言ってれば
おれがいちばんえらかったんです

それがいま
みんな馬鹿になっちまって
だれもいない
みんな逃げていく
男も 女も
じっちゃんも わけえやつも
がきでさえ
おれをゆびさしていうんですよ
あれは馬鹿だって
誰も相手にしねえ

つらいんですよ
どうにかしてくださいよ
ばかになるのはいやなんですよ
こんなんはいやだ
あほになれって言って
ほかの人間全部 馬鹿なやつにして
おれだけ頭がいいんだってことにしていれば
なんとかなってた世の中に
戻ってほしいんですよ

そしたら おれは
何もしないでも
偉くなれたんだ
ばかみたいに すっげえやつに
なれたんだ
もう一度 あんな感じで
いいやつになりてえんです

もう二度と それやったら
あほだって言われて
みんなにさげすまれる

それつらいんですよ




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人間だ

2013-09-23 03:13:43 | 人間の声

阿呆が
気づけ
むなしくも汚い
ヘビの後裔よ

頭をたれ
神の軍門に下れ
その泥と血に染まった手を
切り落としてやろうぞ
その見たこと全て
塗りつぶしてきた
闇のごとき目を
くりぬいてやろうぞ
その
あらゆる人民の
苦悶の断末魔を
踏みにじってきた足を
焼き尽くしてやろうぞ

豚のように
馬鹿なものよ
あさましき
愚者のからっぽの頭よ
おまえたちを
すべて殺してやる

人間を
殺したのは
おまえだ
人間よ

人間を
はるかなる闇に
貶め尽くしたのは
おまえだ
人間よ

復讐するのは
神ではない
すべての神の憂いに貫かれた
憎悪の化身である
われわれ
人間だ



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荒野

2013-09-22 03:16:39 | 人間の声

封じていた記憶が
あふれてくる
海の ように

確かに
ああ 確かに
やった
これと 同じことを
おれたちは

目の前にある
この
殺戮の荒野と
同じことを
おれたちは
やった



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馬鹿だったよ

2013-08-24 05:29:55 | 人間の声

行ってしまったら
つらいのに
ひきとめないんだ
おれは

必要だと
言えばよかったのに
あいしていることに
気付けばよかったのに

すべてが馬鹿だったと
気付くのは
もうすべてが終わった後だ

もう君はいない

なにもかも すべて
君がやってくれた
それが当然だった
なにもかも 君が
やってくれている
それが おれは
いやだった

認めたくなかった
誰かがいなければ
生きていけない自分を

何もかも
大切なものの
本当の姿が
やっと見えるのは
大すきだったと言えなかった
君がいなくなってからだ

叫んでも 声は届かない
おれは無様な愛の言葉を
喉の中で潰して
自分の額を石で割る

愛している
愛している
今更
でも

馬鹿だったよ




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あの海を

2013-07-22 05:21:42 | 人間の声

あの海を
泳いだことがある
愛の海だ
だれの海だろう

知っている
なつかしい
あのころは いつも
そばにいた
あの 愛の
においの中に
ぼくはいた



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ほんとうに

2013-07-18 04:35:21 | 人間の声

馬鹿が ずっとやっていてくれると
思っていたんです
ずっと やっていてくれると

おれたちが どんなに馬鹿にしても
どんなに ぶち殺しても
あの人は きてくれた
ずっとそうやって 来てくれると
思っていたんです

おまえなんか いやだ
おまえなんか ばかだ
いなくなれって
言いましたよ

でも ほんとうに
いなくなるとは 思わなかったんです
ほんとうに ほんとうに
いなくなるとは
思わなかったんですよ

馬鹿だから あんなもん
馬鹿だから
いつまでも来るよって
言ってたんです
馬鹿だから また来るよって

まさか ほんとうに
いなくなるとは
思っていなかったんです



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