読者のみなさんはドラゴンテレキャスターにどんな印象をお持ちだろうか?
見た目の印象を含めて特異なギターという印象をお持ちの方も多いと思う
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ブリッジの仕様やピックアップなど、通常のテレキャスと異なる部分も多い
生粋のテレキャスを求める層には向かない事は事実だと思う
ペイジ氏が使っていたギターは盟友ジェフベック氏からのプレゼントなのだ
伝説のバンド『ヤードバーズ』への紹介のお礼の品なのだ
ベック氏が有名になったきっかけになった事は紛れもない事実
時期は異なるが三大ギタリストが在籍していたという伝説のバンドなのだ
レッドツェッペリンの曲にも当時の曲をリメイクした曲が何曲かある
もともと、ペイジ氏はシングル好きだった
過去の画像などでもVOXやフェンダーなどのギターを使う姿が散見できる
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このギターの原型は白いボディだった
特に改造などは加えていないという
元々からテレキャスにしてはピックアップにパワーがあるタイプだったようだ
ピックアップもその構造上からすべて同じようには出来ないようだ
あまりにも音が小さいなどは論外として、多少の際は誤差の範疇として出荷されることも多いと聞いたことがある
ギターは微妙な楽器なのだ
闇雲にパワーがあるピックアップを積めば良いのか?
答えはNOなのだ
それを受け止めるネックやボディも多いに関係してくるのだ
実際のギターの改造においても思った結果が得られない原因がその辺りにあるような気がする
ギターとは『偶然の産物』なのだと思う
弾き手に合っているか?
これも軽視できない要素の一つだといえる
ルックスが気にいったという理由で安易に高級したギターは良い結果が得られない
繰り返しになるが・・
そのギターが自分に合っているか?
自分が求めるスタイルに合致するか?
が大事になってくるのだ
当時のペイジ氏がシングル系を好んで使っていたことをベック氏は承知していた
詳しくは分からないがおそらくそんな理由でテレキャスを選んだのだと思う
白いテレキャスはやがてペイジ氏の手によって塗装が剥がされた
そして、氏の手によってこの独特のペイントが施されたのだ
ペイジ氏は若い頃に美術学校に通っていたそうだ
角に描き過ぎないところに芸術性を感じる
「これってドラゴンって呼ばれてるのかい?」
のネーミングに氏は戸惑っているという
言い続ければそれは真実になる
いまでは氏も認める『ドラゴンギター』になったのだ
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ギターには大なり小なりエピソードがあるのだ
その辺りを踏まえてギターと接すると楽しいと思う
ペイジ氏に思い入れがない人にこのギターを贈っても迷惑だと思う
そんなシグネチャーモデルは世に溢れているのだ
このギターは派手なペイントを除けば普通のギターなのだ
個人的にはとても使い易いギターだと感じる
ネックを取り外してロッドの調整をするギターは初めてなのだ
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「なんか面倒臭いなぁ・・」
というのが私の本音だった
しかしながら、思ったほどネックが動かない
購入からネックを外したのは二回だけなのだ
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一回目はお試しという感じで購入後の一回目の弦交換で外してみた
二回目はネックが僅かに順反ったので外して調整した
その後はネックは僅かに動くが気づけば元に戻っているのだ
私の感覚が寛大(ルーズ?)になったこともあると思う
多少、弦高が上がっても気にならない
むしろ、今回の音源のようなスタイルの場合には向いている
ペタペタの弦高では音に張りがでない
ジミヘンもレイヴォーンも高めの弦高を好んでいたという
シングル特有のあの音を出すには弦高から見直す必要があるようだ
アンプでもエフェクターでもない
今回のようなフレーズでもトップロードが効いている
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以前にお話したがサドルは交換済みなのだ
ゴトー製の優れものなのだ
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溝の切り方でオクターブ調整を容易にしている
構造はシンプルだが発想は秀逸だと思う
精度では6連サドルに劣るが雰囲気では3連が勝る
実際のところ、音の雰囲気もまったく異なる
生粋のテレキャスの音を求めるならば絶対に3連だと思う
これだけは譲れない
台座であるブリッジプレートもテレキャスらしい物が良いと思う
多少弾き難いのも事実だがそれを含めてテレキャス味だといえる
テレキャスからストラトに持ち替えると弾き易い
優等生なストラトは良い意味で誰にでも優しいギター
一方のテレキャスは癖が強い
合う人と合わない人が明確になる
私は合う人なのだ
3連サドルを所有するのは初めてだがテレキャスボディは三本目
コンターもエルボー加工もないのに痛くない
何故だろうか?
適度な厚みとボディの角の処理(丸くなっている)
レスポールのそれとは似て非なり・・なのだ
レスポールの場合にはバインディングの処理なども形状に関係しているのだと思う
先にも述べたが・・
メーカー側の都合や意図に自分がどれだけ歩み寄れるか?
自分が求めるスタイルに合致しているか?
格好で衝動買いすると後悔するのだ
私も過去に変形ギターなどを一目惚れで衝動買いしたことがある
まあ使わないのだ
眺めて磨いて少し弾いて飽きてしまう
人間に失敗はつきもの
学習すれば良いのだ
同じ間違いを何度も繰り返してはダメだと思う
失敗がない人間はいない
仮にいたとしたならば、それは面白みがないつまらない人
常に計算高く石の橋を叩いて渡る人に良いプレイは出来ない
ギターは緻密な発想と雑な発想が混ざり合って良いものが生まれる
私も何だかんだと数十年にわたりギターを弾いているが・・
ここ最近が一番面白いと感じているのだ
ギターの旨味を感じているのだ
向上心が頭をよぎっていた頃には感じられない余裕がある
何だろう・・
もはや上手くなりたりという気持ちは皆無なのだ
技術的な部分よりも大事な事に気づいたという感じなのだ
今回は久しぶりに音源を貼ってみた
ピックアップはフロントを使用
ボリュームはフルテン、トーンは8くらいなのだ
ゴリゴリに歪ませたリアの絞った音もカッコいい!
機会があれば音源としてお届けしたと思う
とにかく、このギターは音の幅が広いのだ
ゴリゴリのロック系単音リフからカリカリのカッティングまでカバーする
テレキャスは意外に器用なギターなのだ
「テレキャスって音が細くね?」
という勘違いがいまだに横行しているようだ
良い状態のテレキャスは太い音も出せるのだ
買った直後や試奏で決めるのは早計だと思う
ギターは変わる、ギターは化けるのだ
1年くらいは弾き込んでみていただきたい
それでもダメな場合は時間の無駄
自分に合っていないのだ
早々に買い換えるべきだと思う
ギターは手持ちの本数を絞ることで上手くなる
メンテの技術が向上する
各々のギターの音が良くなる
理由は使用頻度が向上すること
とにかく、ギターは弾かなくては何も始まらない
ピックアップの改造や周辺機器の買い足し(買い替え)はその後の話
ギターの状態が良ければ、そこそこどうにかなってしまう
ちなみに今回の音源はこんな機材で録ってみた
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単三電池のミニアンプでも十分に遊べるのだ😉