先月23日、サウジアラビアで行われた試合結果です。
WBCインターナショナル/WBOインターコンチネンタル・ヘビー級戦:
元WBO王者ジョセフ パーカー(ニュージーランド)判定3対0(120-108、118-110、118-111)前WBC王者ディオンティー ワイルダー(米)
*接戦が予想された元世界王者の対戦でしたが、2022年9月に王座への返り咲きに失敗して以降、好調を維持しているパーカーの思わぬ一方的な試合に。世界王座から転落後も、力をつけているニュージーランド人に対し、一発に頼る横着なボクシングに終始したワイルダー。2020年以降の戦績が1勝(1KO)3敗(2KO負け)となってしまいました。
ヘビー級戦(12回戦):
前3団体統一王者アンソニー ジョシュア(英)TKO5回終了 オト ヴァリン(スウェーデン)
*3度目の世界王座獲得を目指すジョシュア。2019年9月に、タイソン フューリー(英)に善戦したヴァリンに実力差を見せつけ快勝。2023年を3勝(2KO)で終え、オレクサンデル ウシク(ウクライナ)に喫した連敗からの精神的ダメージからも脱した感があります。あとは何時、世界戦のリングに登場するかでしょう。
ヘビー級戦(10回戦):
IBF1位フィリップ フルコビッチ(クロアチア)TKO初回1分46秒 マーク デ・モリ(豪)
*IBF王座への挑戦が確約されているフルコビッチ。ワン・ツーのコンビネーションでデ・モリをあっさりとストップに追い込み、世界挑戦前の準備体操を終えています。
ヘビー級戦(10回戦):
前WBAレギュラー王者ダニエル デュボア(英)TKO10回2分52秒 ジャレル ミラー(米)
*8月にオレクサンデル ウシク(ウクライナ)に敗れ、WBAレギュラー王座を手放してしまったデュボア。巨漢ミラーを攻め続け、試合時間残り8秒でついにライバルをストップ。再起に成功すると同時に、その存在をアピールしています。
WBC米大陸/NABOヘビー級戦:
王者フランコ サンチェス(キューバ)TKO7回2分42秒 ジュニア ファ(ニュージーランド)
*23戦全勝(16KO)のサンチェスが初回、そして7回に2度、右の強打を炸裂させファをキャンバスに送る圧勝。また一歩、世界へ近づくことになりました。新年2024年には、どんなビックマッチがまっているのでしょうか。
NABF/WBAインターコンチネンタル・ヘビー級戦:
挑戦者アジ カバイェル(独)TKO4回2分3秒 王者アルスランベク マクムドフ(露/カナダ)
*ドイツ注目の星カバイェルが、ボディー攻撃を交えたコンビネーションで強打のマクムドフをストップ。全勝記録を24(16KO)に伸ばしています。191センチと現在のヘビー級では標準的なサイズのカバイェルですが、サンチェスと同じく31歳とまさに油が乗り切っている時期の選手です。今後の活躍に期待が持てそうです。
それぞれメインを張れるヘビー級戦が、6つも同時に開催されました。今回の興行後、もちろん世界王座の移動はありませんでしたが、2024年1月4日現在のヘビー級王者たちの顔ぶれを確認しておきましょう。
WBA(スーパー):オレクサンデル ウシク(ウクライナ/防衛回数2)
WBA(レギュラー):マヌエル チャー(独/0)
WBC:タイソン フューリー(英/3)
IBF:オレクサンデル ウシク(ウクライナ/2)
WBO:オレクサンデル ウシク(ウクライナ/2)
WBO(暫定):張 志磊(中国/1)
OPBF(東洋太平洋):ジャスティン フニ(豪/1)
WBOアジア太平洋:ウラジスラフ シレンコ(ウクライナ/0)
日本:但馬 ブランドン ミツロ(KWorld3/1)
また、今回の興行が行われる前となる2023年11月末時点での主要団体の上位ランカーをまとめてみました。
WBA:レギュラー王者チャー、ワイルダー、マーディン バコレ(コンゴ)、ジョシュア、マクムドフの順。
WBC:ワイルダー、ジョシュア、マクムドフ、サンチェスの順。パーカーは8位。
IBF:フルコビッチ、ヴァリン、ジョシュア、パーカー、注目の新鋭ジェレッド アンダーソン(米)、サンチェス。
WBO:暫定タイトル保持者の張、ジョシュア、アンダーソン、パーカー、サンチェス、フルコビッチ。
*今後のヘビー級戦線を占うには、まず来月2月17日にサウジアラビアで予定される4団体王座統一戦、オレクサンデル ウシク(ウクライナ)とタイソン フューリー(米)の結果を待たなければなりません。
ウシクとフューリーは2月の試合後に直再戦を行う公算が高いため、4つの王座統一というのは短い期間のみになりそうです。しかし統一王者が誕生する前に、来月の試合が引き分けや無効試合となる可能性ももちろん無くはありません。両者のボクシングスタイルを考えると、かなりの接戦が予想されます。果たして、ヘビー級に唯一王者が誕生するのでしょうか?
「ウシク対ヒューリー」戦が決定する際、IBFからは勝者はフルコビッチとの防衛戦を行うよう強く通達されているため、少なくとも春先にはIBF王座は空位になるでしょう。フルコビッチは2022年8月に現WBO暫定王者張に判定勝利を収め、IBF王座の指名挑戦権を獲得しています。試合ごとのムラが大きな選手ですが、実力者であることは確かでしょう。注目は、フルコビッチがその空位になるであろう王座を賭け、誰と対戦するかに絞られます。今回の興行に出場し、勝利を収めたIBFの上位ランカーはジョシュア、パーカーとサンチェスとなります。
今年、2度英国のリングに登場し、ジョー ジョイス(英)を連破した張。今回の興行には出場しませんでしたが、彼も面白い存在であることは変わりありません。張に連敗したジョイスはパーカーとデュボアを下しています。
そしてこれらの選手に加わるのが、10月28日に行ったデビュー戦で、フューリーに地獄の入り口を見せたフランシス ガヌー(カメルーン/仏)。今後、どのような路線を歩んで行くのか非常に気になりますね。
何はともあれ2024年には、ヘビー級で大きな動きがありそうです。