冷たい北風に吹かれて散る枯葉が、本格的な冬の訪れを告げる。 春、大きな木の枝に生まれ、夏にはりっぱな体に成長した葉っぱのフレディは、秋になると、他の葉っぱたちとともに一気に紅葉した。そしてある晩、突然襲ってきた寒さにふるえた。
その日の夕暮れ、金色の光の中を仲間のダニエルは、フレディに「さようなら」と言って枝をはなれていった。枝をはなれた枯葉は、土や根や木の中で、新しい葉っぱを生み出す準備をするのだと、親友のダニエルから教えられたフレディは、「いのち」は永遠だと知る。(「葉っぱのフレディ」から)
10月の終わりに近いある日、
一輪咲いたのを確認した御会式桜 が、紅葉した葉が風に散るのを横目に、次々と花を開かせている。
赤く色づいた葉と妍(けん)を競うかのように、青空に向かって咲く薄桃色の花は、「咲かせ~て 咲かせ~て 桃色吐息♪」と歌っているようでもある。
これから寒い冬に向かって咲き続け、来年の4月頃まで咲くというこの御会式桜。毎日この花の下を通るのが楽しみである。