勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

今日の風、なに色?

2009-06-20 23:17:16 | Weblog
風には音がある
空には色がある
雲には形がある
青い空に浮かぶ白い雲が
風に流れるのを見たとき
しあわせを感じることがある

 眼に見えない風に色があるとしたら、今日の風はどんな色だろう。しあわせ色?それとも悲しみ色?
 国際ピアノコンクールで優勝した、辻井伸行さんの母親、辻井いつ子さんの著書「今日の風、なに色?」を読んだ。

 生まれたわが子が全盲と知って、絶望と苦悩にわが子と共に死にたいと思う。しかし、音に敏感な伸行さんに希望を見いだし、ピアニストとして歩む過程は胸を打つ。

 眼の見えない彼に色を理解させるために、「りんごの赤」「バナナの黄色」などと教えていた時、彼は「じゃぁ、今日の風はなに色?」と聞いてきたという。

 見えることによって見えないものがある。見えないから見えてくるものもある。

 生まれながらにして全盲のピアニスト・辻井伸行さんが奏でる色はどんな色だろうか?
 2枚組みのCDアルバム「debut」に収められたピアノ曲は、爽やかな風のように、やさしく眠りに誘う。特に彼自身の作曲による作品が収められた1枚は、僕の枕元のミニコンポで昨夜から子守唄代わりになった。
 佐渡 裕・指揮、ベルリン・ドイツ交響楽団との競演による、ラフマニノフのピアノコンチェルトは、レコーディング風景をDVDで見ることができ、鍵盤の上を走り、跳ね、踊る、その指使いは、眼が見えないとは思えない正確な動きに、ただ驚くばかり。

 最後の音が力強く鳴り響き、その残像がすべてなくなった瞬間、伸くんへの惜しみない拍手がオーケストラから贈られた。スタジオは幸福感で一杯になった。多くのメンバーがブラボー!と声をかけてくれた。
 「やったね~!」録音を終えて、満面の笑顔の僕たちふたり。その瞬間に切ったシャッターが、今回ジャケットになったこの写真。
伸君!またいつか新しい記念写真を撮ろうね!(佐渡裕さん)


 彼の奏でる音色がどのように素晴らしいのか、僕にはわからない。しかし心地よいことだけは確かである。

 今宵の風も、しあわせ色を運んできてくれそうだ♪