歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

モナ王とハイエース

2013年12月02日 | 日記
モナオウ、モナオウ、モナオウ…

いきなりモナオウって口に出してみると、なんだかばかみたい。
モナオウってなんだろうって分からなくなる。

モナ王は1995年にロッテから発売されたアイス最中のこと。

お菓子はほとんど食べないのだけど、なぜかアイスを買ってしまう癖があって、
冷凍庫にはよく忘れ去られたアイスが眠っている。
今日も冷凍庫の奥の方にモナ王が。

それを手に取った瞬間、サイコメトリーみたいに記憶の残像がふわっとよみがえる。
それは夏、塩臭い匂い、ゴツゴツとした床、ゆらゆら揺れる子どもの影。
なんだっけ?

私がほんの子どもだった頃、夏になるとよく大崎島というところに海水浴に行っていた。
それも近所の子どもとかお客さんとかみんなひっくるめて数十人で行くものだから一種のお祭りみたいみたいになるのだ。

大崎島は一般的な海水浴の砂浜、パラソル、ビキニ、ビーチボールなんてイメージからはほど遠い世界だった。
シュノーケルと足ひれを装着して、子どもたちが岩場からばたばたと飛び降りる。
沈んでいく自分と上の方に上がっていく大量の気泡、泡と泡の間から見えるのは透き通る深い青色の海。

浅瀬の方では母がもずくをとっていたっけな。
足場のない沖や島の方では、大人や男の子たちがアワビやらサザエをとっては大きさや量を競ってたな。
誰かが捕まえて来たたこに子どもたちは群がり、ゴールデンレトリバーのソクラテスはひたすら誰かについて泳いでた。
青魚の群れを見つけてついていったことだって何回もある。
太平洋や南の方に比べ日本海にいる魚はなんといっても渋い。

そして帰る前に「みんなジャンプ」写真でその日の海水浴を締めくくる。
その日いた人がみんな岩場からジャンプしてその瞬間を父が写真におさめるというイベントだ。
私は内気だったのでほとんど参加したことがない。

そしてみんな白いハイエースにごった返すように乗りこんで40分ほどかけて帰るのだった。
子どもは後の荷台に乗るのがだいたいで、あーだこーだと賑やかだった。
帰り道では毎回、海に沈む太陽をバックにゴジラ岩(ゴジラの形に似ている岩)がその存在感をしらしめた。

そして子どもたちが楽しみにしていたのが途中の売店で買ってもらえるアイス。
私はモナ王が大好きでいつもそればかりだった。

今でもモナ王が売っていて、なんの疑いもなくそれを買っている自分、なんだか不思議な体験をしているような気分になったのだった。
コメント
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